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キータッチいろいろ

どのタイプを選ぶ?

2013-12-21

はじめに

 半年以上「雑記帳」を書くのをサボっていましたが、先月11月にメサイア公演が終わり合唱団もいったん解団して「オフシーズン」に入ったいま、久しぶりの書かせていただきます。今回は、鍵盤楽器のキータッチ、とくに電子楽器である電子キーボード、シンセサイザー、電子オルガン、電子ピアノなどのキータッチの種類についての話題です。 キータッチの種類について書かれた WEB ページは多いのですが、ここでは、私のキーボード歴の雑談話も交えながら私なりに書いてみます。

大きく分けると3種類

 電子鍵盤楽器のキータッチ感覚の違いは鍵盤のメカ構造に依存するのですが、大きく次の3種類に分けることができます。 
  1. ライトウェイト鍵盤(ノンウェイテッド鍵盤、アンウェイテッド鍵盤)
  2. セミウェイテッド鍵盤
  3. ウェイテッド鍵盤
 違った呼び方が使われている場合もありますが、大まかにこの3つに分けられることに変わりありません。 上とは違った「カタカナ用語」も見受けられます。 しかし,ここでは英語サイトで使われている用語も確認した上で,「和製英語」は避けたつもりです. ただし、厳密な「規格」で定義づけられた「用語」ではないですし、数十年前には、「セミウェイテッド鍵盤」という用語、鍵盤はなかった(?)と思うので、今後、時代とともに用語、分類方法が変わることもありえると思います。
 「ライトウェイト鍵盤」は、プラスチックの鍵盤がばねで戻るようになっただけの簡単な構造の、軽いタッチの鍵盤です。 機構が簡単なので楽器全体の重さを軽くできますし、価格も安くて済みます。 当然ながら、下位機種のキーボードはこれになります。
 「ライトウェイト鍵盤」のシンプルさの真逆をいくのが、「ウェイテッド鍵盤」です。 電子ピアノなどで使われている、ひたすら生ピアノのタッチを目指した鍵盤です。 グランドピアノのハンマーほどの大きさではないですが、そのハンマー・アクションと同じ感触を得るためのアクション機構がついています。 複雑なメカがある分、楽器全体の重さは重くなりますし値段も高くなります。
 そして、この2つの中間にあるのが、「セミウェイテッド鍵盤」です。 ウェイテッド鍵盤のような複雑なアクション機構はないですが、鍵盤の裏側におもりがついていて、「慣性」が働くようになっています。 この「おもり」のおかげで、ライトウェイト鍵盤に比べて、キーの押し方(たたき方?)による強弱のニュアンスをつけやすく、またウェイテッド鍵盤になれたかたでも、ライトウェイト鍵盤に比べて違和感が少なくてすみます。

どれを選ぶ?

 では、どのタッチがいいのか? 別にどれがすぐれていてどれが劣る、というものでもないです。 それぞれ「違った鍵盤楽器」としてとらえるべきでしょう。
 もしあなたが、「ピアノを本格的に習いたい!」とか「オルガンを習ってみよう!」という具合に、具体的な「特定の楽器」を学ぶことを目指しているのなら、その楽器を買うわけですから、上の分類の中から「どれを選ぼうか?」と迷うことはないです。 (ピアノの機種による微妙なキータッチの違いにこだわることは、あるかもしれませんが…。) 
 いっぽう、お金と時間をかけてピアノを習うほどの覚悟はないけれども、ピアノよりずっと安くて場所を取らない鍵盤楽器がいろいろあるので、「ちょっと買ってみようかな?」というかたもいらっしゃると思います。 この場合のキーボードは、通常ライトウェイト鍵盤になります。
 特定のタイプのキーボードしか使わないのなら、違うキータッチのことは気にしなくてもいいのかもしれません。 しかしそれはそれとして、ここでは参考情報として、3種類タッチの違いを書いていきます。

各タッチを使ってみて…

 実は私、いまに至るキーボード歴はほかの多くのかたとはかなり違っていると思うのですが、上のすべて分類のキーボードを経験てしています。 (腕前のほうは大したことないですが…。)  その経験を通じて、各キーボードのタッチ感覚に関して感じたことを書いてみます。
 私の今日に続くキーボード歴は大人になってから始めた部分が大きいので、大人になってからの話を書きます。 (細かくいうと子供時代の話もほんの少しあるのですが、それはここでは触れないことにします。)  ともかく、私のキーボード遍歴は次のようになっています。


ミニキーボード(ライトウェイト44鍵)
1983-




シンセサイザー(ライトウェイト61鍵)
1984-1993前後?




アップライトピアノ
1985-1989




電子ピアノ(ウェイテッド88鍵)
1993-




シンセサイザー(セミウエェイテッド61鍵)
2013-

まずは「ライトウェイト」から
 ミニキーボード(ライトウェイト44鍵)を買ったのは、いまをさること30年、1983年のことです。 この前年にアマチュアコーラスで歌い始めて、家で音取り練習をする必要に迫られました。 でも「楽器」がありません。 そこで、チューニングしなくてもすぐ音が出せて場所も取らない音取り練習に向いた楽器、ということでミニキーボード(YAMAHA PortaSound PS-400YouTube)を買いました。
 実はこのミニキーボードには、自動伴奏の機能も付いています。 右手で主旋律を弾きながら、左手の指1~3本でコード指定することにより、いろいろな伴奏つきの演奏を楽しむことができるようになっています。 それで、コーラスの音取り練習をするだけでなく、この自動伴奏を使っていろいろな曲を弾いてみました。
 ところが、このミニキーボードを弾いているうちに、自分の指が意外と動くことに気づくことなります。 それで、もう少し本格的なキーボードに挑戦しようと思い、1年半後にシンセサイザー(ライトウェイト61鍵)を買いました。 独学でしたが、このシンセサイザー(Roland JUNO-106YouTube)は、ほんとよく弾きました。 とても気に入っていた楽器です。 練習用に簡単なピアノ譜をいろいろと買ったのですが、なぜか「バッハ・ピアノ小品集」という楽譜本の曲をよく弾いていましたね。 (当時からバロックには「縁」があった? 基本的には「クラシック・ファン」ではなく、「ロック・ファン」なのですが…。)

JUNO-106の写真
Roland JUNO-106

 余談ながら、このシンセを買った1984年に、私が所属する合唱団はヘンデルのメサイアのコンサートを行なっています。ただ、私は途中で忙しくなって練習に行けなくなり、本番ステージには立っていません。(残念!) かくして、私がメサイアのステージに立つのは、24年後、2008年の「第1回枚方市民メサイア公演」までお預けとなるのです。
「ウェイテッド」へ
 翌年1985年、結婚しました。このとき、嫁さんと一緒にアップライトピアノがやってきました。 それでピアノも弾くようになります。 (嫁さんより私のほうがよく弾いていた。)  アップライトピアノに至る3年間は、毎年、新しい鍵盤楽器が(それも異質の3種類が)次々と我が家にやってきたことになります。
 ライトウェイトのシンセに慣れていたので、このピアノを弾き始めた最初の印象は、「うへっ、重っ!」でした。 でもピアノに慣れてくると、キータッチによって音の表情が変わるのが気に入りました。当時でも上位機種のシンセでしたら、キーの押し方で音量などを変えられるのですが、私の JUNO-106 ではそれができません(音量を変えるのは付属のボリュームペダルを使う)。 ということで、いろいろな音色を楽しむならシンセでしたが、「弾き心地」を楽しむならピアノのほうがよかったですね。 結果的には、シンセよりピアノのほうをよく弾いていたと思います。
 このピアノを弾き始めてしばらくして、ピアノを1年(?)ほど習いに行きました。でも、今日に至るまで、ピアノを習いに行った期間はごく限られていて、自分で気の向いたときにテキトーに弾いている期間のほうがが圧倒的に長いです。
 結構気に入ってたアップライトピアノだったのですが、4年後、1989年に引っ越しするときに手放すこととなります。 ちょっと残念だったのですが…。 (ついでにいえば、コーラスもこの少し前、1988年に辞めています。 つまり、枚方市民メサイアで歌い始めるまで、コーラスには20年のブランクがあったわけです。)
 ピアノのない時期が何年か続きますが、1993年、子供にピアノを習わせることになり、電子ピアノ(YAMAHA CLP-122)を買いました。このときのピアノの先生が、枚方市民メサイア第1回からオルガンやチェンバロでずっと出演されているY先生なのです。 15年後に枚方市民メサイアでまた顔を合わせることになるとは、思いもよりませんでした。 意外なところで、つながりがあるものです。 この電子ピアノは子供用に買ったのですが、私もときおり(たまに?)弾いていました。
 ところで、いっぽうのシンセですが、いくつかのキーの音が出なくなりやむなく廃棄しました。 音が出ないので仕方なかったのですが、ほんとに「お世話になった」お気に入りの楽器で、私がそれなりにキーボードを弾けるようになったのはこのシンセのおかげといえるので、アップライトピアノを手放したとき以上に、なんとも寂しい気持ちでした。
「セミウェイテッド」へ
 上の「キーボード遍歴」の図を見ると、電子ピアノを買ってからことしふたたびシンセを買うまで、20年、間が空いています。このことからうかがえるように、この間、キーボードをほとんど弾かなかった時期があります。 しかしここ数年は、またときどき弾くようになっています。 まず、何年間かほどんど弾いていなかった電子ピアノをまたときおり弾くようにして、ある程度指の感覚を取り戻し、それから今年2013年に入ってシンセサイザー(セミウエェイテッド61鍵)を買いました。

MOX6.jpg
YAMAHA MOX6

 このシンセ(YAMAHA MOX6YouTube)を買うときは、セミウェイテッドにすべきかウエイテッドするかで、ずいぶんと迷いました。 MOX6 はセミウエェイテッド61鍵なのですが、中身は同じで鍵盤だけがウェイテッド88鍵である MOX8 というモデルもあったのです。 最終的には値段と設置スペースを考えて61鍵の MOX6 にしました。 私の個人的な「好み」かもしれませんが、MOX6 のセミウエェイテッド鍵盤の「感触」が気に入ったこともあります。
 実はこのシンセ購入に先立って、楽器店でいろいろなシンセを触ってみたのですが、その結果、ライトウェイト鍵盤は購入候補から外しました。 昔、ライトウェイトの JUNO-106 をなんの抵抗もなく弾いていたので、要は「慣れ」の問題だと思うのですが、電子ピアノになれていたこのときに私の指では、ライトウェイトはちょっと感覚が違いすぎるので、買う気になれなかったのです。 みなさんもキーボードを選ぶ場合は、ライトウェイトにせよセミウエェイテッドにせよウェイテッドにせよ、同じメーカーでも機種によって弾き心地が違ったりするので、購入前には楽器店などでぜひ実際に弾いてみてください。
 ところで、30年ぶりにシンセを物色してみて、電子技術の進歩をまざまざと感じさせられました。 この間にパソコンが DOS から Windows に変わったのと同様、シンセも大幅に進化していたのです。 MOX6 の値段は JUNO-106 の6割くらいなのですが、機能は一桁以上多い気がします。 (おかげで十分に使いこなせていない。(^_^; ) 

ライトウェイトのほうが重い?

 ライトウェイトの JUNO-106 を弾き続けていて、アップライトピアノに触ったとき、「重っ!」と感じた、と上に書きました。 しかし、アップライトピアノにある程度なれてから JUNO-106 を弾くと、軽いはずのライトウェイト鍵盤を今度は逆に重く(!)感じてしまいました。 (もちろんピアノ鍵盤の「重さ」とは、また違った感じの「重さ」ですが…。)  そして、ことしシンセを買うに先立って、楽器店でいろいろなライトウェイトのシンセを触ったときも、電子ピアノに指がなれていたせいで同じように「重く」感じています。 なぜなのか?  私なりの分析は次の通りです。
 ウェイテッドの場合、押し始めは確かにライトウェイトより重いです。 しかし、いったん動きに勢いがつくと、あとは惰性で動いてくれます。 つまり重いのは動かし始めだけです。 ところがライトウェイトの場合は、鍵盤がどの位置まで押し下げられていようと、鍵盤が動いていようと止まっていようと、ばねによって常にほぼ同じ力で上に押し返してきます。 キー自体はプラスチックの軽いものですから、惰性で働くことはありません。 はずみがつかずに常に上に押し返している、ということで、軽いはずのライトウェイト鍵盤を重く感じてしまう、と考えています。

ウェイテッドを少し詳しく…

 ウェイテッドの場合、実際のハンマー動きに少しで近い感触をコンパクトな構造で得るために、各メーカーともいろいろ苦労しています。高音部と低音部ではキーの重さが違うように調整する程度のことは当たり前のことになっているのではないでしょうか? 必然的に価格は高くなってしまいます。そこで、ひと口に「ウェイテッド」といっても、各社廉価版から高級版までいくつかのグレードを用意している場合が多いです。 注意してください。 たとえばヤマハの電子ピアノの場合は、
GHS → GH → GH3 → NW
の順にグレードが上がっていきます。 (新しいタイプの鍵盤が出ることも考えられるので、最新情報ではグレードの名称が違っているかもしれません。現に、我が家の YAMAHA の電子ピアノは、いまは売られてない古いタイプの「AE鍵盤」です。)
 下位グレードですと、コンパクトに収めるために、キー全体の長さが短い場合があります。つまり、支点からキー末端(一番手前)までの長さが短くなります。 和音を弾くときに、黒鍵のすぐ横の白鍵を押す場合がありますが、支点からの距離が短いのでキーが重くなって弾きにくくなる、ということもあるみたいです。 ともかく、ご自身で実際に、いろいろな鍵盤でいろいろな弾き方を試してみてください。 キータッチに関しては、個人の好み、慣れの問題もあるので、「この鍵盤がいい」と言い切るのは難しいです。
  そうそう、サイレントピアノという、生ピアノと電子ピアノが合体したピアノもあります。 通常は生ピアノとして使えるのですが、サイレント・モードにすると電子ピアノになります。 このときは、ハンマーが弦に当たる直前で止まり電子合成音をヘッドホンで聴くことになります。 生ピアノにあと付けでサイレント機能を付けることができる製品もるあるみたいなので、興味のある方は一度お調べになってはいかがでしょうか?

電子キーボードは「楽器」ではない?

 楽器店ではなく、電気屋さんやホームセンターにも鍵盤楽器は売っていますよね。価格的には数万円程度が中心になるでしょうか。ミニ鍵盤なら1万円以下もあります。私が30年ほど前に買ったミニキーボードは当時4万円以上しましたが、電子機器の高性能化・価格低下は激しいので、いまならはるかに安い値段で似たような製品を買えるはずです。この種の鍵盤楽器は「電子キーボード」といった呼び方をされています。キータッチは当然ながらライトウェイトです(セミウエェイテッドもあるのかな?)。インターネットで鍵盤楽器のことをいろいろ調べていると、この種の電子キーボードは「『楽器』ではなく『おもちゃ』に過ぎない」、「(音楽をするのに)あんなものを買ってはいけない」といった発言が目につきました。でも、私の考えかたは違っています。
 もちろん、「本格的にピアノを習いたい」というのなら、わざわざ電子キーボードを買うことはないです。当然ピアノ(生ピアノ)を買うべきであり、騒音問題や設置場所の制約があるなら電子ピアノでもよいでしょう。 しかし、世の中、なにもピアニストを目指しているかたばかりではありません。「おもちゃ」で大いに結構じゃないですか。買っても弾きこなせずに終わってしまうピアノを買うくらいなら、「おもちゃ」を楽しんだらいいのです。 それで遊び続けるのもよし。 飽きたら、やめてしまうのもよし。 そして、「おもちゃ」で物足りなくなったら、本格的な「楽器」にステップアップすればいいだけのことです。 上に書いたように、私はそうやってきました。
 値段も安いですし、自動伴奏機能のついているものや、どのキーを押せばよいかランプが光って指示してくれる「親切」な製品まであります。私がミニキーボードを買った30年ほど前でも、同じミニキーボード・シリーズの上位機種で、各キーにランプがついている製品がありました。ただ、さすがの私も、鍵盤のランプを目で追いかけながら指で押すような「弾きかた」はやりたくなかったので、ランプ付きは買いませんでした。 やはり、楽器を「弾く」ときには、視線の向きは楽譜にあるべきで、鍵盤はせいぜい「チラ見」程度にとどめるべきだと思います。ランプの光に頼りすぎると,たとえば、パソコンのキーボードを打つときにキーに刻印された文字を目で確認しながら1本指でとつとつと押すような感じ、になってしまい,正しい運指が身につかないような気がしています。 楽器でもパソコンでも、キーボードを見ていてはだめなのです。
 とはいえ、「このレベルの「弾き方」(ランプの点灯を目で追いかけながらキーを押していく「弾き方」)でいいんだ」というかたもいらっしゃるでしょうから、購入されることを止めはいたしません。 こういう商品が何十年も売られ続けている、ということは需要もあるわけでしょうし…。 でも、せっかく鍵盤楽器を買うのですから、いつまでもランプの光を追いかけるのではなく、楽譜を見ながら弾けるように早くなっていただきたいと思います。
 私自身「電子キーボード」がきっかけとなって、(ブランク時期はあったものの)きょうまでキーボードとお付き合いしています。 腕前のほどは、簡単な曲なら両手で弾ける「バイエル程度」と思いますが、まぁ自分で楽しんで弾けたら良し、と思っています。 (プロを目指すのではないなら)ピアノを習い始めるのに年齢は関係ないので、ピアノから入るのもひとつの方法です。 でも、電子キーボードのお遊びから始めてもいいのではないでしょうか? 自動伴奏機能を使って「それなり」の合奏を楽しめます。 「自動伴奏だと細かい速度変化の表現をつけられない」とか小うるさいことを言う人もいるでしょう。 もっと厳しく、「それは単なる『遊び』であって、『音楽』ではない」という言い方をする人がいるかもしれません。 でも、気にしない気にしない。 「『音楽』とはなにか?」の定義を議論しているより、まずは楽しみましょう!  自分の能力、使えるお金と時間などの制約の範囲内で、無理なく楽しめるところからやり始めればいいのではないか、と私は思っています。

 キータッチの種類の話をしているうちに、変なまとめかたになってしまいましたが、今回はこの辺でお話を終えることとします。


Signature of Grotle