原著論文

Hoso, M.* & Hori, M. (2006)
Identification of molluscan prey from feces of Iwasaki's slug snake, Pareas iwasakii. Herpetological Review 37(2): 174–176. [times rejected: 1]

イワサキセダカヘビの属するセダカヘビ科のヘビは、その全種がカタツムリやナメクジなどの陸産貝類をもっぱら食べていると考えられています。しかし、実際に野外でどの種のカタツムリをどれだけ食べているのかは、まったくわかっていません。なぜなら、セダカヘビはカタツムリの中身だけを器用に引っ張り出して食べるため、胃内容物を吐き出させたり解剖したりして殻のない食べられたカタツムリを取り出すことはできても、それを種のレベルで同定することは不可能だろうと諦められていたからです。

この論文では、イワサキセダカヘビ Pareas iwasakii の排泄物の中に食べられたカタツムリの歯舌と顎板が残されていて、そこから種レベルでの同定ができることを示しました。この手法は、カタツムリ食ヘビ類の、謎に包まれた野外生態を解明するための手がかりになります。

フンから見つけ出したイッシキマイマイ Satsuma caliginosa caliginosa の顎板の拡大写真(左)と歯舌の電子顕微鏡写真(右)。ひょっとすると…と思いながら、可能性に賭けてみることの大切さ。発見の喜びをこの研究は教えてくれました。また、Satsuma 属のカタツムリ、しかもイッシキマイマイがイワサキセダカヘビに野外で捕食されていることを証明するこのデータは、のちのちの研究にとって大変重要な知見でした (Hoso & Hori 2008; Hoso et al. 2010; Hoso 2012b)。電子顕微鏡の操作法についてご指導いただいた高橋里英子さんと高見泰興さんに改めて感謝いたします。

Acknowledgments.--We thank S. Kobayashi, M. Saigusa, and H. Yano for providing facilities in the field, and C. Matsumoto and H. Ota for providing useful information. We also thank Y. Takami and E. Takahashi for teaching us the use of SEM. We thank A. Mori and A. Savitzky for valuable comments on the manuscript. We are indebted to A. Iwata for supporting our research. This work was partly supported by grants-in-aid from the Science Research on Priority Areas (1408703) and the Grant for the Biodiversity Research of the 21st Century COE (A14) of the Japan Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology to M. Hori. This paper is a contribution from Iriomote Station, University of the Ryukyus.