シェルビー GT350R 1965

SCCAプロダクションBクラス出場車

レベル 1/24

Shelby GT350R 1965

SCCA Production-B Racer

Revell 1/24



初代フォード・マスタングは、コンパクトな実用車ファルコンのシャシー・コンポーネンツを流用して、スタイリッシュな2ドアの専用ボディを架装したパーソナル・カーです。1964年春のデビュー時にはハードトップ/コンバーティブルの2本立てでしたが、半年遅れて2+2ファストバックも追加されました。

 マスタングはハードなスポーツカーではなく、スポーティな雰囲気を楽しむためのクルマでしたが、ターゲット・ユーザーである若年層の需要を喚起するにはスポーツ・イメージの高揚は不可欠でした。



 そこでフォードが目を付けたのが、当時若者に非常に人気があったSCCAのプロダクションカー・レースです。量産車を改造したレースカーで競うチャンピオンシップは、マスタングのイメージ・アップにはうってつけの舞台でした。

 レース活動にはモータースポーツ界で知名度の高いアイコンが必要だと考えたフォードは、コブラやフォードGTのレース活動でカリスマ的な人気のあるキャロル・シェルビーに白羽の矢を立てます。スポーツカーとレースを知り尽くしたシェルビーのファクトリーは、軟弱なデートカーのマスタングをエンジンからシャシーまで多岐にわたり徹底的に鍛え直し、マスタングの皮を被ったレーシング・スポーツカー、シェルビーGT350に変身させたのです。



GT350はボディの補強が増やされたファストバックのヨーロッパ輸出仕様をベースに、リアシートをFRPパネルで潰して2シーター化されています。シェルビー・アメリカンの製品である事を強調するために、フォードのエンブレムは全て取り払われました。66年前期までの生産分はミッションはマニュアルのみ、ボディカラーは白のみで、ブルーのストライプもオプションでした。

 エンジンはコブラ・ロードスターと同じ289スモールブロックV8にホーリー4バレル・キャブレターを装着し、標準で325P、オプションでは360Pを発揮。駆動系はボルグワーナーのクロースレシオ4速マニュアルに、リミテッド・スリップ・デフも装備されました。ブレーキはフロントのディスク、リアのドラム共に大型化されています。サスペンションはアームの取付け位置が見直されてジオメトリーが改善され、ショックやスタビライザーも強化されました。



標準仕様のGT350はロードカーとして出荷され、フォードのディーラーで販売されましたが、それとは別に純粋なレーシング・バージョンも存在しました。それが37台だけ生産されたGT350Rで、遮音材が全て取り払われ、サイドとリアのガラスがプレクシグラス(強化アクリル)に置き換えられ、フロントバンパーの代わりにFRP製の軽量なフロントパンが装着されるなど、実戦的な軽量化が加えられていました。

 タイヤサイズも拡大され、それに伴ってフェンダーフレアも僅かながら広げられています。



レベルのキットは旧モノグラムの金型なので、アメリカン・プラモの標準スケールである1/25ではなく、1/24です。80年代初頭に起こされた旧い金型ですが、モノグラム絶頂期の作だけあって、今日の目で見てもほとんど古臭さを感じさせない優れた内容です。

 実車と同じように、マスタングGTファストバックのキットから派生したバリエーションですが、単なるデカール追加ではなく、エンジンや内外装のパーツもかなり細かく変更されており、66年型も作れるように、リアフェンダーのサイドスクープのパーツも入っています。

 90年代までは白ボディに青ストライプのシェルビー・ワークス仕様でしたが、21世紀に入ってから再版されたパッケージでは、SCCAローカル・チャンピオンシップに出場したマーク・ドナヒュー車のデカールに変更されました。最近のロットは高品質なカルトグラフ製のデカールが入っているのも嬉しい所です。



 ただし、金型の構成上やむなく一部ディティールに実車と異なる部分があります。特にフロントパンの接合ラインは、ロードカーのバンパーの取付けを優先させたパーツ割りなので、実車とは全く違っています。また、バンパーレスのリアエンドのパネル形状も再現されていません。いずれも実車に近い雰囲気になるようにモールドを改修しました。
 ヘッドライト・レンズは透明パーツになっていますが、レンズカットが大袈裟でリムの表現もありません。また、リフレクターは真っ平らで実感に欠けています。本作ではボディのヘッドライト取付部を刳り貫き、リフレクター/リムをアルミの丸棒から旋盤で削り出して自作しました。レンズはモデラーズのライトレンズ・セットから持ってきました。

 グリルの金網の部分は、キットのパーツでは抜けていないので、切り抜いてワークの「黒い金網」を張りました。フロントフードのワイヤロックは、1/43用のエッチングとリベットヘッド、KA-MODELS製インレット鍵穴を組み合わせたものです。



 フロントのウィンドウのクリアーパーツはボディとの合わせが悪く、左右端のカーブがキツ過ぎてピラーとの間に盛大にスキマが出来てしまうので、透明塩ビ板をヒートプレス加工して作り直しました。ワイパーはアメプラの通例でボディに一体でモールドされています。削り落として、プラ板で自作したパーツに置き換えました。リアウィンドウは、クリアパーツはキットのものですが、ボディには「R」では不要な窓枠のモールドが残っているので、削り落としました。
 サッシのメッキトリムは、ハセガワの蒸着フィルム「ミラーフィニッシュ」を使っています。メッキ風の質感は非常にリアルですが、貼るにはかなりコツが要る感じで、ちょっと手こずりました。
 ドアハンドルはボディに一体モールドで、グリップ部分が抜けていないので、ドリルを通して真ん中を刳り貫きました。リアクォーターのリベットは、アドラーズネストのステンレス製リベットヘッド(S)です。

キットのインテリアはロードカー用のバスタブにロールバーと消火器、バケットシートを追加した物なので「R」の内装としては不完全です。厳密に言うとインパネの形もかなり違うのですが、細かい所には目をつぶって雰囲気重視で仕上げました。シートベルトはスタジオ27製のエッチングと、プラスの製本テープの組み合わせです。このテープは厚みのある糊付きアルミ箔の表面に紙をコートしてある物で、折り曲げの自由度が高く、色も何種類か選べるので、ベルトにはちょうど良い素材です。


 ホイールは表裏2分割ですが、裏側のパーツがノーマルのマスタングと共通なので、スポークの間が抜けていません。そこで、裏側のパーツの中央部を旋盤で刳り貫き、軸受けをプラ棒で自作して表側のパーツに取付けました。リムの部分はガイアカラーのスターブライトシルバーをメタリックマスターで希釈して塗装しました。エンジン周りにも同じ塗料を使っていますが、かなりメッキに近い金属的な質感です。

 タイヤは実車では、おそらくリアの方がサイズが大きかったのではないかと思われますが、キットのタイヤは前後同サイズです。ビニール製でテカテカした質感ですが、モールドはなかなか良い雰囲気で、クロスプライのレーシングタイヤらしい形をしています。トレッド面にペーパーをかけて使用感を出し、側面はデカールの上からフラットコートしてテカリを消してやりました。


 ブレーキは前後とも省略されていますが、ホイールを加工して奥が見えるようにしたので、無いと格好がつきません。フロントのブレーキディスクはABS丸棒から旋盤で、キャリパーはプラ板でそれぞれ自作。ホイール裏側パーツの中央部を刳り貫いた残りの部分は、ちょうどドラムの様な形をしているので、そのままリアブレーキに再利用しました。

 キットの足回りはノーマル・マスタングのロードカーとしては適切なセッティングですが、レーシングカーとしてはそのままだと少々腰高な感じで迫力に欠けます。アクスルの先端を切り落としてブレーキ取付け用のベースを付けたので、その取付位置を調整して車高を前後とも2mmほど下げました。トレッドも3mmほど広げて、タイヤがホイールアーチに対してギリギリになるように修正しました。


 モノグラムがレベルと合併してブランドが消滅してから、もう随分年月が経ちましたが、現在のレベルのラインナップには、旧モノグラムの1/24キットが多数含まれています。80年代に金型が作られたキットには名作が多いので、旧モノグラム製品を安定的にリリースし続けてくれるレベルには大いに感謝したいですね。コアなアメ車模型のマニアにはあまり好まれない1/24スケールですが、ヨーロッパ車や日本車と並べて楽しむには、むしろ好都合。初代マスタングがアメリカ車としてはかなりコンパクトなクルマだったという事が、このキットを作ってみてよく判りました。

 細かい所に色々と手を加える必要があって、手間のかかるキットでしたが、その分作る楽しみをたっぷり味わう事が出来ました。これだからアメプラ止められません!



(2009年製作)


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