はじめに (Go to English version)

  リポクオリティ (lipo-quality) は、「脂質」を意味するlipidと「質」を意味するqualityを組み合わせた言葉です。生体内には多くの種類の脂質分子が存在し、その多様性が様々な生命現象や機能制御に関わっていることが類推されていますが、その分子実体やメカニズムについては不明な点が多く残されています。また、脂質はその水に溶けない物性、ゲノムに直接コードされない理由から、科学技術が進歩した現在でも解析し難い対象であり、このことが多くの脂質機能が未解明のまま残されている一因となっています。一方、近年の質量分析技術の進歩は目覚ましく、10万を超える脂質の質(リポクオリティ)の多様性が推定されています。このような状況下、リポクオリティの多様性を広範囲かつ明確に識別し、その違いを浮き彫りにすることができる最先端の質量分析技術を駆使し、リポクオリティを基軸とした生命現象の理解を目指す新たな学術領域を立ち上げる必要があると考えました。
 脂質は生体膜成分、エネルギー源、シグナル分子として多彩な役割を担う生体分子です。本領域では、疎水性分子である脂質が多様性をもって存在することが生物においてどのような意味があるのか、またそのバランス制御が破綻したときにどのような状況に陥るのか、といった課題に迫り、リポクオリティの機能発現に関わる脂質分子や標的分子の同定、およびその動作原理の解明を目指します。公募研究には、脂質研究の経験は問わず異分野研究者の積極的な参入を期待するとともに、若手研究者を歓迎し、斬新な視点からの独創的・挑戦的提案を期待します。どうぞよろしくお願いいたします。

 研究領域名  脂質クオリティが解き明かす生命現象
 領域略称名  ポクオリティ
 領域代表者  理化学研究所・統合生命医科学研究センター・チームリーダー 有田 誠