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※このページは、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所言語ダイナミクス科学研究プロジェクト(通称:LingDy)若手研究支援プログラム「言語類型論的視点に基づく文法概略記述のための調査研究」のページです。

 

プロジェクトの目的:

  本プロジェクトは、記述言語研究に従事する研究者が収集したフィールドデータに基づき、A. 英語により研究対象言語の20-30ページ余りの文法概略(全10言語)をまとめ、執筆・刊行し、B. オンライン上で公開することを目指す。

 

 研究代表者および分担者は、2005年度よりアジア・アフリカ言語文化研究所においてはじまった「記述的言語研究コミュニティー構築プロジェクト(略称:Fieldling)」に参加している。Fieldlingはフィールドワークによって得られる一次資料に基づく言語研究を活性化し、言語記述の充実と類型的研究の進展を促すことを目的とし、これまでにいくつかの研究プロジェクトに取り組んできた。そうしたFieldlingの研究プロジェクトのうち、具体的なアウトプットとなったものが「文法スケッチ」プロジェクトである。

   「文法スケッチ」プロジェクトは、各自がもつ一次資料をもとに、1言語20-30ページで概略ながらも総合的な文法を記述し、出版・刊行するものである。ただし、単に文法概略記述を目指すのみではない。参加者の多くが大学院生および大学院課程修了者からなる若手研究者であることから、この総合的概略記述は研究対象言語の文法全体を見渡すための出発点としても重要な意味を持つ。さらに当プロジェクトでは参加者の討議により執筆項目を決定している。このことは類型論的に活用しうる文法記述のあり方を模索するうえでも重要である。個別言語の文法を記述するという点でも、通言語的に活用しうる文法記述という点でも、若手研究者にとって非常に有意義な活動となってきた経緯がある。

  しかし、現時点では出版されたシリーズに対する評価は十分に得られていない。これまで延べ18の言語についての文法概略記述が完成しているが、若手研究者である参加者にとって意義ある活動ではあっても、その完成した文法概略についての評価は、残念ながらあまり得られていない。「文法スケッチ」プロジェクトの刊行物である『文法を描く』シリーズは使用言語を日本語に限定している。研究対象言語もしくは近縁・近隣の言語の記述研究に従事する研究者が日本国内には非常に少ない。そのため、その記述に対する評価を得る機会がそもそも少ないことが、評価が得られない原因となっていると考えられる。

  また、言語類型論的観点からの執筆ではあるが、18言語という数は(地域・文法構造ともにバリエーションに富む言語を扱ってはいるものの、)類型論で扱う資料としてはけして多いとはいいがたい。本来は今後も若手研究者養成を兼ねてさらに多くの言語の文法概略を発表すべきであるが、現時点で積極的に執筆を試みる若手研究者がほとんど見られない状況にある。

  そこで、今回のプロジェクトではこれまで日本語で記述したこれらのスケッチを英語に書き改め、ひとつの文法記述のタイプとしてこれまでの「文法スケッチ」プロジェクトの成果を(とくに)海外に向け紹介し、その評価を求めるとともに、海外の若手研究者の執筆参加を視野に入れ、この「文法スケッチ」プロジェクトの国際的発展を目指していく。

 

これまでの「文法スケッチ」プロジェクトの経過および作業用ページ(FieldlingWhiteboardのページ)  

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