虚偽主張でリベラルアーツ法律事務所・松木隆佳を弁護士懲戒請求

リベラルアーツ法律事務所の松木隆佳弁護士(東京弁護士会所属、登録番号39231)が虚偽主張・立証で弁護士懲戒請求された(平成24年東綱第457号)。松木隆佳は東京地方裁判所に係属中の土地共有持分確認等請求事件(平成20年(ワ)第23964号)の被告復代理人(その後、代理人)であったが、この訴訟において明らかに事実に反する虚偽の主張・立証を行ったことが請求の理由である。
懲戒請求書によると、松木隆佳の虚偽主張は平成23年5月12日付被告準備書面(12)10頁の以下の記述である。
「平成19年7月15日、被告は、予定では病院へ行く予定であったが、台風が直撃し、風が強かったため、病院へ行くのを取りやめ。病院へは行ってない。なお、気象庁の過去の天気のデータによっても台風が直撃した日である(顕著な事実)。」
ところが、実際には平成19年7月15日の東京に台風は直撃していない。この日の天気は曇りで、風速は秒速6メートル程度であった。
台風が直撃したと言うからには台風の暴風域または強風域に属していなければならない。台風情報で赤色の予報円で表現される暴風域は平均風速25メートル以上である。黄色またはオレンジ色の予報円で表現される強風域は平均風速15メートル以上である。台風の大きさも台風に伴う風速15メートル以上の領域の半径が基準になる(気象庁「気圧配置 台風に関する用語」)。つまり、風速が15メートルなければ台風が直撃したとは言えない。
風速6メートル程度の平成19年7月15日を「風が強かった」とすることも虚偽である。気象庁の用語では平均風速10メートル以上で「やや強い風」、風速15メートル以上で「強い風」になる。「強い風」でも「風に向って歩けない」レベルで、台風直撃には程遠い。「立っていられない。屋外での行動は危険。」となるレベルは風速毎秒25メートル以上である(気象庁「風の強さと吹き方」)。鉄道の在来線は風速20メートルで速度規制がかかり、風速25メートルで運転見合わせとなる。
「台風が直撃した日」というものの、東京の話ではない。平成19年7月9日にカロリン諸島で発生した平成19年台風第4号は沖縄や九州では猛威を振るった。7月13日には那覇市で最大瞬間風速56.3メートルを記録した。14日夜から15日の明け方にかけて四国地方の南の海上を通過したものの、本州には上陸しなかった(顕著な事実)。
土地共有持分確認等請求事件では「台風が直撃し、風が強かった」に対して、原告側から平成23年5月15日付原告第13準備書面が提出され、上記が虚偽である旨の反論がなされた。合わせて平成19年7月15日の天気が曇りであり、風速が毎秒6メートルであることを示す「Yahoo!天気情報」が甲第112号証として提出された。
これに対して、被告は5月17日付で乙第92号証を提出し、甲第112号証の反証とした。乙第92号証は 東京 2007年7月15日(1時間ごとの値一覧)」と題し、2007年7月15日の東京の降水量などを記載した表である。
5月17日付被告証拠説明書の立証趣旨には「平成19年7月15日、台風第4号が直撃し、同日午前10時には1時間当たりの香水雨量(原文のママ)が12ミリも記録する雨を観測している事実等」と記載する。尚、被告証拠説明書には「降水雨量」と書くべきところを、「香水雨量」とした誤変換がある。
原告は乙第92号証に対しても、平成23年5月18日付原告第14準備書面で反論する。乙第92号証(甲第5号証)自身が東京に台風が直撃したとの被告主張の虚偽を示している。この日の時間降水量は最大でも10時台の12ミリに過ぎない。特に病院の面会時間帯である午後は、ほとんど雨が降っていない。乙第92号証でも15時の降水量は0ミリである。時間降水量50ミリ以上位でなければ豪雨とは言えない。「強い雨」「土砂降り」は雨量20ミリからである。「激しい雨」となるのは雨量30ミリからである。平成24年(2012年)7月九州北部豪雨の2012年7月12日未明の熊本県での大雨では阿蘇市が1時間雨量で106ミリ、菊池市が71ミリである。風速も毎秒10メートルを越える時間帯はなく、最大風速は夜間21時の8.7メートルである。
三上岳彦『都市型集中豪雨はなぜ起こる? 台風でも前線でもない大雨の正体』(技術評論社、1998年)は都市型集中豪雨について解説した書籍である。気象庁の雨の強さと降り方の指針も掲載されている。そこでも強い雨は時間雨量20ミリ、激しい雨は30ミリからである(20頁)。
第6回口頭弁論(5月19日)で、松木は原告準備書面の陳述の制限と原告提出証拠の却下を申し立てた。しかも松木は、原告提出証拠を却下するならば被告提出証拠も撤回すると述べた。松木の申し立てに対して裁判長は原告提出証拠を「立証の問題」であり、「時機に遅れた攻撃防御方法とは考えていない」と斥けた。
この経緯を懲戒請求書は「自ら提出した証拠が真実に基づくものと自信があるならば撤回する必要はない」と評価する。原告が被調査人の虚偽を主張立証したために、撤回を申し出たと判断することが自然との考えである。
リベラルアーツ法律事務所は東京都目黒区目黒にあり、行政書士事務所リベラルアーツと同じ住所にある。「目黒の相続はリベラルアーツ法律事務所。目黒区目黒に事務所を構える弁護士が相続対策や相続問題に直接対応いたします」と相続問題を宣伝している。その相続問題に関する裁判での主張立証内容について松木は懲戒請求を受けることになった。