代数幾何セミナー:『 有理点の幾何学ー代数幾何を通して見たHilbertの第10問題ー』 (世話人 竹内耕太)
講演者: 南出大樹 神戸大学大学院理学研究科数学専攻
日時:2012年8月14(火)-16日(木) 時間:各日13時ー19時頃
場所: 筑波大学自然系学系棟D棟509
キャンパスマッップはこちら(わかりにくい)
もしくは
google maps で"36.107499,140.101004を"検索。緑の矢印の建物。
アクセス:TXつくば駅から「大学循環右回り」もしくは「大学中央行き」のバスに乗車。「第一エリア前」下車。
駅から大学まで多少時間がかかりますので注意してください。
内容:講義と講演者の研究発表があります。
講義:「有理点の幾何学ー代数幾何を通して見たHilbertの第10問題ー」
1.幾何から数論へ
2.数論幾何ー有理点の幾何ー
3.代数幾何における圏論
4.数論幾何における圏論
研究成果発表:「Bridgelandの安定性条件に関するモジュライ空間について」
5.研究成果講演(木曜日18時から予定)
アブストラクト:
1.幾何から数論へ
代数多様体の一般論を曲線・曲面の場合を中心に説明する.
その後,スキーム理論の概要に触れる.具体的には,歴史や強み等に焦点を絞り,基
礎的な道具を構築する.
簡単な多様体論を知っていれば感覚的には理解して頂けると思うが,理論を追いたい
方は可換代数論やホモロジー論,圏論にも触れておいて頂きたい.
参考文献:Algebraic Curves (W. Fulton), Algebraic Geometry (R. Hartshone)
2.数論幾何ー有理点の幾何ー
Hilbertの第10問題を発端とする「多項式の有理数解を求めたい」という問題意識が
どの様に幾何学と結びついたかを概説する.
幾何学的手法を通じ,幾何学的不変量と数論的性質の神秘的な関係を紹介できればと
考えている.
詳しくは述べられないが.曲線で解っている事を紹介し,それがどの様に高次元の多
様体の場合に再構成できるか延べ.現在の研究動向等を講演者の解っている範囲で追
う.
また,有限体上の幾何と有理点の関係についても触れる予定である.
参考文献:特に無し
3.代数幾何における圏論
射影多様体上の連接層を主に扱う.
数理物理,特に超弦理論の発展により,多くの思想が数学に流れ込んできている.
これらはミラー対象性に代表される様に定式化が難しいが,多くの数学的問題を示唆
している.
今回の講義では物理的背景を深く扱う事は出来ないが,その示唆から見い出された多
くの結果の一部分を紹介する予定である.
具体的には,不変量としての導来圏や,K3曲面やアーベル多様体の場合に代表され
る特殊な圏同値についても述べる予定である.
参考文献:Fourier-Mukai Transforms in Algebraic Geometry (D. Huybrechts)
4.数論幾何における圏論
時間が許せば.以下のプレプリントを紹介する.
現在発表されている高次元多様体上の有理点の研究で,圏論的手法の発展性/実用性
が最も見込める物であると思われる.
参考文献:arXiv.0809.2606, arXiv:0912.5299,arXiv:1009.4371 (D. Huybrechts)
5.研究成果講演
吉岡氏と柳田氏との共同研究による結果について講演させて頂く.まず,古典的な曲
面上のベクトル束のモジュライ空間,連接層の導来圏,Bridgelandの安定性条件につ
いて概念及び主要な性質を概観する.その後,安定性条件の壁越えについて解説し,
本研究に使われた手法やモジュライ空間の射影性に関する結果を紹介したい.
arXiv:1106.5217 and arXiv:1111.6187(S. Yanagida, K. Yoshioka, M-)