2020年度 『研究の指標』 かわち学座
『協同的な学びと新型コロナ対策』
~引き続き教育改革をすすめよう~

はじめに
中国湖北省武漢市保健衛生委員会によると、2019年12月以降同市では原因不明の肺炎患者が発生していると報道、2020年1月7日中国当局は新型コロナウィルスを検出したと世界保健機関(WHO)が発表、新型コロナウィルス(急性呼吸器感染症)の脅威が世界を駆け巡り始めた。日本では1月25日武漢からの観光客を乗せたバス運転手が感染、ヒトからヒト感染が現実となり、1月27日には4例の感染が確認され、いずれも武漢滞在歴があったと報道される。

これ以降、2月3日乗客乗員3711人を乗せたダイヤモンドプリンス号の隔離下船不許可騒動から、パブ、ライブハウス、フィットネスクラブなど続々と感染者が増加した。2月27日に国は「3月2日から春季休業日まで全国一斉休校要請」を発表、4月7日に7都府県を指定した「緊急事態宣言」5月7日までを発表、密集、密接、密着の三密を避ける、不要不急の外出8割減を強調、4月17日には全国指定に拡大して外出自粛に加えてコロナ疎開や旅行の自粛要請を行った。4月22日現在、全国の感染者数は11,992人で296人の死亡者が出ている。

学校は
 3月2日からの全国一斉休校要請で学校の様相は一変した。突然の休校措置で子ども達には外出禁止、家で居ることを通達した。でも、卒業式は挙行された。来賓は極少数、保護者は家族2人まで、在校生は送辞する者以は出席禁止、全員マスク着用の中で淋しく行われた。

コロナ感染者の数は日々に増加の一途を報道され、春休みはクラブ活動が禁止され、入学式は座席1メートルの間隔を保って挙行された。だが、緊急事態宣言で5月5日まで再度休校措置がとられ、始業式はなく、担任は分からない、教科書は配られていない。さらに三密回避の観点から職員会議は席を1メートル以上の間隔にする指示、職員は在宅勤務が勧められ、学校機能は完全にマヒ状態になっている。

この状態がいつまで続くかは分からないが、期限の5月6日以降学校が再開されることを望むが、学校が再開されたとしても三密回避のために普段通りの授業は行えず、机と机は1m以上の間隔をとり、対面会話は禁止が予測され、グループやペアやコの字の机配置は出来ず一列一斉前向きの授業が指示されるのは必定と思われる。

協同的な学びは
 「グループやペアが入れられないなら協同的な学びは出来ないのではないか?どう対処すればよいのか?」という声が聞こえてくる。感染防止のために密集、密接、密閉にならない授業をしなければならない。

 グループを入れた協同的な学びの前身は、学び合う学びの授業としてグループを入れない一斉授業形態で行われていた。一斉授業形態での学び合う学びの授業実践は大変難しく、佐藤学先生は「失敗が多かった」と述懐されている。2000年頃その授業にグループを入れること、しかも「分からないから教えて」から始まるグループ学習が創出され、以来今日のような実践の拡がりが見られるようになった。

 だから、グループやペアを入れなくても、学び合う学びと協同的な学びとミックスしたコロナ対策用の授業の創造は可能である。大事なことは授業改革の流れを止めないで本質を貫くことである。

 いずれコロナは終息する。しかし、改革の流れを止めて昔の授業に戻したら、子どもたちを取り返しのつかない危険な状況に陥れることになる。このことは、絶対に避けなければならない。

授業改革の本質は
 学びから逃走する子どもたちを学びに戻すための授業改革を進めてきた。改革の本質は、一問一等一斉授業形態をコペルニクス的転回したアクティブラーニング形態にする、子どもが主人公で子どもが説明する、先生は子どもたちの学びを促進するファシリテイターに徹する授業である。

分からない子が「分からないから教えて」と言えて分からなさを全員で考え合う授業である。授業は自ら「考える」が尊重され「分からない」「分かりたい」がエネルギーとなって「分かった」にたどり着く主体的な営みによって深い学びを形成する。

そして、この営みの中心にワークシート(課題)があり、先生がファシリテイトする…聴く、つなぐ、戻す…擦り合わせがある。グループを入れられなくてもこの視点に基づいた授業デザインを描くことで授業改革を進めることは可能である。 コロナ対策は何年つづくか分からない。でも、授業改革は休むわけにはいかない。いろいろな叡智と工夫を持ち寄って、この難局を乗り越えていきましょう。

コロナ対策授業の視点
●一問一答一斉授業に戻さない。
●アクティブラーニングスタイルを続ける
●ワークシートを活用する。
●子どもが主人公、子どもが考える授業をする
●分からない子や意欲のない子が学びから逃げないように「分からないことをメモする」、「考えるように励ます」等の工夫をする。
●説明は、先生でなく子どもが前でするようにする。
●「分からない」をつなぐようにする。

授業展開例
【共有】
★はじめは授業のつかみとして目標の板書とその説明
★ワークシートの配布
約束
…最初は独りで考える
…分からなかったら挙手をする
…先生が行って用紙に「分からないこと」を書くようにすすめる。
…この内容は、後でみんなで考えるからと目的をささやく

★机間をめぐりワークシートの出来具合を観察して指名を考える。
★指名をしたら頃合いを見て、黒板(WB)、タブレット?電子黒板に記入してもらう。
★記入が終われば前に出て説明をしてもらう。
★「分からないこと」聴く。
★聴く、つなぐ、戻す、をする。(聞き合い・学び合い)

【ジャンプ】
★ワークシートを配る
(工夫…ワークシート内に「わからないことを詳しく書きましょう」とコメントをつけた枠を設ける。)
★机間をめぐり考えるようにささやき励ましながら出来そうな雰囲気を探る。
(誰か出来そうなら、その出来上がりを待つ?出来たら前で説明をしてもらう)
★行き詰まりを感じたらScaffoldingを提示して再度考えさせる。
★それでも出来ないときは、分からなさを出し合って『聴く、つなぐ、戻す』をしながら解決を追求する。(黒板の前には子どもが立ち先生は教室の側面から促す)


2020 年4 月 



「学習会」の概要

※今年度は、学習会を年4回開催します。

テーマ
協同的で探求的な授業技法を体得する!

学びの共同体が提唱しているグループ学習を従来からのグループ学習と誤解している人がいる。はじめからグループはダメだと言って忌避をしている。一方、グループを入れてもうまく行かないと言ってあきらめている人がいる。それは、従来のグループ学習をそのまま入れているから。実際、この授業を駆使できるようになった人は、不謹慎な言い方になりますが「授業が楽になった」と言います。要は、正しいグループ学習の技法を体得することです。


【方 法】
『 理論・検討・研究・協議 』

①理論学習をする。
研究員に授業実践を授業DVDを交えて報告してもらいます。
 その実践報告を受けて授業技法の体得について研究協議します。
実践上の悩みを研究協議します。



研究目的

「学び合う」風景がある「協同的で探求的な学び」の授業づくり

●「協同的で探究的な学び」の授業実践者の育成をめざす。
●「協同的で探求的な学び」の授業が実現できる学校をめざす。
●「協同的で探究的な学び」の授業を軸に校区づくりをめざす。


          研究対象

          ●学びの共同体システム理論
          ●学びの共同体授業技法
          ●国語 社会 算数 数学 理科 英語
          ●音楽 美術 保健体育 技術家庭
          ●道徳 人権学習
          ●総合的な学習(未来都市教育・夢トライ科)


          【授業の技法】
            授業デザイン
            仕掛けプリント
            声のトーン
            声かけ、発問
            立ち居振る舞い
            子どもを観る
            聴く、戻す、つなぐ
            グループの活用


          事務局

          東大阪市立金岡中学校
          東大阪市金岡1-23-9
          TEL:06-6721-1972
          FAX:06-6730-2421