学びの共同体研究会かわち学座

2021年度 『研究の指標』 かわち学座

『主体的・対話的・深い学び』の実践に向けて

~文殊方式のすすめ~

はじめに

終息すると思ったコロナ旋風は変異株と体を変えて再び猛威をふるい始めました。大阪は4月12日に蔓延防止等重点措置が宣言され、明くる13日の感染者数は1099人に上りました。この状況でグループ学習は出来るでしょうか?2020年度から本格実施になった新指導要領による主体的・対話的・深い学びの実践にまたもや不安が湧き上がります。

昨年度、コロナ感染対策の中でグループを入れなかった教室は半年で、かつて荒れていた時代の様相に戻っていたことに驚きました。「グループを入れて欲しい」という声が子どもたちからも教師からも上がったと聞きます。グループ学習が子どもたちにも教師にも必要不可欠な存在であることが再確認できたことは、この教育をすすめる上で大きな学びとなりました。

中教審答申

去る1月26日、中央教育審議会は「令和の日本型教育の構築を目指して」と題して「すべての子どもたちの可能性を引き出す『個別最適な学びと協同的な学びの実現~』の答申を文科大臣に手交しました。

文字通りICT活用とグループ学習を両輪とする新しい時代の教育宣言であります。

新・旧二つのグループ学習

授業に取り込む少人数学習としてのグループ学習は、授業改革の主役となり当たり前のように多くの教室で実践されていますが、グループ学習に新・旧二つの型があることに気がつかず、漫然と旧い型のグループ学習を取り入れ苦しんでいる人が多いことに気がつきました。

そういう教室は、話し声が満ちあふれ、しっとりとした穏やかな空気が流れている教室とはかけ離れた状態となっています。「教えてもらって分かるようになった」という喜びは聞けますが、自尊心が傷つけられている子どもの存在を気に止められていないことを憂慮します。

かつてこの様なグループ学習をして「あんなことまで言われて俺は勉強できひん。俺は一生勉強せえへんど!」と怒りをぶっつけられた苦い場面が甦ってきます。

子どもの自尊心をいたく傷つけた旧いグループ学習の思い出です。去る2003年、佐藤学先生から教えられた「分かる子が教えに行くのではなく分からない子が『教えて』と言うことから始まる」新しいグループ学習=「文殊方式」は、子どもの自尊心を大事にしているグループ学習であったと言うことに今更ながら驚いています。

ICT活用

文科省は2019年にGIGA(Global and Innovation Gateway for All )スクール構想を打ち出し、学習者用パソコンの一人一台配備を目指すことになりました。そして、2020年、コロナ感染対策としてリモートによる授業の必要性が問われ、この構想に一挙に拍車がかかりました。

東大阪市は6月にもすべての子どもにタブレットの貸与と持ち帰りを実現します。各学校では、昨年から学習ソフト"ロイロノート"が配備され、その授業実践を観る機会も得ました。でも、せっかくグループになって学び合う学習場面でも"個々別々に黙々とタブレットに夢中になっている様子"や"キーボードを叩けば書けるはずのない綺麗な文字や漢字が書かれている答"を見るにつけ、どこか違和感を覚えるものがありました。

「ICTは教える道具にしてはいけない。学びの道具にしなければいけない」(佐藤学)と言われます。かわち学座は、子ども達の学習能力と学習定着に必要な「読み・書き・計算」力を奪ってはならないと考えます。ICT活用はこれからの時代には避けて通れない糧であります。子ども一人ひとりの資質能力が一層確実に育成できるものとしてあるように研究していかなければなりません。

「文殊方式」のすすめ

かわち学座は、これまで金岡中学校が実践してきたグループ学習を「協働的な学びの授業」と一般化して推進してきたところ、「グループ学習」が独り歩きをして、金岡中学校の実践の成功が旧いグループ学習の実践と混同されていることに覚醒しました。

金岡中学校の実践の成功は、佐藤学先生から伝授された"分からない子"の『教えて』から始まる新しいグループ学習を根幹にしてきたからです。それは、教室のすべての子の自尊心を守り、対等な人間関係を築き上げた学び合う環境としての教室を実現してきたことによります。今年度から混同を避けるために金岡中のグループ学習の実践「文殊方式」と称して、この教育を広く進めていくことにします。

2021年4 月

「学習会」の概要

※今年度は、学習(研修)会は年4回開催します。

テーマ

『文殊方式の授業の意味と技法を体得する!』

グループ学習は授業改革の主役として多くの学校で取り入れられるようになりましたがそのグループ学習は旧い型のグループ学習です。だから、はじめからグループはダメだと言って忌避をしている人や、グループを入れてもうまく行かないと言って困惑している人がいます。金岡中のグループ学習は新しい型のグループ学習です。そのグループ学習を「文殊方式」と銘うち、かわち学座は「文殊方式」の意味と駆使できる技法の体得を目的にします。

【方 法】

『 理論・検討・研究・協議 』

①理論学習をします。

②研究員に授業実践を授業DVDと交えて報告してもらいます。

その実践報告受けて授業技法の体得について研究協議します。

③実践上の悩みを研究協議します。

【目 的】

●「文殊方式」の授業実践者の育成をめざす。

●「文殊方式」の授業が実現できる学校をめざす。

●「文殊方式」の授業を軸に校区づくりをめざす。

【研究対象】

●「文殊方式」のシステム理論

●「文殊方式」の授業技法

●国語 社会 算数 数学 理科 英語

●音楽 美術 保健体育 技術家庭

●道徳 人権学習

●総合的な学習(未来市民教育・夢トライ)

【授業の技法】

授業デザイン

仕掛けプリント

声のトーン

声かけ、発問

立ち居振る舞い

子どもを観る

聴く、戻す、つなぐ

「分からなさ」をつなぐ

事務局

東大阪市立金岡中学校

東大阪市金岡1-23-9

TEL:06-6721-1972

FAX:06-6730-2421