ミリ波MIMOレーダーは、周囲物体までの距離、方位、相対速度を同時に取得できるため、車両や移動ロボットの自己位置推定、自車運動推定、周辺環境認識に利用できます。カメラやLiDARに比べて、暗所、霧、雨、粉塵などの影響を受けにくいことも特徴です。本研究では、ミリ波MIMOレーダーから得られる距離・方位・ドップラー速度情報を用いて、周囲物体の追跡、自車速度の推定、移動軌跡の推定を行うための信号処理・追尾フィルタ・センサ融合手法を検討しています。
自動運転、移動ロボット、屋外自律移動、インフラ点検などでは、自分自身がどのように移動しているかを正確に推定することが重要です。GNSS、IMU、カメラ、LiDARなどが広く用いられていますが、都市部、トンネル、屋内、暗所、悪天候環境では、それぞれのセンサに制約があります。ミリ波レーダーは、対象物の距離や方位に加えて、ドップラー速度を直接観測できる点が大きな特徴です。この速度情報を利用することで、自車速度推定、静止物体と移動物体の分離、周辺物体の追尾、レーダーオドメトリの高精度化が期待できます。
本研究では、ミリ波MIMOレーダーによって観測される複数の反射点や周囲物体を利用し、車両やロボットの自己位置・自車運動を推定することを目指しています。主な対象は、以下のような課題です。
・ミリ波MIMOレーダーによる自己位置推定
・ドップラー速度を用いた自車速度推定
・周囲物体のマルチターゲット追尾
・静止物体と移動物体の分離
・カルマンフィルタなどの追尾フィルタを用いた軌跡推定
・レーダー、IMU、カメラ、LiDAR、GNSSとのセンサ融合
・高分解能ミリ波レーダーにおける速度曖昧性への対応
これまでに、ミリ波MIMOレーダーで観測される複数の反射点や周辺物体を追跡し、その時系列変化から車両やロボットの移動軌跡を推定する手法を検討してきました。特に、マルチターゲット追尾フィルタを用いた周囲物体の追跡、ドップラー速度を利用した自車速度推定、レーダー観測に基づく自己位置推定に取り組んでいます。また、ミリ波レーダーの高分解能化に伴う速度曖昧性や、複数センサを用いた推定精度向上も重要な課題として扱っています。
Ryuto Terawake, Keiji Jimi, and Kenshi Saho, "Millimeter-wave Radar-based Ego-Trajectory Estimation of a Vehicle Using Multi-Target Tracking Filter," IEEE Sensors Letters, vol. 10, art no.3501804 , March 2026. DOI: 10.1109/LSENS.2026.3669681
Ryuei Maruyama, Ryuto Terawake, Keiji Jimi ,and Kenshi Saho, "Ego-trajectory Estimation of Electric Wheelchair Using Millimeter‑Wave Radar," CEUR Workshp Proceedings, vol-4082, pp.63-70, September 2025. DOI: 10.5281/zenodo.19583130
寺分琉斗, 自見圭司, 佐保賢志, "ミリ波MIMOレーダによる多目標追尾フィルタを用いた自車走行軌道推定", 電気学会C部門大会, August 2025. (優秀ポスター賞受賞)
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