下記のような方々にとって,もし参考になれば幸いです.
Zoomを用いてハイブリッド授業をする
Zoomで動画を多用する
シンポジウム等でタイムキーパーをする
対面・オンラインどちらの学生にとっても通常の授業のように感じてもらえていそうで,かつ現実的なやり方としてたどり着いた一つの方法を紹介します.
オンサイト学生への提示
オンライン学生への提示
要点
PCを2台使って,スライドと黒板(講義室の様子)を提示.
仮想カメラを用いて,高解像度な映像とリアルタイムな映像を同時に提供.
コンテンツや学生さんのオンライン環境に応じて,最適な映像設定ができるように.
使うもの(ハードウェア)
Laptop PC 1: プレゼンテーションスライドを映す用.
Laptop PC 2: 講義室の様子を映す用.
Webカメラ: 黒板の文字が見える程度に高解像度なもの.
卓上型三脚: Webカメラを取り付け,机上に置いた時に目線の高さになるくらいが理想.
ワイヤレスヘッドセット: 片耳タイプで小型なものが,自然な授業感が出ます.
(オプション)ワイヤレスポインタツール: 物理的なレーザポインタではなく,PC上でカーソルが動くようなもの.
(オプション)タブレットPC: スライド画面に書き込みたい場合に使用.
(オプション)マイクスピーカーシステム: オンラインとオンサイトの学生間の直接的なやり取りのために必要.
その他,講義室に備え付けのプロジェクタ等
使うもの(ソフトウェア)
仮想カメラソフト: 「OBS Studio」など.詳細については検索いただければ.
(オプション)リモートデスクトップソフト: Laptop PC 2を教壇から離れた位置に置く必要がある場合に使用.
(オプション)時間表示ツール: 「Time Keeper」など.仮想カメラソフトと組み合わせて,演習時間の管理やシンポジウムのタイムキーパーに利用可能です.
システム構成図
Zoom画面(わざと解像度を落としています)
方法(事前準備)
PC 1に講義室のプロジェクタを拡張表示で接続(PC側をモニタ1-1,プロジェクタ側をモニタ1-2とする).講義室のスクリーンにモニタ1-2を提示.
モニタ1-1:種々のPC操作用.学生から見えない.
モニタ1-2:スライド提示用.学生に共有する.
PC 2にWebカメラを接続.卓上型三脚を用い,講義室前列の机の上に,黒板と教員が映るように設置.
前列は感染防止のために着席させてないので,学生の邪魔にはなっていないです.
オートフォーカス機能があるカメラは,オフにしておいた方が良いです.黒板と教員の間をフォーカスが行ったり来たりして,学生さんが酔います.
Webカメラで講義室の黒板とスクリーン投影像の双方をきれいに取得・表示するのは困難です.それぞれ分けて提示したほうが良いです.
仮想カメラはPC 1, 2ともに起動.それぞれ,モニタ1-2,Webカメラ映像(モニタ2とする)を取り込む.
PC 1では,ウインドウキャプチャではなく画面キャプチャをおすすめします.マウスポインタが反映されないトラブルや,ウインドウ切り替え時に発生する操作を避けることができます.
Zoomのビデオで,それぞれ仮想カメラの映像を提示するよう設定.
PC 1にヘッドセットを接続.
必要に応じて,マイクスピーカーシステムを設置.
教員の声をきれいに届ける観点から,教員はヘッドセットを利用したほうが良いです.
方法(授業中)
オンライン学生は基本的に3画面(共有画面×1,Zoomビデオ×2)を自身のモニタに映すことになります.オンサイト学生は従来通りの感覚で受講できます.
利用している方のモニタ(モニタ1-2またはモニタ2)をZoom画面共有にて提示する.
Zoomビデオは解像度が低いがリアルタイム性が高い,共有画面は解像度は高いがリアルタイム性が乏しいという特徴があります.
そのため,スライドに動画があったり,教員がジェスチャー交じりで説明するときは,共有画面ではなくZoomビデオを見てもらう方が良いです.
学生には,「全画面表示を解除」→「ギャラリービュー」→縦の仕切りバーを左右に動かしてサイズ調整 を依頼します.
みんなZoomに慣れていて,割と自分でやってくれているようです.
モニタ2については,「画面共有」→「詳細」→「第2カメラのコンテンツ」でWebカメラの映像を表示することが可能です.
スライド利用時は,適宜ワイヤレスポインタを用いて説明箇所を指示.
質問が来た場合は,反復することで,オンサイト・オンラインの学生ともに共有できるできるようにする.
マイクスピーカーシステムがあれば不要です.
時間の提示が必要な場合は,仮想カメラのキャプチャを時間表示ツールに切り替える.
課題
1080p以下や一部のタブレットPC,スマホを使って受講している場合,学生さん側で画面の切り替えが必要になってくる.「これから動画を流します」みたいなアナウンスをしたほうが良い.
2つZoomアカウントが必要.セキュリティのため学内アカウントのみに入室制限をしている場合,別のアカウントを準備する必要がある.
LaptopといえどPCを2台利用するのも結構な負担なので,PC2の機能が講義室の設備で実現できると理想的.