今年度中にも着工予定のサービス付き高齢者向け住宅、略してサ高住に関していくつか質問いたします。
この警察団地跡地の利用につきましては、いわくいきさつがあるのですが、そもそもは平成25年1月、定住促進住宅6棟、24戸の建設を株式会社創建設計から提案されたところから始まります。当初の町の説明では、立ち上がりに3600万円の補助金を出すが、固定資産税その他で20年間にはそれを補ってなお、3184万円の収入が見込めるとのことでした。
民間活用で結果的に収入増にもなる、こんな良い話はない、私たち議員もこのことについては問題視せず、予算案を可決しています。しかし、その後業者の入れ替わりがあり、計画も一転二転することになります。計画の変更があった辺りから私たち議員の一部は、そのご都合主義というか辻褄合わせというか、その場しのぎのやり方に不安を覚え、反対に回らざるを得なかったのですが、町はなお前のめりに推進を図って、結局破綻に至った経緯があります。その責任を追及された町長は、早期に計画し対応すると答えています。町長がサ高住の建設を急がれる所以でもありましょうか。
町長は当時、民間活用という言葉を強調されていました。民間活用でき、利益まで出る。確か当初の説明では、そのようなお話しもあったかと思います。しかし今回は、建物を建てて使っていただくというそのお考えとはほど遠いやり方です。
当初は増収も望めた話が今回は2億5000万円の持ち出しから始まります。固定資産税その他はおろか、維持・保全費用の負担責任さえ不明確です。建物は建つには建っても、億を超える金銭の差額、その損失に関してはどう責任を取られるのか、町長のお考えをお述べください。
誤解のないようにお断りしておきますが、私は古い話を持ち出して町長を困らせて良しとするものではありません。ただ、このサ高住が我が町の高齢者行政の中でどのような位置を占め、どのような役割を担うのかそれが見えないので、質問しています。
町の人口ビジョンでも、人口は減少し続けることになっていますが、高齢者は今後40年近くにわたって2000人以上を維持し続けると推定されています。いずれ老人ばかりにならざるを得ない町の中長期高齢者対策ビジョンはどうなっているのか。このサ高住はその中でどのような位置を占めるのか。町は、まずこのことを町民に説明し、町民の賛意を得る必要があるのではないかと考えますが、町長の見解をお尋ねします。
さて、住民説明会でも配付された資料によれば、町内には現在約40人がサ高住、あるいはケア付き住宅を必要としているとのことですが、今回のサ高住の収容人数は18人です。あぶれる高齢者の対策はどのように考えておられるのでしょうか。18人のために総額3億6000万円もの費用を使うのではなく、もっと多人数の収容を考えたより軽便な建物をいくつか建てるという選択はなかったのでしょうか。
この質問に対しては、町はおそらくこのサ高住は介護予防拠点という役割になっているという答弁があると思います。
しかし、これは町が今回の補助の根拠として考えた苦肉の策で、本来これらは別々に設置すべきものです。シルバーフィットネス一つとっても、サ高住住民にとっては、外部からの絶え間のない人の出入りは、精神的に落ち着けないものだろうし、一般町民にとっても自由に出入りしていいと言われても、やっぱり敷居の高い感じはあるだろうと思われます。このことに関しても町長のご説明がいただければ幸いです。
高齢者を施設に収容するということは、その分、空き家を増やすことにも繋がります。このことに早く気付いた自治体の中には、空き家を利用したケアハウス、あるいは空き家になる寸前のケアハウス化という対応をしているところもあります。3月6日には国交省でも、この考え方に近い方針が示されました。私は2月18日の議員協議会でもこの質問をしたことがありますが、その答弁では、空き家が発生すれば空き家対策の中で考えるとのことでしたが、本当にそれで十分なのでしょうか。それとも、増え続ける空き家にはこう対応する、そんな秘策でもあるのでしょうか。町長にお聞きしたいと思います。
高齢者の貧困問題も深刻化しています。下流老人社会という言葉が流行語になりましたが、平均年収が200万円とも言われる今日、月10万円もの経費を払ってサ高住に入居できる人は、恵まれた存在と言わざるを得ません。その人たちは、特に町が手をかけなくても自立できます。本来、町が目を受けなければならないのは、そこからこぼれた人たちではないでしょうか。地味で辛気臭く、儲けにはならないから民間が目を背けるような仕事こそ、行政の出番ではないでしょうか。どうか派手な表舞台ばかりを志向しないでください。
かつて高度成長期に、箱物行政と呼ばれる時代がありました。とりあえず右肩上がりの成長が見込まれ、資金も潤沢でしたから、地方の首長はこぞって箱物を作りたがった。自分の功績を誇示するには最も簡単明瞭な方法だったからでしょう。周りの関係者にはいい顔ができるし、それは即、票にもつながる。
あるいは自分の懐も潤うことがあったかもしれない。実際その時代、氷山の一角というには多過ぎる汚職事件の摘発も記録されています。そうして辺鄙な村や町の一角に、突如御殿のようなコンサートホールや図書館、公会堂が出現したものでした。
しかし、それらが十全に使われたかというと、ほとんどがやがて自治体のお荷物になっている。立派な建物になればなるほど、ランニングコストはかさむし、維持管理費も膨大になるからです。
当然、そのような愚を犯されることはないと思いますが、町長が当面維持すると明言された7300人という人口も、予想を大きく外して来年度中には7000人を割り込むという勢いで減少しています。なかなか先の読めない時代であることは間違いありません。負債を抱える事業には、一切慎重であるべきではないかと考えますが、町長の方針はやはり変わらないのでしょうか。ご説明ください。以上で質問を終わります。