鷹栖町の特産品として町民の数少ない自慢の一つであるトマトジュース「オオカミの桃」の表ラベルから鷹栖町の文字が消されたことについて、町長にいくつか質問させていただきます。
このことが住民の間でも話題になり始めたのは夏も盛りの頃だったでしょうか。
今年度から町外のトマトも使用することについては3月、議会にも報告がありましたが、それにともない表ラベルから町名を消すとは何の相談もなかったわけで、これは私にとってはまさに寝耳に水の話でした。
そうして鷹栖という町名がいともあっさりと棄てられたことに大きな衝撃を受けたわけです。
似たような感想を持たれた町民の方も少なくはなかったことと思います。
郷土愛は郷土の名前によって求心力を得、住民の心の中に育つものです。
かつて名町長とうたわれた故小林勝彦元町長は道央道の旭川インター開通に際して、鷹栖の名前を旭川と併記させることにどれ程、尽力なさったか、町の職員だった町長ですから、まさか知らないとはおっしゃらないでしょう。
そしてその時、たったこの2文字の挿入のことをどうでもいい問題だとは誰も思わなかったはずです。
おかげで今日でも高速道路を使うたびに私たちの郷土愛はひそかな満足感を味わいます。
道路マップを開くと道内はもとより、全国津々浦々、九州の果てででも鷹栖の名を目にします。
鷹栖人にとってこれはやっぱり喜ばしいことと言わねばなりません。
わが町の特産品オオカミの桃も鷹栖の名と共に全国に売れていました。
オオカミの桃はそのおいしさと共に全国に鷹栖の名前を宣伝してくれていたわけです。この効果は私たちの想像以上に大きなものなのではないでしょうか。
ともかく町名が消えたことがいかに町民の意向に背くものか、たとえば本定例会に質問に立つ6名のうち、3名までが、この件の関連質問であることを考えてもそれは明白だと思います。
農業振興公社が自社の利益を最優先するのは当然だとしても、町民の利益を尊重しなければならない立場の町が公社のなすがままに手をこまねいていていいわけがありません。
関係者の一部には鷹栖町のオオカミの桃はもう充分、全国に浸透しているから、このままでいいのではないかとの意見もあるように聞きますが、これはとんでもない話で、人間はそれ程記憶のいい動物ではありません。このままでは1年もすれば鷹栖町の名前はすっかり忘れ去られてしまうでしょう。
町は町民の貴重な税金の中から9000万円、50%もの出資をして関わっているわけですから、農業振興公社にはきちんと鷹栖町の宣伝マンとしての自覚を持ってもらわなければなりません。
町長はこの鷹栖町で生まれ、この町で育ち、学業もこの町を出ることなく終えられています。
この町に対する愛着は人一倍だと思っていたところですが、その町長がこの事態に対して、これといった行動を取らずにいるのはなぜですか。私には残念でなりません。公社にもう一度考え直すように働きかけるべきではないでしょうか。
関係者の話によると、町外のトマトを使用することに関して、取引業者に裏ラベルの変更を申し出たところ、うち2業者から表ラベルの表示についても指摘があって、それで急きょ「鷹栖町」の文字の抹消を決めたとのことでした。
町外のトマトを使用すると決定した際、このラベル問題について検討しなかったのは私たち議員の落ち度でもあるのですが、2業者に指摘を受けてからの対応について、大株主であり、社長まで出している町としては、もう少し対策に口を出すことも出来たのではないのでしょうか。公的機関として、ことの次第を上部組織と相談する手間も省いてはならないものだったと思います。
僭越ながら、私は消費者庁にこの件を問合せしてみました。
いただいた回答では町外のトマトも使用していることを明示すれば消費者の誤解は防げるのではないかというものでした。
ここではっきりさせておかなくてはならないのは「鷹栖町」の表記の有無が問題なのではなく、鷹栖町以外のトマトも使っていることを明記することが重要なのだと指摘されたということです。
町長はこの件に関して北海道経済の取材に「残念だが、時代の流れもあり、全国の消費者を視野に入れながら総合判断をした結果」と話していますね。
私には人口減少社会の到来が確実な今日、ますます特産品にからめて町名を全国に売り込まなければならない時機のように思えてなりません。
知名度の低い町村はこの先、生き残るのが難しいと考えますが、町長はそうではないようです。
町長のお考えになる時代の流れとはどのようなものなのか、ご説明いただけますか。
また総合判断とは、いったいどういうものだったのですか。この総合判断に町民の意向は考慮されたのでしょうか。
私ならまず第一に鷹栖の文字ははずせないと考えます。
そうして1つ、町名をはずさなければ取り引きできないというのであれば、その業者との取引は中止する、それだけの商品力をオオカミの桃は持っているはずです。
2つ、消費者庁に問い合わせていれば、この問題の解決のヒントはその場でいただけたはずです。
3つ、最後になりますが、公社の取締役会にはかっていれば、またよい知恵が浮かんだかもしれません。
こういうことが考慮の対象にならなかったのは残念です。
では町長のおっしゃる総合判断についてお聞かせ下さい。
次に町名を抹消した後の町、および町長の対応についておたずねします。
確認させてください。町名が抹消されたこの商品は当町の特産品と呼ぶにはいささかうしろめたいということになりますか。
しかし町長は東京都三鷹市でこのオオカミの桃を直接販売しておられる。
鷹栖町の特産品とは呼びづらい商品を、鷹栖町の町長が鷹栖町の旗の下で販売する、町長自身、この光景に違和感はなかったのでしょうか。
もう一つ挙げますと、たかすタウンガイド、これは古いままで流通させています。
鷹栖町の文字がしっかり読みとれるオオカミの桃が写っています。
そうして「鷹栖町の朝もぎ完熟トマトのおいしさをそのまま瓶詰めしたジュースです」の宣伝文、これこそ消費者に誤解を与える情報そのものではありませんか。
町長はどのようなお考えで、この件を放置できるのですか。ご説明いただきたい。
地方創生ということが今、中央では話題になっています。
人口減少に歯止めがかからない今日、いずれ相当数の市町村が消滅することになるでしょう。
町の特産品を強くアピールするとか、そういうところには手厚く手当てしてまいりますとテレビで安倍首相も言っていました。やり方次第で勝ち負けをつけると政府もはっきり言っているわけです。
そういう時代にわが町のもっとも有力な特産品から町名を抹消した、これはいささか判断を間違えたと言わざるをえません。失敗はそう気付いたら改める、それが最善の対処方法です。
ラベルの鷹栖町の文字は復活させる、その上で総合判断をし、すみやかに事態を収拾させるよう働きかける。私はこのように提言いたしますが、町長のお考えをお述べください。