農業後継者をいかにわが町に呼び込み、かつ定着させるかという観点から、2点ほど町長に質問します。町は、新規就農者確保対策がそれなりに効果を発揮し、近隣他町村に比べても遜色のない状況だと自負しているようですが、それで本当に鷹栖町の農業人口は過不足ないのでしょうか。
町の認識と現場の農家の間では、相当に危機感に違いがあると言わざるを得ません。既に一部では、耕作放棄とも黙される農地が存在していますが、対応を誤ればそれが今後どんどん増大していくという認識が農家にはあります。
1戸あたりの耕作面積を拡張していけば、数字上のつじつまを合わせることができるでしょうが、機械化、外部作業員の導入といったことを考えると、経費的に対応しきれるかという問題が発生します。現状の田地を維持し、農家各戸が身の丈にあった農業経営をしていくためには、どうしても希望者を募り、経営の移譲、継承を推進する必要があると思われます。そういう認識があるからこそ、農水省も農業経営継承事業を立ち上げ、補助金をつけているわけで、町には危機感がかけていると言わざるを得ません。
わが町にも、全く他人でもいい、自分の農業を継承してほしいという人がおり、同様の希望を持つ人が他にも存在するのですから、この声には耳を傾けるべきではないでしょうか。米作には立ち上がり資金が課題になり、それが継承を妨げる一つの原因にもなっています。しかし、鷹栖町は、米作中心の農村ですから、そこを何とかクリアできるまでにハードルを下げる方法を考えるのも行政の知恵かと思います。
日本中の農村が多かれ少なかれ同様の問題を抱えています。そして、新規就農者の数は限られています。条件が似たり寄ったりならば、他を制して勝つには、行政の情熱に尽きると思われます。受入れを熱望する農家があるわけですから、ぜひ行政も本腰を入れてとりあえず最初の一軒を成立させてほしいものです。
最高責任者としての町長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
農業後継者に関しては、もう一件、看過できない問題があります。
それは、町内の農家がせっかく育てた貴重な後継者に、今だ未婚の人が少なくないと言うことです。親が元気なうちは、食事、洗濯など、日常生活には不自由はないでしょうし、あるいはそういう立場は気楽で捨てがたいものがあるかもしれません。しかし、親はいつまでもいるわけではないのです。手の打ち様があるうちに、親がいなくなったときのことを真剣に考えておくべきではないでしょうか。
若い農業従事者の一人は、いかに機械化しても、家族の協力無しでは20ha以上の耕作は無理だとしみじみ語ってくれました。生活の基盤を固めるのはしっかりとした仕事をやる上にも大切なことです。独身後継者を妻帯させるための、より強力な手段が来ているのではないでしょうか。
婚活パーティーが楽しい人もいるでしょう。そういう機会にしっかりパートナーを見つけた人も確かにいます。しかし、ああいう会は生理的に受け付けないという人も少なくないでしょう。
昔は、隣近所のおばさんや仲人を生きがいのようにする人があれこれおせっかいを焼いてくれたから、とりあえずよほどの変わり者でもない限り、誰もがどうにか結婚できた。堂でしょう。このシステムを復活させることはできませんか。世話好きのおばさんおじさんを募集して、個々人別に担当を決め、きめ細かく対応してもらいましょう。当人の本音も聞かなければならないでしょうし、説得や説教だって必要な場合があるかもしれません。写真入りのプロフィールもぜひ用意したいものです。こんなことを言うと、すぐ個人情報がどうのこうのという声が聞こえてきそうですが、当人の同意があればそんなことは問題にもなりません。
プロの結婚照会業者の知恵を借りることも考えられます。しかし、結構大変な仕事になりそうですから、これは無償ボランティアとは行かないかもしれません。結婚が成立した場合には、ぜひ報償金も出してあげたいものです。まとまらぬ形でアイディアを並べましたが、これを聞いて、町長はどのような感想をお持ちになったでしょうか。
行政には、その本質に守りの姿勢をとらざるを得ないところがあります。だから新しい提案には、なかなか動こうとはしません。しかし、先日亡くなられた、池田町の丸谷兼安氏のワイン然り、わが鷹栖町の小林勝彦氏のトマトジュース然り、いずれも攻めなければならない時にはきちんと先頭に立って局面を打開しています。町長にもぜひそういう先人の姿勢を見習っていただきたい。
言うまでもなく、農業は鷹栖町の基幹産業です。農業の未来は、取りも直さず、鷹栖町の未来と言っても過言ではありません。その未来が見通せない状況が続いています。何とかしなければなりません。町長は、農家のご出身と言うことですから、その思いは、よりひとしおのことだと思います。とにかく先頭に立って、何とかするぞという姿勢を見せてください。
町長の力強いご答弁を期待しております。