3月いっぱいで鷹栖地区のスーパーが閉店します。
これでとりあえず地域の一番店が消滅するわけで、高齢化問題や過疎化が話題になる昨今、周辺住民にとっては実質的な不便はもとより、気分的な喪失感も少なからぬことと思われます。
一つの象徴だった店舗が消滅する、それでクローズアップされたのが、この先、食料品や生活必需品などの買い物をどうするかという問題です。
もともと人口7千余人の町としては商業施設は貧弱だったわけですが、車さえ動かせれば、すぐ旭川に出られるわけですから主に旭川の商店に依存する形で私たちは今日まで何の不自由も感じずに暮らしてきました。行政もこれを容認する形で、あえてこのことが問題視されることはありませんでした。
平成25年6月に実施された高齢者世帯に対する買い物に関するアンケートというのがあります。
これを見ても地域や年齢に関係なく健康で車があれば、買い物に関してはまったく不自由のない実態が浮かびあがってきます。
しかし、いったん健康を害したり、また車を失うとたちまち「買い物難民」と呼ばれる状態におちいってしまうこともわかります。
欲しいものが買えない、不自由しているという声はまだ少数ですが、悲痛なだけに聞き捨てるわけにはいきません。
わが町の高齢化率を考えても「買い物難民」はこの先ますます増大するものと考えられます。
町はこの事態にどう対応しようとしているのでしょう。
「買い物」という行為は医療や介護などと比べて、生命に関わる深刻な問題として捉えにくいところがあるのですが、逆に医療や介護のような公的な制度が整備されていない為に、一旦困難が生じると、なかなか適切な対応ができないものです。だからこそなお町の適切な対策や方針が期待されるわけですが、町長のお考えをお聞かせ下さい。
さて、直近の課題としては鷹栖地区のスーパーに宅配を依頼していた50戸へは町が社協に依頼する形でサービスは継続されるようですが、これも少なからぬ問題を抱えての出発のように思われます。
たとえば同種の商品を比べて旭川の大型店との価格差が大きい場合はどう対処するのでしょう。
たとえば宅配サービスに並行するサービス、むしろこちらの方が社協としては重要なのでしょうが、困り事相談などはかえってうるさがる利用者も少なくないと思われます。それに対応するご用聞きボランティアの資質に関する問題も発生するでしょう。
また仮にこのプロジェクトがうまくいって、利用希望者が増大するとどこまでその負担に町は耐えられるのでしょうか。
また「買い物」は日常のささやかな楽しみでもあります。自分の目で見て選んで買いたい、衣類はどうすればよいのか、という声も無視するわけにはいかないでしょう。
経産省が買い物難民対策として4つの柱を挙げています。
1つ、宅配サービス、2つ、移動販売車による訪問、3つ、店舗への送迎サービス、4つ、新店舗の誘致、これらをいかにうまく組み合わせて実行するか、その成否が住民の満足度につながるでしょう。
しかし、どの問題にも、それぞれの思惑が交差し、利害が絡みます。
誰もが納得し満足できる方法などはどこにもないのかもしれません。
だからこそ今、町長の強力な指導力、決断が求められているのです。
新しい店舗の誘致を考えますか。旭川へ買い物バスを走らせますか。
宅配や移動販売車で住民の買い物ニーズを充分に満足させることは不可能だと考えます。
私はここまであえて買い物問題に限定する形で話を進めてまいりましたが、わが町が進める“あったかすな町”、すなわち、どこにいても安心・安全な町づくりにはこの他にも医療のこと、介護のこと、移動手段の確保や耕作放棄地対策など問題は山積みだと言わなければなりません。
いつまでも住み続けたい町「あったかす」、本当にこの言葉を信じていていいのでしょうか。この実現のために町はこの先、短期的にはどのような対策を実行し、中長期的にはどのような計画を作成するおつもりなのでしょうか。
幸い新年度からは7総の後期計画の策定作業が開始されます。
この際ですからぜひ町長に10年先、20年先を見据えたグランドデザインとでもいうべきものを提示していただきたいと思います。