加島範久・辰野町長も移入外来ホタル問題を無視

2016年で68回目となったこの祭り。しかし,現在の松尾峡ゲンジボタルは,祭りの長い歴史の途中で,観光用に大量移入された外来種である。県外から買ってきたり,譲られたりしたホタルを養殖し増やしたのである。決して,元々そこにいたホタルを増やしたのではない。それどころから,その移入養殖政策により,元々住んでいた貴重な在来種ゲンジボタルは滅ぼされてしまった。
辰野町は,その事実を隠し,あたかも地元のホタルを保護し増やしてきたかのように宣伝し(辰野町観光サイト),ホタル保護育成協力金(入場料)500円および駐車場料金を徴収している。外来種ホタルの移入養殖が始まった後に,ホタル鑑賞の有料化も始まった。詐欺まがいとも言える外来種ホタル商法が続けられている。

辰野町でホタルのガイドをやっている人でさえ,この町のどこが外来ホタルで,どこが在来ホタルか,知らなかったという笑い話のような情けない告白が,Yahoo!知恵袋にあった。この町の役場が,住民にさえ,真のホタル情報を隠している証拠である。

辰野町は,外来種ホタルを野外で養殖してきただけでなく,県外へそれを移出もしている。例えば,新潟県南魚沼市の大月ホタルの里は,辰野町から移出された外来種ホタルを養殖している。

松尾峡で外来種ホタルを観光用に繁殖させるために,辰野町がそのホタルを購入してきた滋賀県守山市では,2015年10月10日に,この問題に関する学習会が開催され,私が招かれ講演してきた(滋賀県守山市・環境学習会)。守山市から移入したゲンジボタルの影響で,松尾峡の在来ゲンジボタルが絶滅してしまったことや,その移入ゲンジボタルを県外へ移出もしてきたことなどを解説すると,出席者から驚きとともに多くの質問が投げかけられた。

違法で悪質な外来種ホタル養殖が続く辰野町松尾峡
辰野町松尾峡
 生物多様性基本法の観点から見ると,町役場によって,違法で悪質な外来種ホタル養殖が続けられている観光地

国が2014年から,ゲンジボタル,メダカ,カブトムシなどで,国内外来種となっている場合の対策強化を検討し始めた(毎日新聞 2014年05月12日)。

問題を引き起こしてきた外来種ホタル養殖を隠したまま,ホタル保護育成協力金という見物料を徴収する辰野町役場は,生物多様性保全の観点から見れば,行政による悪質な違反例である。ここの外来種ホタルも,当然,規制対象にすべきである。

加島範久氏は辰野町役場の元職員であったが,2013年10月22日,辰野町・町長選挙で,共産党などの支持を受け,無投票当選 

前町長・矢ヶ崎克彦氏は,辰野町松尾峡における外来種ホタル移入養殖の歴史や,その生態被害の実態を,観光客にも町民にも全く公表せず,行政上の汚点を残したまま引退した。矢ヶ崎氏は,2014年4月に,長野県議選に立候補したが,そのときも,外来種ホタル移入養殖問題には全く触れなかった。結局,彼は県議選に落選した。

矢ヶ崎氏の後を受けて町長になった加島氏も,役場も議会も,2014年現在,この外来種ホタル養殖の問題に対して,なんら対策を取ることもせず,検討もおこなっていない。移入外来ホタルであることを観光客に隠して「ほたる祭り」を実施していく,という町政は変わらない。

それどころか加島氏は,数千万円(元は税金?)をかけてほたる童謡公園に大型遊具施設を新設した。その彼が,「豊かな自然に恵まれた辰野町」などと,うそぶいているのだから呆れてしまう。

かつて,ホタルの名所と謳われた松尾峡は,今では,観光用に遠く県外から移入された外来ホタル養殖の地であり,生態系破壊の地でもある。生物多様性基本法に違反し,生物多様性国家戦略2010に背く,違法状態で恥ずべき観光地が,現状の辰野町松尾峡である。

このような町政が続く背景には,経済的利益を優先し,生物多様性破壊を容認する根橋俊夫氏(共産党)や外来種ホタル移入を知っているのに知らんふりする三堀善業氏のような辰野町議の存在も関与している。さらに,ここが外来種ホタルであることを自分では知っていながら,それに敢えて触れない無責任な新聞記事やツイートを流す朝日新聞記者のような存在も一因だろう。

長野県内では,やはり県外から外来種ゲンジボタルが移入された上高地で,環境省は,駆除する計画を示している(朝日新聞 2014年4月10日; 信濃毎日新聞 2014年04月09日)。一見,優雅に舞うホタルでさえ外来種ならば,駆除の対象となりうる例である。

Yahoo! 知恵袋の質問・回答でも,辰野町の悪質な環境破壊行政が指摘されている。その一方で,同じYahoo!知恵袋の外来種ホタルの質問や,ウィキペディア(‎Wikipedia)の松尾峡の項目では,辰野町にとって都合が良いように説明したり,事実を隠したりする人もいる。

観光に役立つからと,外来種ホタルを無頓着に養殖し続け,生物多様性保全を省みない,旧態依然の辰野町行政の姿が,ここにある。

参照ウェブページ


著者紹介
井口豊
生物科学研究所 長野県岡谷市
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