次回例会のお知らせ

5月の関西地区例会は、大陸部東南アジアを中心に知られる仏教説話「12人姉妹」の現代的展開について3本の報告からなるワークショップとして開催します。お誘いあわせのうえ、ふるってご参加ください。

●日時:2017年5月27日(土)午後1時30分~午後5時30分
●会場:京都大学東南アジア地域研究研究所 東棟1階会議室
(http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/access/)
※当日入口は施錠されています。13:00~13:30まではドアを開閉するスタッフがいますが、その後に来られた方は、入口に貼ってある電話番号にご連絡ください。

●プログラム:
13:30~13:40
【趣旨説明】山本博之(京都大学東南アジア地域研究研究所・准教授)
13:40~16:20
・橋本彩(東京造形大学・助教)
「ラオスにおける12人姉妹:山となって語り継がれるプッタセーンとカンヒー」
・岡田知子(東京外国語大学大学院・准教授)
「リー・ブンジム監督『12人姉妹』(1968年)に見る1960年代のカンボジアの諸相」
・平松秀樹(京都大学東南アジア地域研究研究所・連携准教授)
「タイの「12姉妹」と特撮映画」
※各報告について発表30分、質疑応答20分
【コメント】飯島明子(東洋文庫研究員(客員)/東南アジア学会会長)
16:30~17:30
総合討論

●報告要旨
・橋本彩(東京造形大学助教)「ラオスにおける12人姉妹:山となって語り継がれるプッタセーンとカンヒー」
ラオスにおける12人姉妹の物語は、ルアンパバーン地方の民話として広く知られ、人々の口承伝承として語り継がれてきた。実際にルアンパバーンの市街地付近を流れるメコン川沿いには、悲恋の末に命を落とす主人公プッタセーンとカンヒーに因んだ「男山、女山」をはじめ、物語に関連する場所がいくつか存在し、地元の人々に親しまれている。2005年版の文学の教科書(小学4年生用)にも12人姉妹の物語が収録されていることから、この物語はルアンパバーン地方に限らず、ラオス人にとっての代表的な民話の一つと言えるだろう。しかしながら、周辺国であるカンボジアやタイには12人姉妹に関する映像像作品があるものの、ラオスで製作された映像作品はなく、文字以外の媒体としては管見の限り絵本しか存在していない状況である。

・岡田知子(東京外国語大学大学院・准教授)「リー・ブンジム監督『12人姉妹』(1968年)に見る1960年代のカンボジアの諸相」
リー・ブンジム監督の映画『12人姉妹』(1968年)は、現存する数少ない内戦前の作品のひとつとして、ここ数年、日本を含む海外の映画祭などで上映され注目を集めている。しかし作品の内容について踏み込んだ解説や検討はほとんどない。カンボジアでは、「12人姉妹」の物語は、主人公である若い男女の名をとった「プティサエンとニアン・コンライ」の物語としても有名であり、現在に至るまで広くカンボジアの人々に受容されている。本発表では、カンボジアの「12人姉妹」のさまざまなかたちを紹介するとともに、映画『12人姉妹』の主要登場人物の台詞と挿入歌の歌詞に焦点を当て、そこから読み取れる、独立近代国家として発展しつつあった1960年代のカンボジアの諸相について検討する。

・平松秀樹(京都大学東南アジア地域研究研究所・准教授)「タイの「12姉妹」と特撮映画」
本発表ではタイの「12姉妹」伝承について考察する。タイでは「ナーン・シップソーン」(12人の女性)あるいは「プラロット メーリー」(プラロットとメ-リー)として人口に膾炙している。前半では特に伝播の流れを追い、重要なモチーフについて分析する。同時にカンボジア・ラオスとの相違にも注目したい。また、現在タイでは「12姉妹」は映画、テレビドラマ、シット・コム、MVなど多岐にわたり再生産されているが、その受容・展開の模様を紹介したい。後半では、日本に映画留学し円谷英二のもとで学んだソムポート率いる、チャイヨー・プロダクション製作の特撮映画「プラロット メーリー」(1981)の特徴を指摘したい。映画ではトランスジェンダーの夜叉が活躍するといった様々な独創がなされている。

●共催:科研費・基盤B「物語文化圏としての東南アジア」(代表:山本博之)