卯・兎・兔・うさぎ・ウサギ(1):兔(兎)の字は、後ろからウサギを書いた象形文字


兔(兎) 【漢音】 【呉音】 【ピンイン】tu4

  兔(兎)
の字は、後ろからウサギを書いた象形文字である。


「卯」は、務・冒・貿・牡・目・眸 ・・・ おかす、むりにもとめる の家族

(引用) ※「漢字の話Ⅰ」藤堂明保
  孫子の兵法に 「初めは処女のごとく、終わりは脱のごとく」 せよと述べているように、ウサギは足のバネにものをいわせて直進し、ふと一瞬立ちどまって方向を確かめると、またサッと走り出す。「猟犬と(コウト)の足くらべ」というのは、古くから人びとの脳中に描かれたおもしろい構図であった。(引用おわり)

(是故始如處女,敵人開戶,後如脫兔,敵不及拒 -- 「孫子」:第十一篇九地

  人口に膾炙している、「狡死走狗烹」-狡兎(コウト)死(シ)して走狗(ソウク)烹(に)らる-という言葉は、『史記』:越世家 が出典で、『史記』淮陰侯列傳韓信の言葉としては、「狡死良狗亨、高鳥盡良弓藏、敵國破謀臣亡」 と表現されている。

  韓信とは、「股くぐり」、「背水の陣」・・・等で有名な漢の将軍である。軍略にかけては天才的な能力を発揮するが、どういうわけか政治的な能力に欠けるところがあり、老獪な劉邦(漢の高祖皇帝)やその妻呂后に手玉にとられ、数々の軍功を立てながらも、ついには三族皆殺しの刑に処せられた。

  さて、「うさぎ」の話。

  「亘娥(コウガ)月に奔(はし)る」
 
   「亘」 亙:ぴんと張る 「亙」と混用されたもの。本当は「亙」が正しい。
    ・・・ 上下の二線の間に月または舟をはさみ、月の上端から下端まで、またはこちらから向こう岸までわたることを示す。端から端までぴんと張るの意を含む。

   革・克・極・亥・戒・恒 ・・・ ぴんと張る の 家族

   月が満ち欠けしても、上下にわたる直径は不変なので、(わたる) → (つねに変わらない) という意味を生じた。 

   とはみめあざやかな美女のこと。
   つまり、亘娥とは、「月中の永遠の美女(つねに変わらない美しさをもつ)」のこと。のち、漢の文帝の名「恒」をさけて、「常娥」とも呼ぶようになった。

   ところで、昔の中国人は、甲乙丙丁・・・など10個の太陽があると考えた。天帝の十人の子が太陽であったのである。
 その母親は、六頭の竜がひく車に、毎日一人ずつ我が子を乗せて走らせることにしていた。人間の側から見れば、太陽は常に1個だけだが、じつは交代勤務であったのだ。甲の日には甲の太陽が、乙の日には乙の太陽が、というように順番に東海の水平線から登場する。夕暮れには西の果てに沈み、地下をめぐって、東方の扶桑の枝で休息しながら出番を待つ。
 西方の崑崙(コンロン)山には、西王母という女神がいて、役目の終わった太陽に不死の薬を与えて活力を補給するので、太陽たちは永遠の回帰を繰り返す。
 こうして、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸、と十日で一巡するので、それを一旬(旬=巡)と呼んだ。月のうち最初の日を「上」といい、次の十日と最後の十日を、「中、下」というのはそのためである。
 これを、何千年、何万年も繰り返すうちに、十個の太陽はもう飽き飽きしてしまった。兄弟たちは扶桑の木の蔭で語り合った。
 「いっぺん、みんなでそろって遊びに出かけようぜ!」

 こうして、地上では大変なことが起こったのである。 (・・・つづく)


   
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