瓜田に履を納れ、李下に冠を正す(1) 2013-09-07 Sat 00:55

「瓜田不納履、李下不正冠」(瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず)

 というのが本来のかたち。

  その意味するところは、「瓜(うり)の畑で靴が脱げてしまっても、そこで履きなおしてはいけない。なぜならウリ泥棒と間違えられかねないから。同じく李 (すもも)の木の下で冠(かんむり)、今風にいえば帽子をかぶりなおしたりしてはいけない。すももを盗んでいるのかと勘違いされるから」
 要するに、他人から嫌疑を受けるような行動はするなということ。

 でも、真に清廉潔白な人は「瓜田(カデン)に履(くつ)を納(い)れ、李下(リカ)に冠(かんむり)を正(ただ)してしまう」ものだ。

 1990年のある日、とある高校の先生が一人の生徒にお説教をしていた。
事情はどうもこういうことらしい。
 ①校舎外にあるトイレ付近にタバコの吸い殻が落ちていた。
 ②全校集会で、「もしも生徒が喫煙した場合、その近辺にいたものも”連帯責任”で特別指導(謹慎処分に)する」という連絡。(疑わしきは罰す)
 ③個人面接その他で、②の件を再確認。
 ということで、個人面接やその他の機会を通じて指導を徹底するということだったのだろう。
 その先生は、件(くだん)の生徒との話の中で、最後に上記の話をし、さらにお説教をたれた。
 「他人に疑われるような行動は慎むように。 ”李下に冠を正さず”です!」

 そんな乱暴な!トイレに近づいただけで犯人扱いなんて・・・
 と、たまたまその話を聞いた私は、恐ろしくなった。

 その瞬間、自分の高校生時分の光景がフラッシュバック。

 ①卒業してまもなく、旧担任との会話の途中・・・
  旧担任「君はタバコを吸うかね?」
  渾沌「????????」
  私は天地がひっくり返るほどびっくりした。そんな質問はありえない。
  当時の私としては、「タバコを吸うか?」と聞かれることは、「殺人しますか?」とか、「君は万引きをするかね」などと聞かれるのと同じことだったからだ。
  先日まで担任だった先生だから、私が未成年であることは明々白々。この質問はありえないのだ。
  (大学生となった早々、下宿の管理者から同じような質問をされてびっくりしたのも思い出す)
 ②冒頭のとある高校の先生の話から、①を思い出し、さらに・・・
  「ひょっとして、高校時代、ぼくもこの生徒みたいに疑われていたのではなかろうか?」
  という疑念が生じた。
  そういうふうに考えをめぐらせば、私は高校生時代、瓜田に履を納れまくり、李下に冠をいじくりまわしていたような気がする。

 高校生時代、私は「催眠」の研究に没頭していた。
 心理学の専門書を渉猟するのはもちろん、催眠誘導をしない日はないというほど、実技の方もがんばっていた。(苦笑)
 先輩や後輩が協力してくれたお陰で、専門書にあることはほとんど確認していくことができたし、研究にあたっては、倫理規定を作成し、それを第三者に覚えこませ監視させるという念の入れようで、結果的にこの手法の効果はあった。
  当時私は超真面目人間だったので、校内で催眠のデモンストレーションをやっていても、先生たちは誰一人怪しむ人はおらず、むしろニコニコ笑ってその「実 験」を見守ってくれていた。(普通、生徒がこんなめずらしいことをしていれば、教師は怪しんでストップをかけるものである)

 ・・・ところが、である。

 私は、それ以外に「怪しい行動」をとっていたのだ。

 まさしく、

「瓜田に履を納れ、李下に冠を正す」

 だ。

 エチケットを守るために、あることを徹底しただけなのだが・・・

 この続きは、次回に。

「瓜田に履を納れ、李下に冠を正す」(その2)

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