キーフラワー(Keyflower)

2013/02/01 0:35 に Jun Shin が投稿   [ 2015/10/01 21:16 に更新しました ]
「Key」シリーズのボードゲームを作っているRichard Breeseの最新作、「Keyflower」。今回は共同デザイナーとして、Sebastian Bleasdaleも加わっている。このBleasdale氏は、「クニツィアの弟子」と呼ばれている人らしく、過去のクニツィアゲームのテストプレイメンバーにも加わっているそうだ(最近だと「ウィ・ウィル・ウォック・ユー」を作っている)。ちなみにイラストはRichardの妹(か姉)であるJuliet Breeseと、その娘であるJoが描いている。家族でボドゲ制作って、素晴らしいね!


美しいアートワークと六角形タイルが非常に気に入ってしまったのと、どうもBGGなどでかなり評価が高い感じなのを見て、ルールを和訳してみた。ルールを理解すると、これがまた非常に美しい。そして実際にゲームをやってみると、短時間で終わるのに毎回展開が異なり、しかも私の大好きな競りが中心! 且つ、タイル配置!しかも資源生産!とても気に入ってしまった。

さて、このゲームは、1年間を通して「春」「夏」「秋」「冬」の各ラウンド(つまり全部で4ラウンド)やってくる「船」の積荷を競って、それを使って競りや能力発動を行うゲームだ。各ラウンドでできることは、手元のワーカーをいくつか使って、

(1) 場に出品されている村タイルを競り落とす
(2) 村タイルの効果を使う

のどちらかのみ。全員が連続してパスするまでラウンドをやったら、競り落とした村タイルを自分の村へくっつけ(村を拡張し)て、ラウンド終了。次のラウンドには、また新たな村タイルが何枚か登場する。これを4回繰り返して終了。非常にシンプルだ。


競りに入札する場合にも、村タイルの効果を使う場合にも、手元からワーカーを出して使う。競りの場合は、タイルの隣にワーカーを置き、効果発動の場合には上に置く。面白いのは、この時、既にそのタイルに置かれている(上でも、隣でも)ワーカーと同じ色のワーカーしか、置けない、というルールだ。

キーフラワーでは、赤・黄・青・緑の4色のワーカーがあるが、これはプレイヤー色とは関係がない。ワーカーはむしろ「お金」としての役割が濃く、4種類のお金があるのだと理解しておいた方が理解が早いかもしれない。

とにかくも、一旦そのタイルの色が決まると、そのラウンド中は、入札するにも使用するにもその色のワーカーしか置けなくなるのだ。これはまるでトリックテイキングのマストフォローのルールそのものだ。非常に斬新なルールである。

4色のワーカーのうち「緑」だけ、希少色となっているのもこれまた憎いルールだ。緑はスタート時点では誰も持っておらず、村タイルの効果を使って1個ずつ手に入れるしかない。ということは、最初に緑ワーカーを手に入れたプレイヤーが、それで入札してしまえば、もうそのタイルは「緑1個」で落札決定したも同然である。これをやれた時は爽快だ。もちろん、そう易々とは他プレイヤーが許してはくれないが…。

ちなみに村タイルは、例えばこんな感じだ。

(boardgamegeek.comより)

このタイルの場合、「使用」することで「石」資源が2個、このタイル上に生産される。(右下の矢印は、このタイルを「改良」するために必要なコストだ。)

「村タイルを競り落として、村を拡張していく」ということで、「Hawaii」などのように、「どんどんタイルを買って村を拡張していかねば!」と思ってしまうところだが、そうは単純ではない。何故なら、他プレイヤーの村に追加された村タイルも、後でまたワーカーを置いて使用できるからだ。置かれたワーカーはその村タイルの持ち主に没収されてしまうので、痛くもあるのだが、「あぁ、あのタイルを落札されてしまった、もう終わりだ…」という事にはならないのが非常に面白い。この部分は、「ル・アーブル」の建物タイルにも似ていると思う。

初回プレイ時、私は7つか8つぐらいのタイルを嬉しそうに落札しまくっていた。しかし、いざ自分がタイルの効果を使おうとすると、ワーカーが圧倒的に足りない(落札に使ってしまっていたので)。そして、他のプレイヤーにどんどんタイルを使われてしまい、自分が落札したタイルを自分で使えない、という最悪のパターンに陥ってしまった。最終的には、タイルを4つしか買っていないプレイヤーが圧勝したのである。そもそも、村タイルの効果は、別に競り落とさなくても使える。「今、競りにかけられているタイル」ですら、入札せずに使うことができるのだ。だから、競り落とすということに必要以上にこだわってはいけないのだろう。

勝利点の取り方には主に3種類ある。一つは、村タイルを「改良」することでタイル自体に得点が付くというもの。もう一つは、タイル上へ特定の資源を運ぶ事で資源が勝利点になるというもの。最後は、ゲーム終了時に持っている資源やワーカーなどの条件を達成すると得点になるタイル。

タイルの改良得点は、地味ながら20点~40点近く取れる為、無視することはできない。また、置かれた資源が得点化されるタイルは、爆発力を秘めている。条件達成による勝利点獲得も、場合によっては爆発力がある。つまり、いずれも無視しがたい、ということだ。

「輸送と改良」がゲーム中の主な「目的」を生み出している。タイルを「改良」するには、資源を生産して、そのタイル上へ特定の資源を「輸送」しなくてはならない。いわゆる「ピック&デリバリー」というやつだ。輸送や改良も村タイルの能力の1つなので、輸送&改良能力を持つ村タイルの取り合いもアツい。

2回目のプレイでは、私はこの「輸送&改良タイル」を取ることに注力した。

写真中、黒い馬車の絵が描かれているのがそのタイルである(この記事の際のプレイ写真ではありません)。また、「改良」時の得点が高いタイルを中心に落札していった。安定した輸送力で資源を運んで高得点タイルを改良しまくる戦略だ。戦略はスムーズに運び、落札したタイルすべてを改良することに成功。しかし、それだけでは40点にしかならず、このままでは負けるなぁ…と思っていた所、たまたま落札できた「赤、青、黄の3ワーカー1セットごとに3点」というタイルが12点を生み出した。「輸送」タイルが私の所にしかなかった為、みんながガンガン使ってくれて、手元に大量のワーカーが残ったからである。また、他にもたまたま条件を満たす得点タイルを獲得でき、75点で勝利することができた。

輸送と改良による得点は、確かに強い。が、それだけでは勝てないようだ。その時はたまたま上手く他の得点源タイルを取れたが、狙ってやっていたわけではない。この辺を狙えるかどうかか今後のプレイの鍵になりそうだ。

・・・と思っていた所、3度目のプレイ機会を得た。3度目にして気が付いたのだが、このゲーム、「春ラウンド」に競りにかけられるタイル群で、「今回のゲームの生産力のばらつき」が決定する。資源を無コストで生産できるタイルは、春タイルにしか存在しないからだ。夏にも資源生産タイルは出るが、これらは「技術タイル」の消費が必須となっている。春ラウンドで、「…今回は、どうやら木材が出にくそうだ」と思ったら、それを前提にした行動を取ったほうが良い。特に「金が出にくそう」と思ったら、改良などがしづらいと思った方が良いかもしれない(金は、ジョーカー資源)。

3度目のゲームの春ラウンドでは、それなりに満遍なく、資源生産タイルが出た。そこで私は欲を出して、それら全部を独り占めしようとたくらんだのである。ここでワーカーを使い切っても、きっと次ラウンドでみんながこのタイルを使ってくれるから、ワーカーには困らなくなるぞ、というわけだ。…ところがこの目論見が裏目に出てしまい、逆に他プレイヤーに全部取られた挙句、自分は中途半端に場に出てしまったワーカーの行き場をなくし、ワーカーを無駄に使ってしまうという有様…(競りに負けたワーカーはラウンド終了時に戻ってくるのだが、この時それを忘れていた)。暗雲が立ち込め始める。

唯一、「黄色ワーカーを緑ワーカーに変換する」タイルだけ落札することができた。しかし実は、自分はこの「緑ワーカー」をうまく使えた試しがないのだ。とはいえ、これしかないのだから、とりあえず今後の為に黄色を2つほど緑へ変換しておく。

そして夏ラウンド。場に「サマーボート」という、プレイヤーに特殊能力をもたらすタイルがたくさん出た。ここぞとばかり、サマーボート2つに緑ワーカー1個で入札する。それぞれ「村タイルの配置時に、地形を合わせなくて良い」そして「色の違うワーカーでタイルを使用できる」というサマーボートだ。ついでに「点数化の際に、資源がすべてジョーカー資源になる」というサマーボートも得た。・・・あんまりうまく使う自信がない。点数がついたタイルはほとんど落札できていない。かなりしょぼい展開になってきた。

秋ラウンドになり、資源を点数化できるタイルが出てくる。しかし、自分は資源を生産するタイルもあまり持ってないし、輸送力タイルも全部取られてしまってない。こんなの落札してもなぁ…と思いつつ、とりあえず1つ、「石1個2点、改良すれば1個3点になるタイル」を確保。そこで、ふと閃く。あれ? これ、夏に落札した「点数化の際に、資源がすべてジョーカー資源になる」サマーボートがあるから、どんな資源運んでも1個2点にできるんじゃね? 改良すれば3点にできるんじゃね?

いやいやまて、それは、自分が資源をたくさん生産できる体制が整っているなら、だ。生産した資源をそのタイル上へ運ぶ為の輸送力もない。他プレイヤーのタイルはあまり当てにできないだろう(みんなも使う機会を狙っているからだ)。ところが、ここでさらに閃いた。自分は、緑ワーカーを結構持っている。他プレイヤーは持っていない。なので、これを先に資源生産タイルや輸送タイルの上に置いてしまえば、他プレイヤーはそれ以上使えなくなるのではないか、と。さらに、自分は今、「色の違うワーカーでタイルを使用できる」能力を持っているので、自分だけが、他の色で何度も生産や輸送を行えるぞ!

そしてこの戦術は大当たりし、なんと私は「石1個3点」のタイル上へ資源を15個も運び、それだけで合計45点をゲットして勝利したのだった。

相変わらず、「最初に狙った計画」とかまるで関係ない展開ではあったが、たまたまであってもこういうプレイができると、やっぱりそのゲームが好きになってくる。一緒に遊ばれた方にもいたく気に入って頂けて、購入を検討中のようだ。

まとめると、キーフラワーは、タイル配置+リソースマネジメント+ピック&デリバリー+競りと多彩な要素を含んでいるにも関わらず、それぞれがかなりシンプルにまとまっており、しかも割と短時間で終わる傑作ではないかと思う。テーマもわかりやすく、システムとマッチしている。あまりこれを「ワーカープレイスメントだ」という人を聞かないが、個人的にはワーカープレイスメントの要素も色濃くあると思う。競りに出るタイルが毎回ランダムなので、やるたびに違う展開になるのも素晴らしい。これで2-6人と幅広い人数に対応しているのだから、また凄い。(とはいえ、初回プレイは3人をお勧めしたい。4人以上だとその分、情報量が増えて難易度が上がる気がする)

競りが好きな人、タイルにワーカーを置いて資源を生産する、というのが好きな人、ミープル駒が好きな人、には、特にお勧めしたい。

どういうタイルが競りに出るかによって、「たまたま自分の戦略に合致したタイルが出てこない…」などの運は多少、あると思う。また、相手がどういう色のワーカーをいくつ持っているかは秘匿情報なので、確実性のあるプレイがしにくいというのもある。ただ、個人的にはその部分は魅力として捉えるほうが良いだろうと思う。

あと、大量の木駒がついてくるのも、このゲームの魅力の一つかもしれない。笑


和訳ルールを公開しているので、よろしければ購入前のご参考などに、どうぞ。買って損の無いタイトルですよ。

駿河屋で購入


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