フツーの人から見たボードゲームシーンの「閉鎖性」

2012/05/04 14:47 に Jun Shin が投稿   [ 2012/05/09 17:01 に更新しました ]
※この記事の主旨は、「ボードゲームシーンが閉鎖的に見えたという、非ボードゲーマーからの感想があるが、実際には閉鎖性ではなく志向性の違いなので、そこをちゃんと認識すればお互い楽しめるのではないか」というものです。決して、今のボードゲームシーンが閉鎖的であるからダメだとか、全員改善すべき、という主旨ではありません。ただ、「違い」を強調するあまり、むしろ壁を感じさせる文章になってしまった点を反省しています。また、「閉鎖性」という非常にネガティブな言葉を使ってしまったのは失敗でした。そういう前提でお読み頂ければ幸いです。

twitterのボードゲーム界隈でちょっと話題になっていたので聞いてみました。ボードゲームをやったことがない人が、ゲームマーケットに潜入してみました、というレポートのpodcastです。

※注意:ボードゲーマーにとって腹が立つ話が多々含まれています。「こいつらホントわかってねーなー」という前提で、心に余裕があるときにお聞きください。
桜川マキシム 第322回「ボードゲームやカードゲーム、TRPGなんかの展示即売イベント“ゲームマーケット2012大阪”に行って来ましたよの回」

このpodcastは、世の中のいろんな事象にスポットを当てて、ゆるく批評してみようという感じらしいのだけど、もちろんこの方達は、ボードゲームについてはほぼ未経験者。TRPGとかマジック・ザ・ギャザリングとかについて、「友人がやってたな」ぐらいの知識はあるようで、ゲーマーを笑いのネタにしている点は眉をひそめる所が多いですが、その辺が逆にちょうどいい「理解度」となっていて面白く聞けました。

二人の対話形式でpodcastは進んでいるんですが、片方は実際にゲームマーケットにいってきた方、もう一人はそれを聞く側。ゲームマーケットに行った方の目的は、「女の子と仲良くなる為のツールとして、ボードゲームに注目してみた」ということらしく、そりゃがっかりするだろうと思ったら、案の定がっかりした、と…w

で、そこからは批判の嵐。GMに潜入された方は、語り口がソフトな方なので、そこまで嫌な気持ちにはならないのですが、もう一人が「毒舌」なもんで、これは、ボードゲーマーが聞くとかなり嫌になるだろうなーと思います。(追記:どうも、この毒舌のかたは、昔、ボードゲームなどをやるサークルの主催者だったのだそうです。同属嫌悪的な語り口だなぁ、とは思っていたので、納得です。記事で取り上げている意見はすべて、今回GMへ潜入した、ボードゲーム未経験者のかたのものです

とりあえず、ゲームマーケット会場の「汗臭さ(リアルに)」「参加者の服装(チェックのシャツに紙袋!)」について「男の子の部室」って表現はなんか笑ってしまいましたが、「石を投げたら童貞に当たるんじゃないか」まで言うと、これはもう完全に、ジョークの域を超えてただの差別と偏見ですね。特に、いくら見知らぬ人とはいえ、会場の特定個人を笑いものにするのはアウトでしょう。

ただまぁ、その辺は置いといて(追記:「置いといて」というにはあまりにも元podcastの内容が暴言すぎる、というご意見が多く、私もその通りだと思います。その辺への注意喚起・配慮が足りずに不快な思いをさせてしまったことをお詫び致します。うん、まったくけしからんpodcastです!)、個人的にはいろいろと参考になる話が多かったです。

  • 「ボードゲームってどんなんだろう?」と思ってやってくる客をまったく意識していないのではないか? 古くからのファン同士で盛り上がっているだけのイベントになっている。
  • 「これ、どんなゲームなんですか?」と聞いた時の説明が、長い。ルールとか聞いてない。単に「子供用かどうか」とか「テーマと目的は」とかそういうことが知りたいだけ。
  • チラシを作ってるところが殆どない。売る側としても、毎回説明するよりも「このチラシ見て、もし興味あったらまた寄ってください」の方が、効率的にお客さんがいろんな所を見て回れてよいのではないか。
  • 少量しか持ち込まず、売り切れたら自分たちでゲームしていてまったくアピールしていないブース。これも、チラシ置いて「ブログやってるんで見てください。通販もできます」とか、やれることはいっぱいあるんじゃないか。ゲームを売ったり買ったりするのがメインのイベントなのだから。ゲームやるだけなら他でもできるだろうに。
  • その場で仲間内で1時間以上ゲームをしている人たちがいる。すぐ遊びたい気持ちは分かるけど、イベントの趣旨を考えると非効率なのではないか。もっといろんな人と交流したり、もしくは場所を空けて回転させるべきなのではないか。
  • 「試しプレイしてみませんか?」と声をかけられるんだけど、自分なんかは女子がいないと入る気がしない。知らない男ばかりの所に入りたくない。そういうバランスは、売る側がとってあげるべきだと思う。

そして、イベントの話から、「ボードゲーマーという人々」についての話に入ります。

  • この人ら、「ボードゲームを通して交流が促進される」とか言うけど、全然交流してないんじゃないか? ゲームができるってだけで、一緒にいるけど各人が自分の世界に閉じこもっているのでは?
  • 仲良くなったから仲間同士で遊びに行くとかないんだろうな。広がりとしては弱いな。
  • ゲーム会とかやってるそうだけど、場所が「公民館」らしい。あー、場所から入るとかってないんだ、と。本気でゲームを遊びたいんだなー。自分なんかはちょっと引いてしまう。

総合すると「プレゼンをしないとか、交流性が低いとか感じるのは、その人たちがコミュニケートしようとしていないからではないか?」つまり、一言で言うと「閉鎖的すぎるんじゃないか?」ということらしいです。

いやー、面白い。

うん、まぁ、いろいろ言いたいことはあるんですよね。
「ボードゲームで交流してるっていうけどしてないんじゃない?」という話については、そうじゃないんだ、「ボードゲーム」の中で交流しているんだ、と。「盤上で語り合う」というやつなんですよ。

やつなんですけど・・・いやー、その指摘も分かる部分もあるよなーとか。ゲームマーケットの「売り方」の話はどれも納得だし、「コミュニケートしようとしてない」ってのも、耳が痛いところもあります。

ゲーム会の後とか、それ以外で集まって遊びにいかないの?って話も、個人的に同じこと思っている部分もあるし。ただまぁ、「どこ遊びに行く?」ってなると、「え、ボードゲームすればいいじゃん」ってなるので、これでいいんだと思ってるんですがw

で、まぁ、twitterでもどなたかが書いていたんですが、これって「本気でボードゲームしたい人」と「ボードゲームを交流のツールとして使いたい人」の違いなんだろうな、と。言い換えると、「ボードゲームという交流をしたい人」と「ボードゲームで交流したい人」の違いというか。

交流のツールとして使いたいだけの人から見ると、「公民館で集まる」ってのは、ちょっと引いてしまうのでしょうね。「え、それってひょっとして、ずっとゲームしてるだけなの…? 雑談タイムとかないの?」みたいな。だから「カフェでやるとかじゃないの?」という発想になる。でも、本気でやりたい人からすると、雑談タイムなんて基本、不要なもので。語り合うなら盤上だ!カフェでやるなんて気が散るだけ!と、こういうわけです。

ただ、こう書くと、まるでボードゲーマーは全員ガチな人間ばかりに聞こえますが、実際は違うと思うんですよね。

私なんかもそうなんですが、「ゲームは本気でやりたい。でも、交流は重要」なんですよ。本気なのは重要です。ボードゲームやらない人でも麻雀をやったことがある人は多いと思うんですが、あれ、誰かが麻雀そのものに飽きてしまってテキトーに打ち始めると、とたんに面白くなくなりますよね? だから、本気になるよう、賭けるわけです。楽しく交流するためにも、ゲームには本気で取り組みたいし、本気で遊んで欲しい。でも、ガチであればそれでいいというわけでもないんです。だってせっかく、顔を合わせて卓を囲んでいるわけですから、例えば「完全に無言。笑顔ゼロ。どころかしかめっ面」とかの人ばかりとは、いくら本気だからといって勘弁して欲しいです。

そして、実際、こういう「100%ガチ」の人がボードゲーマーに多いかというと、実のところ、殆どいない気がします。まぁ、ゼロとは言えないのがアレなんですけども。むしろ、ゲーム中もギャグやジョークを言って場を盛り上げるのが上手な人が、私の観測範囲には多いです。

ただ、このpodcastを聞いていると、それでもまだ、「交流したいだけの人」にとっては、だいぶ差がある気はしますね…。

「本気でやる」ってのは、「ゲームを楽しむため」の条件なんですよね。でも、交流したいだけの人ってのは、交流を楽しみたいのであって、別にゲームを楽しみたいとは思ってない可能性がある。

ボードゲーム好きの人にとっては、それらは同じものなんですが、普通一般の人にとっては、それらは明らかに異なる次元のもの、ということなのかもしれない。だから、ボードゲーム好きの人々が「本気でやる」姿勢が、普通の人にとっては重荷に感じることはあるんでしょう。

もちろん、「交流を楽しむこと」自体が目的のゲームもたくさんあります。「パーティーゲーム」と言われているものが、主にそれですね。中には勝ち負けという概念のないゲームすらあります。

私が持っている中だと、お絵かき伝言ゲーム「テレストレーション」(近日中に日本版の発売がテンデイズゲームズより予定されている)なんかは完全にパーティーゲームですね。

あとは、パーティー寄りだと、実際に小さなフライパンを持ってパンケーキをひっくり返したりするお料理アクションゲーム「ア・ラ・カルト」だとか、みんなで正体を隠して誰がスパイかを探る「レジスタンス」だとかは、女性でも入りやすく、楽しめるゲームだと思います。(まぁ、レジスタンスとかは、メンツにもよると思いますが)

(「ア・ラ・カルト」のプレイ風景 (via BoardGameGeek.com))

個人的には「ニムト」だとかもパーティー寄りだと思うのですが、カードゲームってのはUNOもそうなんですが、本気で「交流」が目的の人にはまったくヒットしない可能性があるんじゃないかと。それによって会話が生まれるかというと、それほど会話が促進されるゲームでもないので。ただ、各自の思惑による大どんでん返しとかが頻繁に発生するので、「うわー!」「きゃー!」とか盛り上がれるゲームではありますが、それは大前提として「全員が本気で遊んでいる」ことが必須で、「なんかルール良くわかんなーい」とかって適当にカードを出す人がもしいたら、多分まったく盛り上がらないでしょう。

ア・ラ・カルトのようなアクションゲームのいいところは、例えば「フライパンの中でパンケーキをひっくり返す」なんてのは、誰がやったって本気になれる点です。レジスタンスも、「正体がばれないようにする」ぐらいは誰でもできるし、結構本気になれる。そういうシステムになっています。

こういう、「強制的に本気にさせるゲーム」と、「本気にならないと面白くないゲーム」の違いってのは、特に初心者を相手にするときには結構意識しておかないといけないのかなぁ、と思いました。

あとは、ドロッセルマイヤーズさんとかが展開している「モテゲー」ジャンル。いえ、モテゲーとして展開されているわけではないですが、女性と男性のペアでやるゲーム「アダムとイブ」とか今度出る俳句ゲーム「HYKE」とか、明らかに女性を含むライトゲーマーをターゲットにしていますよね(※ドロッセルマイヤーズさんより、この件についてのコメントが出ていますので、併せてお読みください「ボードゲームはおしゃれであるべきか?)。私はこういう展開はすばらしいと思っていて、「HYKE」はちょっと購入を考えています。こういうお店が出てきていること自体、ボードゲームシーンが変わりつつあるという証拠かもしれませんね。あと、オインクゲームズさんのゲームもそういう方向性だと思っています。

とはいえ、難しいのは、「初心者」だからといって、こういうパーティーゲームがそれほど好きじゃない人とか、意外と「本気でやるゲーム」を楽しんでくれる人が多かったりする点なんですよね。

過去にゲーム会にいらっしゃった女性の中にも、「これ大丈夫かな…」と思って出したゲームを気に入ってもらえたりしましたし、逆に、思考ゲームみたいなものを期待して来たのにパーティーゲームばかりやらされて、ボードゲームというものに子供っぽいイメージを持って帰った人もいたように思います。

その人にどういうゲームが合っているかは、結局のところやってもらうしかないわけですが、だからこそ、初めてゲーム会にやってきた女性なり初心者なりには、また来てもらっていろんなゲームを経験してもらう為にも、だいぶ丁寧に対応して、最低1個でも「楽しかった!また来たい!」と思ってもらう機会を作らないといけないと思っています。

そして、このpodcastを聞いて、特に女性でゲーム会に来る方というのは、より一般的な、このpodcastのような思考を持っている可能性が高いように思うので、そういう方がいらっしゃる可能性が高いのであれば、「交流」というのをもっと意識したほうがいいかもしれない、と思いました。

具体的には、ゲーム会の途中に、ちょっと雑談タイムみたいなのを設けたほうがいいのかも?と思いました。
せっかく、お茶やお菓子なんかも用意していることが多いですしね。ゲーム終わったら「さあ次次!次何やる?」みたいな慌しさは、どんなにゲームそのものを気に入ってもらったとしても、ちょっと引かれるかもしれない、ということでした。

特に、はじめての人が来たときには、「会話の中にボードゲームをいれる」ぐらいのつもりでいたほうがいいのかもしれませんね。

一般的な外の人の視点からボードゲームシーンを俯瞰できる、とても貴重な意見を聞けるpodcastでした。

【追記】
この記事では、「ゲームマーケットやボードゲームコミュニティが閉鎖的である」と主張したいわけではありません。むしろ、私自身は「どんどん解放的になっているなー」と感じているぐらいです。しかし、このpodcastを聞いて、ボードゲームをやらない人が見て「閉鎖的だ」と感じた、という事例を生の声として聞けたことが、面白かった、というのが最初にあって、そこから「もしそういう人から見て壁を感じるのだとしたら、どうすればいいのかな?」と考えた、ということでした。私自身、もっと多くの人にボードゲームを楽しんでもらいたいと考えているからです。とはいえ、今現在、仲間内で楽しく重ゲーとかをやっている人達(私もです)に、何か変わった方がいい、などというつもりはなく(だって、何も困ってないですし。余計なお世話というものです)、より一般への普及を目指している人が、何かの参考になればなーとと思った次第でした。補足として追記させて頂きます。

もう一点。あのpodcastについて、「悪意に満ちている」というご意見も見かけます。しかし、私はそうは思いませんでした。特に、実際にGMに行ったほうの方の言葉には、悪意よりもむしろ、好意(というか、せっかく面白そうなのに、という気持ち)を感じました(悪意の存在を否定するわけではありませんが)。私が単におめでたいのかもしれません。ただ、ああいう人たちにもし「なんだ、ボードゲーム面白いじゃないか!」といわせることが出来たら、それはとっても嬉しいなって。そう思うのです。あんな失礼なやつらほっとけ、も、もちろんアリですけどね。笑

【追記2】
元となったpodcast「桜川マキシム」さんより、この件に関するご報告とお詫びと私見が掲載されました。ただ、文章を読むよりも、podcastのほうを聞いたほうが、言いたいことがわかるんじゃないかと思います。嫌な人には相変わらず嫌な部分が耳につくと思いますので、聞くことをお勧めするわけではないです。念のため。
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