ボードゲームデザインのアンチパターン

2014/12/03 7:33 に Jun Shin が投稿   [ 2014/12/03 22:52 に更新しました ]
※この記事はジョーク記事です

こんにちは、jun1sです。「スタンプグラフィティ」「くだものあつめ」「おさわり人狼」などのボードゲームを制作しております。

この度、I was gameのカレー氏による企画「ボードゲームデザイン・アドベントカレンダー2014」に参加させて頂きました。これはその、4日目の記事となります。一つ前の記事は、遊星ゲームズのてらしまさんによる「マルチプレイヤーズゲームからソロプレイゲームを作る」でした。ソロプレイゲームを作ったことがない、ただの思考実験だ、と仰られていますが、大変参考になる面白い記事で、自分もソロプレイゲームを作ってみたくなりました(^▽^)

さて、これを受けての私の4日目の記事は、「ボードゲームデザインのアンチパターン」についての記事です。

ボードゲームデザインには「定石」のようなものがあると思います。しかし、「定石」は定石であるからこそ、あまり頻繁に適用すると新しさを感じられなくなりますし、ともすればパクりだと思われる危険性もはらみます。また、その定石が良い結果を生むかどうかは、ゲームの目的によることも多くあります。

しかし、「やってはいけない定石」つまりアンチパターンは、目的によらず多くのケースで同様に「やってはいけない」ということが多く、そういうアンチパターンを共有した方が、意外と利用価値が高いかもしれません。

そういうわけで、ぱっと思いついたゲームデザインのアンチパターンをいくつか挙げてみたいと思います。

1. ゲーム終了条件を「他全員が負けを認めたら」とする

Losing Something?

このルール、恐らくゲームデザイナーは「本当の意味でのガチな勝負」をプレイヤーに望んでいます。全員が納得するまで勝負をし、ついに最後のプレイヤーが「俺の…負け…だ…」と、搾り出すような声で呟いた時、ゲームが終わる…そんな濃厚なゲーム展開をデザインしたつもりになっているのです。

しかし、実際にはこのルールは、「えー、俺まだ負けたと思ってないもーん」「勝利点では負けてるかもしれないが、心は負けていない」などというプレイヤーを生み出し、勝負が永遠につかないどころか、「いっそ金で心を買う」「物理的な手段に出る」といったメタなプレイテクニックを生み出し、大変後味の悪いプレイ感を残してしまう可能性があります。

ゲーム終了条件・勝利条件は、可能な限りゲーム内で時間内に終わるよう、明確にしましょう。


2. 対象年齢を-1歳からにする

A Mother's Womb

「胎児とも遊べます!」。ゲームデザイナーなら一生に一度は声に出して言って見たい日本語かもしれません。身重になった妊婦さんが、おなかの中の赤ちゃんと遊べる・・・なんてすばらしいゲームでしょうか。しかし、よくよく考えてみると、胎児には「意思を伝える方法」が、「お母さんのおなかを蹴飛ばす」ぐらいしかありません。「あっ、今2回蹴ったよ…従って、カードを2枚引きます」のようなルールはあまりにも偶然に頼りすぎていて「運ゲー」と呼ばれかねませんし、蹴ったかどうか分からないような微妙な蹴りの場合、それに気づかずに「…ひょっとして赤ちゃん長考中? 長考禁止って言ったのに!(怒)」といった疑念を与えてしまったりもするでしょう。

そして最大の問題は、夫が身重の妻に「胎児ゲーやろうぜ!」などと言おうものなら、「そんな暇があったらゴミ出しぐらい手伝ってくれない?」と真顔で言われてしまう事かもしれません。

対象年齢は、そのルールを理解できるかどうかだけでなく、実際に遊んで楽しめるかどうかまで含めて考えましょう。


3. コンポーネントを「脳内」にする。


例えばマップ上に駒を置いていくゲームを作ったとして、ルールブックの「ゲームの準備」で、「テーブル中央に、ゲームボードと駒を置いている状態を全員で脳内に想像します」というルールをデザインしたとします。その後も、「木材駒20個をボードの左側に置いてあると想像してください」「文明カードをよく脳内でシャッフルし、ゲームボード脇に置いた状態を想像してください」「脳内でサイコロを振ってください」のように続いていきます。一瞬で準備完了、しかもコンポーネント不要。すばらしいアイデアではないでしょうか。しかし、これには大きな問題があります。

このままだと、ゲームを買わなくても、ルールさえ知っていればプレイできてしまうのです!
ルール自体も一回遊べば他の人の脳内にコピーされてしまいますので、こうなるともう、そのゲームにお金を出してくれる人はいなくなってしまいます…。

ボードゲーム業界の経済を活性化させる為にも、ゲームのコンポーネントは脳内ではなく、現実に存在する、複製困難なものにしましょう。


4. 「ケルト」の新しいシリーズを考えようとする

Reiner Knizia at #nyupractice

クニツィア先生の大ヒット作「ケルト」は、その後「ケルト・オラクル」「ケルトカード」「ケルトタイル」と、次々とコンポーネントとルールをちょっとずつシンプルにしていったリメイクが出ていき、しまいにはダイスゲーム化された「ケルトダイス」まで出ました。

普通ならば「ダイスまで来ちゃったら、もうこれ以上簡単にはできないだろう」と思ってしまうことでしょうが、才能あるボードゲームデザイナーであるあなたは、「いや、自分ならひょっとして、ダイスよりさらに簡単な“ケルト坊主めくり”とかをデザインできるのではないか?」などと考えてしまうかもしれません。

しかし、これは大きな誤りです。

なぜかと言うと、もしそれをやってしまったら、すぐにクニツィア先生から「このゲームをリリースした人の連絡先をご存知の方は教えて下さい。当方、弁護士の用意があります」というツイートが世界へ向けて発信されうわ何をするやm。

他人のゲームを参考に自分のゲームをデザインしようとするときは、あまりストレートに参考にしすぎないよう、注意しましょう。


5. コンポーネントを和菓子にする

MOCHICREAM

「この白くて丸い羊駒って、モチモチしててかわいいですね。素材はなんですか?」「あっこれ、饅頭なんです(^^)」
その時のお客さんの驚く顔を想像してみてください。「饅頭!? えっそれって、・・・すっごくおめでたい!o(^▽^)o」。あるだけで人を幸せにするコンポーネント。慶事の引き出物にもうってつけです。しかも…「食べたらなくなる(!!)」。つまりですよ、ゲームを販売した後も、「補充用羊駒:500円」とかで、ずっと売り続ける事が出来るわけです。あのクニツィア博士ですら「ゲームデザイナー専業で食べていくのは難しい」と言わしめるゲーム業界に差す、一筋の光と言えるのではないでしょうか。

しかし、唯一の問題は、「ボードゲーム専門店には保冷庫がない」ことです。ボードゲーム専門店で「お持ち帰りのお時間はどれぐらいですか?」と聞かれるような未来は、まだまだ先の話でしょう。

コンポーネントには、時間が経過しても劣化しにくいものを採用しましょう。


以上、思いつくままに5つのアンチパターンを挙げてみました。皆様の経験から来る「#ボドゲデザインアンチパターン」も、ぜひお聞かせくださいね。

【追記】

オマケで「ゲームとアート、そしてデザイン」という記事を書きました。ホントはこっちがメインのつもりだったのだけど、書き終わってから改めて読み直したら、あまりにも中二病な記事で自分が恥ずかしくなったので、慌ててオマケに変更した…というのは、僕と君だけの秘密だヨ!

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