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やまなみ工房展

〇会期:2015年7月4日(土)~8月28日(金)

〇やまなみ工房について:

やまなみ工房に通う人達にはそれぞれに「これをすることで私は幸せである。」があります。やまなみ工房の“日常の中のある日”を覗いてみると、一人一人がそれぞれの方法で“特別な自分”を毎日表現しています。粘土で何かを作る事が好きな人、絵を描くのが好きな人、歌うことが好きな人や刺繍が好きな人、おしゃべりが好きな人もいれば、一人静かが好きな人、元気よく体を動かす人、じっとするのが好きな人、好きな事や得意な事は様々です。しかしその表現の多くは今日の一般社会の中において、対価に結びつく事が難しく、行為そのものの価値や彼らの本質が見失われることも少なくはありません。互いの違いを知る事。それぞれの価値観を大切にする事。描きたいように描いてみよう。つくりたいようにつくってみよう。君は君らしく生きてみよう。あるがままの自分が認められ存在できる場所で、自由に自分の可能性に向かう事が出来ればどんなに嬉しい事でしょう。自分らしく過ごす日常の中で生まれた僕の色。私のカタチ。やまなみ工房は、様々な表現から感じる個々の本質を大切に、感性とは何か、豊かさとは何かを考え、それぞれの可能性、そしてHAPPYが無限に広がる事を目指します。

(くわしくは右記ウェブアドレスからホームページをご覧ください→ http://www.a-yamanami.jp/

〇作品

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(左) 「女の人」 田村 拓也

(右) 左上 「工業都市」 、 左下「発電所」 、 右上「タイトルなし」 、 右下「タイトルなし」 竹中 克佳

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(左) 「ひと」 鎌江 一美

(右) 「まさとさん」 鎌江 一美

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(左) 左 「目・目・鼻・口」 、 右 「目・目・鼻・口」 吉川 秀昭

(右) 左 「ハチ」 、 右 「犬」 齋藤 志保

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(左) 左 「クイーンエンジェル フィッシュ」 、 右 「子犬」 大路 裕也

(右) 左 「点と線」 、 右 「点と線」 森田 郷士

左 「トラック」 、 右 「トラック」 岡元 俊雄

〇販売グッズ

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(左) 「菜穂子地蔵」 大原 菜穂子 500円

(中) 「お願い人形」 大原 菜穂子 300円

(右) 「正己地蔵 大」 山際 正己 500円

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(左) 「正己地蔵 小」 山際 正己 200円

(中) 「ダルマ」 大原 菜穂子 300円

(右) 「たこ」 山際 正己 500円

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(左) 「ラッコ」 宮下 幸士 300円

(中) 「ちょうちょ」 山際 正己 300円

(右) 「さかな」 山際 正己 300円

※上記販売グッズの表示価格は、すべて会期中の販売価格です。

〇出品作家

大路 裕也 hiroya ohji

1987年生まれ。三重県在住。2009年から「やまなみ工房」に所属。

音楽が流れるとリズムに合わせてエアギターをかき鳴らし熱唱、車両が後退する際はオーバーアクションで誘導、休憩時には煙草を吸う仕草を真似て一服と、常に周囲を意識し自分自身を演出している彼の自己アピールの一つに作品制作がある。モチーフは人物や動物等、様々で雑誌や画集を見てそれを模写する。腕を組み、角度を変え構図を考える様も、一つ一つ丁寧に色を塗り重ねる筆使いもすべては彼の演出、彼の美学なのである。その美学から生まれる作品たちは、彼も予想がつかない全く別の色や形へと変化してゆく。

大原 菜穂子 nahoko ohara

1971年生まれ。滋賀県在住。1989年から「やまなみ工房」に所属。

割りばしと水の入ったお椀を用意し腕まくりをすると、彼女の人形作りは始まる。適量の陶土を取り、手のひらで丸め胴体と顔を作り、伸ばしたひも状の陶土は手となり、たった3つのパーツが組み合わされ、最後に表情を描き一つの作品は完成する。時間にして1体1分、あっという間に20個、30個という人形が彼女の周りに列をなす。一人一人とその表情は同じようで全て違い、朗らかな表情をしている。これまで作り上げた推定数万体を超える地蔵、昔も今も、その手から生まれる人形の形や創作に向かうスタイルは変わらない。

岡元 俊雄 toshio okamoto

1978年生まれ。滋賀県在住。1996年から「やまなみ工房」に所属。

トラックが大好きな彼が、ある時からドライブ中に見た車を絵や陶土で表現するようになった。現在ではトラックに限らず、人物や風景画等、雑誌や画集をモチーフに墨汁と割り箸1本のみを使用して次々に作品を生み出してゆく。モチーフ全体を見ながら素早く筆を走らせ全体像を描き上げると、描いた線上を流れに添って何度も何度も塗り重ねる。飛び散った墨汁の滴や擦れ合わさった線が絵に躍動感をあたえていく。いつも、ひとりお気に入りの音楽を聴きながら、寝転がり肩肘付いて描く様が、彼のスタイルである。

鎌江 一美 kazumi kamae

1966年生まれ。滋賀県在住。1985年から「やまなみ工房」に所属。

思いを人に伝えるのが苦手な彼女は、コミュニケーションのツールとして振り向いて欲しい人の立体を作り続けている。モデルはすべて思いを寄せる男性。最初に題材を決め、原形を整えると、その表面全てを細かい米粒状の陶土を丹念に埋め込んでいく。完成までに大きな作品では約2か月以上を要する事もあり、無数の粒は作品全体を覆い尽くし様々な形に変化を遂げていく。大好きな人に認めてほしい。今もなお、その思いが彼女の創作に向かう全てである。

齊藤 志保 shiho saitou

1990年生まれ。滋賀県在住。2009年から「やまなみ工房」に所属。

作品制作に取り組み始めたのは2014年頃からである。活動当初は、布にペイントしバッグ等の商品制作に携わっていたが、自ら絵画制作に意欲を見せ現在の活動が定着する。モチーフとなる物は生物や植物、好きな食べ物等様々で、始めに下描きを終えるとイメージに合う色で着色、その後は点描技法でゆっくりと模様を施してゆく。完成した作品はまるでアボリジニのロックアートに似た神秘に満ちた形に表現されていく。

竹中 克佳 katsuyoshi takenaka

1987年生まれ。滋賀県在住。2014年から「やまなみ工房」に所属。

彼は立体造形と絵画を中心として、その時々気の向くままに同時進行で制作に取り組んでいく。立体作品では、ボール紙やテープを用いてロボットや戦艦、戦闘機を作り、ドアの開閉扉や可動域等、ギミックを用いて完成度を高め、細部にまでこだわり緻密に再現していく。絵画で描くものは城や塔等、建造物が中心で、マーカーを使用し下部から交差する細かな線を上へと積み上げていく。まるで建物が構築されてゆく様を見ているかのようだ。平面でありながら奥行きを感じる絵は、彼独自の遠近法で計算され描かれたものである。

田村 拓也 takuya tamura

1992年生まれ。滋賀県在住。2011年から「やまなみ工房」に所属。

彼が用いる画材はマーカーが多く、ハガキサイズから全紙サイズの画用紙に動物や人物等をモチーフにし描く。初めに全体像を描くと、あとは一つ一つの色を使い分け、丁寧に線を塗り重ねていく。その作業を繰り返すうち、升目状に四角の鮮やかな色が埋め尽くされていく。彼は毎日同じ時間、同じ場所、同じリズムでこの作業を淡々と繰り返していく。あまり人と関わることを好まず、いつも一人物静かな彼だが、創作中、絵を眺める表情からは秘めたる情熱を感じさせる。多くの展覧会に出展する事を目標にしている彼、新たな展覧会を目標にし今日もペンを握っている。

宮下 幸士 yukio miyashita

1973年生まれ。滋賀県在住。1997年から「やまなみ工房」に所属。

電卓にスケジュール帳、プリ野球のスコアブックに支援員の出勤状況、送迎バスの運行管理までつねにデータ管理が日課の彼は、作品制作においてもその几帳面な性格が表れている。絵画では、モチーフを描いた後、数ミリ間隔の升目を画面いっぱいにブロックごとに描き、一つひとつゆっくり丁寧に塗りこんでゆく手法を用いる。大きなものでは制作期間に1年を要することもある。また、英字新聞の文字を書き写した作品も、一文字づつ形で捉え書き連ねていく。これらは、制作という行為よりは作業と呼ぶ方が彼には適切なのかもしれない。真面目で、作業にも日々熱心に取り組む彼の仕事は、まさに職人というべき仕事なのだろう。

森田 郷士 satoshi morita

1978年生まれ。滋賀県在住。1997年から「やまなみ工房」に所属。

画集や図鑑から描くものを探し出し、構成を考えながら鉛筆で下描きをすると、その後は黒のボールペンでたくさんの点と線を使いモチーフを塗りこんでいく。その手の動きは迷いがなく、衝動的に描いている様にも見えるが、単調にならぬ様場所によって描き込みの密度に変化をつけており、緻密な点と線は重なり合い陰影を作りながら構成されていく。モチーフの中で影のように蠢く黒い点と線は平面的でありながら、今にも動き出しそうである。

山際 正己 masaki yamagiwa

1972年生まれ。滋賀県在住。1990年から「やまなみ工房」に所属。

炊事、洗濯、部屋掃除に古紙回収、毎日彼が同じ時間、同じ流れで生活する中のひとつに創作活動がある。入所当初は、学校時代に学んだ皿や器等しか作ることのできなかった彼が、様々な体験や共に過ごす仲間からの影響を受け、次第に作品も個性豊かな立体造形へと進化していった。彼の真面目で実直な性格は作風にも表れ、同じ形の物を止めることなく、まるで流れ作業のように量産して作りつづけることができる。彼の代表的な作品「正己地蔵」もこれまで20年以上変わることなく制作され、何十万体を超える作品は、彼の生き様そのものなのである。

吉川 秀昭 hideaki yoshikawa

1970年生まれ。滋賀県在住。1988年から「やまなみ工房」に所属。

一見抽象模様のように見える点の集合体は、数え切れないほどの「顔」である。支持体が紙であろうが、陶土であろうが変わらない。無数の点は、彼独自の法則に従い、ある一定の間隔を保ちながら「目、目、鼻、口」の順に丁寧に点を刻んでいく。支持体から10cmほどまで顔を近づけ制作をする。周囲のものが目を凝らして見ても構成を捉えられないほどの細かさであり、誰もが数秒で描きあげる人の顔を、何日もかけ、ゆっくりゆっくりと確かめるように描き続けていく。

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