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・第59回研究会のお知らせ

日時:2017年7月8日(土)16:00~18:00


発表者:法貴遊(京都大学大学院文学研究科)

題目:「アラビア医学の治療プロセスに見られる理論と実践:カイロ・ゲニザの眼科学文書の事例から」

コメンテーター:中尾世治(総合地球環境学研究所)

事前参加申込:不要

要旨:

9世紀のバグダードでギリシャ語やシリア語で書かれた医学文献がアラビア語に翻訳されてから、アラビア医学は実践面でも理論面でも独自の発展を遂げ、その伝統は現代の中東やインドでも確認できる。本発表では、11世紀から13世紀にかけてフスタート(オールド・カイロ)で書かれたカイロ・ゲニザ文書を用いて、アラビア医学の実践の諸相について論じる。

 アラビア医学の先行研究は、翻訳を通したギリシャの学知の継承経路と、アラビア医学内部での理論的展開を主な研究対象としていたが、実践についての研究が不足していることは度々指摘されてきた。しかし、中世アラビア医学書の主な記述対象は、普遍的に真であると考えられた学知であり、個々の医学者による観察や実践などの個別事例は記述対象から排除されたため、現在に至っても医療実践は謎に包まれている。このような状況の中で、カイロ・ゲニザから発見された書簡やノート、処方箋が豊富な個別事例を含んでいる点で注目されている。本発表では、カイロ・ゲニザの医学文書の中でも最も多く残存している眼科学文書に注目し、当時の眼科医が用いた治療の技術とプロセスを明らかにするとともに、この実践の中でアラビア医学書に記されている医学理論がどのように用いられているのかという問題についても考察する。
 



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