道新6/26(金)付朝刊の「PCRセンター計画足踏み 設置場所 市と医師会対立」の報道について

【2020.6.26】

不正確な報道をされたため、次のとおり報告いたします。

この件については、6/23(火)の石狩市議会厚生常任委員会でも明らかにされているところです。

 

■ 設置場所 市と医師会対立

5月にPCR検査センターについての協議が破談となった後、石狩市側から本会への正式な申し込みはありません。石狩市と同じく保健所を持たない基礎自治体である千歳市や江別市でPCR検査センターの整備が進む中、6月初旬、石狩市から「場所」の話がありましたが、当初の医師会側からの提案は破談となっているため、今度は新たに石狩市側から申込みをするのか石狩市の担当部長に尋ねましたが、明確な返答がなかった次第です。

6/26現在においても、石狩市から正式な協議依頼はありません。

 

■ PCR検査センターの課題について

協議がされていないため、PCR検査センターの計画が足踏みしているように捉える方もいらっしゃると思いますが、実は違います。

様々な改正がなされ、石狩市が直営でも実施できる状況なのです。

 

石狩市では、先週の市議会一般質問の中で、運営方法など調整すべき事項として、「Ⅰ 必要な人材の確保」、「Ⅱ 場所の確保」、「Ⅲ 検体の搬送方法」などを取り上げておりました。

 

しかし、PCR検査を行う「地域外来・検査センター」の運営マニュアルが既に作成されており、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部から江別保健所を通じて、5/22付で、本会だけでなく石狩市にも通知が届いております。

そのことについて、6/23の市議会厚生常任委員会でも調査審議されました。

 

【Ⅰ 必要な人材の確保】

当マニュアルは、4/28付で作成された後、5/13付で改正が行われました。5/13付の改正では、「地域外来・検査センターにおいて主に検体採取を行う場合」が新規の追加事項となっております。

その中で、人員体制についても

必要に応じて、医師:1名~

②歯科医師、又は、看護職・臨床検査技師:1名~

③事務職等:1名~

④誘導員:1名~ と明記されました。

医師が「必要に応じて」とされたのは、主に検体採取を行う場合には、保健所や地域の診療所等の医師の判断が先になされているので、検体採取を行う場所にまで、医師が常駐する必要はないからです。

石狩市は、千歳市などの類似団体都市と比較しても職員数が多い都市です。そして、看護職は保健師がおりますし、事務職等や誘導員については、もちろん資格も要りません。

検体採取については、経験等を必要とするように思われるかもしれませんが、日本臨床衛生検査技師会で実施されております講習会は約3時間の講習です。何日もかけて学ばなければならない手技ではありません。さらに、6/2からPCR検査については、唾液も可となったところです。

(唾液の場合は、検体を採取するといった手技が必要ありません。)

 

【Ⅱ 場所の確保】

医師の問題は、検体採取の判断の他に、施設を管理する管理者の要件ともなっています。

しかし、検査センターは病院や診療所等と別の場所に開設し、検査センター側に管理者(医師)が常駐しないことも認められることになりました。

例えば、石狩市には、総合保健福祉センター検診室など医師会会員が既に管理者となっている診療所があるので、これをもとにして、石狩市が希望する場所に検査センターを置くことが可能なのです。

 

【Ⅲ 検体の搬送方法】

検体の搬送方法については、日本郵便が利用できることについて、以前から助言しております。利用するには、包装責任者が必要となりますが、きちんと講習などを受けさえすれば、包装責任者に特別な資格は要りません。

 

その他厚生常任委員会で、石狩市側は、本会以外の専門機関に医師の手配を打診し、開設日数や待遇面での課題がある話も明らかにしておりましたが、開設日数については江別保健所で当初作成した案がありますし、待遇については、札幌市内の軽症者等にかかる宿泊療養を担当したJMATの例があることを、以前、石狩市側には伝えております。検査センターの費用については、国と都道府県が2分の1ずつ負担します。また、本会以外の専門機関に医師を手配することについて、反対もいたしません。

石狩市側が、PCR検査センターを開設するにあたって、何を問題とされているのか全くわからない状況なのです。

 

○ 今回の報道について

6/25午後、道新の記者が本会事務局を訪問しております。そして、その時にも、5月の破談後、石狩市側から石狩医師会へ新たに正式な申込みをされていないことを話しております。(対立しているように書かれる理由が全くわかりません。)

 

当記者は、そもそも協議がないこと、そして、石狩市が検査センター開設にあたって課題としてあげている事項について、厚生常任委員会を傍聴しているはずです。ところが、記事の最後にベテラン市議を登場させ、「・・・それぞれの使命感の下、協議を続けてもらいたい」と締めくくることも大変意図的なものを感じます。

繰り返しになりますが、本会は、石狩市側から正式な申込みは何も受けておりません。そして、そのベテラン市議は当該問題をきちんと把握されている方を選んで取材されたのでしょうか。

 

記者からは、石狩市から医師の依頼をされたら、受けるかといった質問を複数回聞きましたが、「お上」が決めたことに従うべきではないかというふうに聞こえます。先に述べたようにPCR検査センターの開設については、石狩市が単独でも実施できるよう改正されているのです。

 

新型コロナウイルス感染症への対応が続く中で、医療従事者への応援も多く、その応援には誠に感謝する次第です。一方で、5月の破談後、医師会独自の体制整備も検討している中、あまり協力的ではない基礎自治体や市への従順を迫るような一部メディアの報道など、直接、医療への対応とは関係のない部分により多くの労力を割かなくてはならない現状にいらだちを感じ、大変残念に思う次第です。


     一般社団法人石狩医師会  会長 立石圭太