Interlocal Journal はドイツ・エアランゲン在住のジャーナリスト・高松平藏が主宰するウエブサイトです。


ドイツ地方都市でフランス音楽が溢れた日

都市の総合力が仏「音楽の日」実現

2018年6月22日


執筆者 高松平藏ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)



私が住むエアランゲン市(人口11万人)で市街地の10ヶ所でフランスのミュージシャンの演奏が無料で聞けるフランスの「音楽の日」が行われた。



■歩けるメインストリートは「細長い公園」 
同市の市街中心地は500メートルあまりのメインストリートが軸で、歩行者ゾーンになっている。道路というより、商業施設もある細長い公園ぐらいに考えたほうが機能を理解しやすい。そこへ広場や宮殿庭園が加わる。さらにミュージアムや劇場などの文化施設とも接続している。歩ける範囲でかなりいろんなものがある。 

そんな市街地の中でも「旧市街地」にあたるエリアで開催されたのが「音楽の日」。1981年6月21日パリで開催されたのが始まりだ。公共空間で音楽の多様性が示され、人々が無料でアクセスできることに主眼が置かれたものだ。それがベルリンをはじめとするドイツの都市にも飛び火し、エアランゲンでも開催。市内にあるドイツ・フランス研究所と市が主催している。21日、午後3時からスタートした。 

■現役世代の観客も多い 
市街中心地、10ヶ所で演奏が繰り広げられ、複数のフランス姉妹都市からミュージシャンが来ている。平日だが観客も小さな子供から高齢者まで幅広い。私は夕方6時頃からでかけたが、現役世代の中年も多かった。 

まずはオーダーメイドの服や衣装を作る工房へ。工場跡を改装されたところだ。アコーディオン、パーカッション、スーザフォンで構成されたシャンソンのバンドが演奏。歌詞の意味はわからないが、時々「だみ声ギリギリ」の声が混じる女性ボーカルの力強さが印象的だった。ウォッシュボード(洗濯板)をパーカッションにしたり、ノコギリをバイオリンの弓で演奏するなど、「芸達者」なところも見せた。 
工場をリノベーションした服飾アトリエで演奏が始まる。
工房だけに、ミシンなどの作業道具が並ぶ

市営ミュージアムでの演奏ものぞいた。このミュージアムは18世紀前半の建物で、中庭も当時の雰囲気がしっかり残っている。ここでは5人編成のバンドが演奏。観客はバンドを取り囲むように聞いているのだが、ダンサンブルな曲が多く、途中から踊り出す人もいた。 
建てられた18世紀当時の雰囲気が残っている。
形態は路上ライブ。ダンサンブルな曲が多く、やがて踊り出す人が出てきた。


■「生活の質」の高い都市の総合力 
個人的には夏時間のまったりした明るい夕方の雰囲気が好きだ。 
この時期、市街地は様々なイベントなどがあり、ゆっくり過ごせる環境がある。今回のような催しの場合、市街地そのものが文化のテーマパークと化する。もっとも、客観的に見ると、催しが多すぎるため、本来もっと際立ってよいはずの文化イベントなどが埋没することもある。

一方エアランゲン市は「生活の質」の都市ランキングで、常に上位に入っている。その秘密は同市の総合力といえるだろう。「音楽の日」を見ても、主に次の4点が編み上がって実現していると思われる。 
  • 市街地の構造(公共空間、歩行者ゾーン、商業施設、景観) 
  • 豊富な文化施設の集積 
  • 姉妹都市というネットワーク 
  • 国際的な研究所 

さて、2ヶ所の演奏を聞いたあと、市街地の広場へ。地元のワインが飲める「ワインフェスティバル」が行われていたので軽く飲んで帰ろうと思ったのだ。しかし満席。その光景にめげて帰った。 残念。(了)
この日、広場ではワインフェスティバル。満員御礼状態だ





  
※引用される場合、高松平藏が執筆したことを明らかにして下さい。