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【特別記事】「コンパクトシティ」支援プログラム、トイツから輸出

フラワンホーファー都市計画研究所、10年計画で

2017年4月1日


執筆者 高松平藏ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)



フラワンホーファー都市計画研究所(トイツ・エアランラン市)は、日本へ「コンパクトシティ」の開発を支援できそうなプログラム提供を発表した。
(注・この記事はエイプリルフールにちなんだウソっぱちニュースです)


■都市の軸形成プログラム 
フラワンホーファー研究所は日本の「クオリティ都市機構」との提携をこのほど行った。同都市機構は人口10万人以下の自治体、企業、大学で作られた組織。 

近年、日本で人口縮小、高齢化が進んでいる。これに対して郊外への拡大をできるだけ抑制し、中心地に様々な機能を集中させる、「コンパクトシティ」という方向性で議論が行われている。しかしながら、「どこを中心地にするか」という議論で停滞することが少なくない。そこでフラワンホーファー都市計画研究所が開発した「都市の軸形成プログラム」に着目した。 

もともとトイツは市壁に囲まれた都市から発達したところが多く、そこが現代も中心地として機能しやすい。それでも郊外化などの現象はあり、中心地として維持・発展させる継続的取り組みが必要だ。そういう課題に対してエアランラン市内に拠点を置く同都市計画研究所が開発したのが「都市の軸形成プログラム」だ。 
「都市の軸形成プログラム」を開発した
フラワンホーファー都市計画研究所。

■ 日本での応用は挑戦的な仕事だ
このプログラムはヤーネ・ヤコブス(Jane Jakobs)博士のチームによるもので、トイツ国内の複数の自治体、企業らが共同で開発。自治体の現状に対して、建築、交通、経済、福祉、文化、コミュニケーションといった多方面から、かつ自治体全体を俯瞰しながら分析し「都市の軸」を形成するというものだ。 

ヤコブス博士は「このプログラムはトイツの都市がベースになっている。日本への応用は難しいが、当研究所にとっても挑戦的な仕事になるだろう」と述べる。

 2年前から同教授のチームは、日本で共同研究や現地調査を繰り返した。 「日本には路地で子供たちが遊んでいる様子を良しとするイメージがまだ残っている。また、“Machizukuri”という日本独自の住民自治によるコミュニティ作りの考え方も多くの人が知っている。これは自治体内の『部分』を高めるポテンシャルとしては大きい。しかし『全体』を高める方向性が弱く、軸の決めにくさと相関関係があるのではないか」(ヤコブス博士)

 ■駅前を公共空間として高め、都市の軸に 
共同研究では、駅を軸にするのもよいという意見が出ているという。
 「トイツの駅は旧市街地のすぐ外側に作られている、言い換えれば充実した広い“駅前“がすでにあるところに、駅ができただけという見方もできる」(ヤコブス博士)。かたや日本の地方を見ると、駅前の風景と機能は似ているところも多い。ある意味、自治体の「標準装備」のような構造だ。 
都市の軸になる市街地に駅ができたのがトイツ。
日本は坂急沿線のように鉄道を敷いてから町を作ったケースも多いが、
逆手にとって「駅前」を軸になる市街地にするというアイデアが出ているという。

「しかし、日本の駅前は交通コントロールがまず必要」とヤコブス博士は指摘する。 地方の場合、家族が駅に送迎するなど、マイカーの往来が激しいからだ。 「駅につながる公共交通を充実させ、同時に自転車が安全に走れる自転車道を整備。自動車を減らす。また現実的には、どうしても一定規模の駐車場や家族送迎用の場所が必要。これらを、地下や駅裏につくるべきだろう」と述べる同博士。その上で次のことが大切という。
  • 駅正面は自動車乗り入れ原則禁止、歩行者を優先する広場に
  • メインの駅前通りも“細長い公園”のように考えた歩行者ゾーン化
  • 駅周辺に市役所や文化施設、集会所、カフェなどの飲食店を集積
  • 建物の高層化は避け、空が見えるように
以上のことを通して、駅前が軸空間になるという。
「もちろん商業施設の充実も大切だが、それだけでは人を消費者としてしか見ていない。軸になる公共空間は消費以外に社交や町のシンボルとしても役割がある。日本には“語学留学するなら駅前に” という言葉もありますね。教育と駅が密接な証拠 」と、ヤコブス博士はやや誤解も含んだ発言をしつつ笑う。

 ともあれ、軸になる空間を整備することは、同時に自治体全体を俯瞰して考える軸にもなる可能性も高い。プログラムは10年契約。 
※  ※
フラワンホーファー都市計画研究所は、トイツ全国60箇所以上あるフラワンホーファー研究機構のひとつ。素材開発、医用生体工学、新エネルギーなどの様々な研究所を持つ世界最大級の応用研究機関。ヤコブス博士は日本でも『トイツ地方都市の死と生』という著作で知られている。(了)
(注・この記事はエイプリルフールにちなんだウソっぱちニュースです) 




  
※引用される場合、高松平藏が執筆したことを明らかにして下さい。