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活かしていますか?姉妹都市交流

国境超えた「インターローカル資本」として考える

2016年5月12日


執筆
高松平藏ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)



国外に姉妹都市を持つ自治体は多い。その関係を活用しているところも、そうでないところもあるかと思う。姉妹都市交流の価値を考えてみたい。



外国の「地方」との関係は「インターローカル資本」だ
外国の土地でありながら、精神的な近さや、交流を通じて増えてくる個人的な人間関係がある。異国社会の窓口でお互いの顔を見る準備ができている。すなわち信頼できる外国の町だ。その信頼性は、国境を超えた地域同士の「インターローカル資本」といえるだろう。

日本の自治体も姉妹都市関係を持つところが多い。日本側の行政担当者が数年で変わってしまうのが玉にキズだが、それにしても、 これを活用しない手はない。大掛かりな使節団の相互訪問もよいが、青少年のホームステイ・短期留学、文化・スポーツ交流などもよい。もちろん参加した人にとっても得るものも大きいし、自治体から見れば教育振興プログラムとしての価値も高い。

場合によっては、参加者は外国の土地や人と接することで、自分の住む地方のよい所を発見することや、クリティカルな意見をもたらしてくれるかもしれない。

■観光だけの交流なら、姉妹都市関係の再考を
他方、専門家の交流・交換も有効だろう。公務員、芸術家、NPO、警察、消防団、教員など考えられることはたくさんある。地域には共通の職業や課題がある。これを軸にすると、深みのある交流を実現しやすいのではないか。

個人的には地域新聞の記者が姉妹都市に1ヶ月ぐらい滞在して、自分の地域紙にレポートというようなことができれば面白いのではと思う。まさに「インターローカル ジャーナル プログラム」だ。

姉妹都市交流の代表的なプログラムは使節団の相互訪問だが、観光がメインになってしまっていれば、交流そのものを再考したほうがよいかもしれない。
市役所前の広場のオブジェ。姉妹都市までの距離が記されている。
このオブジェも姉妹都市から贈呈されたもの。

■姉妹都市の若者のバンドが演奏
ドイツも姉妹都市を持つ自治体は多い。私が住むエアランゲン市(人口10万人)も13の都市と関係があり、相互訪問も盛んだ。

個人的に興味深かったのが「森」をテーマに各都市の森の状態や森にまつわる文化を見せる展覧会。大掛かりなものではなかったが、姉妹都市・パートナー都市があるからこそできる展覧会だった。
また継続的に行われている文化プログラムとしてウラジミール(ロシア)の若者のバンドがやってきて、市内のライブハウスで演奏している。もちろんエアランゲンからも若者のバンドがウラジミールへ訪問している。


印象的だったのが同市の1000年記念年。市街大通りでの市民パレードに姉妹都市も招待。伝統衣装を着た姉妹都市の人々が参加した(=写真)。

パレードは公共空間でなんらかのメッセージを発し、その場に居合わせた人と分かちあったり、連帯を確認したりする。軍事パレードなどはいかにも、そういう役割が付されているのが分かる。市民パレードの場合は歴史や自治体の誇りを確認・共有する役割があり、様々な姉妹都市があることがまた、都市の誇りの一部なのだ。

■健全なグローバリズムへの挑戦
戦後、欧州内の都市同士が関係を作ることは、ヨーロッパのコミュニティとしての強化という意味合いがあった。2000年ごろにはEUの拡大が進む。国家を超えた大きな枠組みはコミュニティに不安をもたらす。これに対して、自治体同士の関係を強めておくことで、存続の基礎部分を強めようという考え方もあったようだ。

もう少し普遍的にいえば、「インターローカル」な関係作りは、競争・緊張といったグローバル化のマイナス面に対する挑戦だ。国境を超えた「顔が見える地方の関係」が増えることは、健全なグローバルリズムの実現につながるのではないか。(了)

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