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生産効率を上げると、社会が元気になる?

クール・ジャパンからファン・ジャパンへ

2016年1月1日


執筆
高松平藏ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)



クリスマス前に日本の生産性が先進国の中で低いという報道があった。換言すれば生産効率の向上は大きな課題だが、同時に個人の可処分時間の増加をパッケージにして考えてみてはどうか。これによって社会のかなりの課題進展のいとぐちになるように思える。
『生産効率の上昇』と『個人の可処分時間の増加』、
このパッケージで社会の多くの課題を進展させる可能性がある。


■びりっけつ先進国
昨年クリスマスの前週18日、日本生産性本部の発表によると、2014年度の実質の労働生産性が前年度よりも低下。経済協力開発機構(OECD)加盟国中の先進主要7カ国で最も低いという。しかし生産性の低さは以前から多くの人が指摘していた。また、休暇も多く、残業もほとんどないが、生産性は高いというドイツともしばしば対比されてきた。

外から見て、日本の現状にげんなりすることがある。そしてクール(お寒い)ジャパンは錯綜しているように見える。が、生産性の課題から、ひとつの方針をたてることができる。それは生産効率向上と、個人の自由になる時間『可処分時間』の増加をセットにしてはどうかということだ。これで社会のかなりの課題に対して、良好な取り組みが可能になるかもしれない。

■可処分時間が増えるとどうなるか
ちょっとズルいが、生産効率を上げる方法は、その道のエキスパートにおまかせする。
ここでは可処分時間が増えるとどうなるか、ちょっと羅列してみようか。たぶん、もっとたくさん挙げることができるだろう。
  • ワークライフバランスがとりやすい
  • 家族の時間が増えるので育児環境の底上げになる
  • 学ぶ機会の増加
  • とにかく地域社会で過ごす時間が増える
  • NPOなどの社会的組織の活動に参加しやすくなる
  • 余暇時間で創作活動やスポーツをする人が増える
  • 余暇時間で劇場やミュージアムなどに向かう人が増える
  • 地域の社会運動に参加しやすくなる
  • 地域の政治活動に参加しやすくなる
可処分時間が増えると、家族という個人領域の生活が、もうすこし物理的に余裕のあるものになると思う。
さらに住んでいる地域で過ごす時間が増え、地域内で文化・福祉・教育・スポーツなど、様々な領域で活動をする人も増加するだろう。それは仕事の肩書以外の人格による社交が増えることであり、退職してから『地域デビュー』などと馬鹿げた言葉もなくなってくるはずだ。

■エコノミー・ソーシャル バランス
こういう活動が盛んになってくると、小さな地域経済圏が生まれてくるだろう。連帯経済などと呼ばれるものや、日本の議論でいえば、メインの資本主義経済のサブシステムとして論じられた『里山資本主義』、そういう種類の経済が機能してくると思う。

また基本的に社交が多いと、地域で社会運動を起こしたり、参加しやすくなる。それはいずれ地域の政治となだらかにつながってくるはずだ。民主制の国では、社会で多くの議論を尽くし、そして制度として完成させ、実現させるのは政治だからだ。また社交に多様性があると、創造都市論などでいわれる、クリエイティビティのポテンシャルが高まるだろう。

『生産効率の向上』『可処分時間の増加』これをセットに考えていくと、経済と社会のバランスをとりやすくなり、それはファン・ジャパン(愉快な日本)実現のカギかもしれない。(了)

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