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学校で選挙

民主制政治について考えた


2013年9月24日


執筆
高松平藏ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)



2013年の9月は私が住まいするバイエルン州の州議会、ドイツ連邦議会と立て続けに選挙が行われた。それにあわせて、長男のクラスで模擬選挙がおこなわれたらしい。民主制政治について考えてみた。
広場で実際に政党が繰り出し、候補者やスタッフが人々と直接議論をするのがドイツの選挙スタイル。

■緑の党がトップ!
長男は中学生相当の年齡だが、歴史の授業で『選挙』をしたらしい。選挙の説明のほかに各政党の政策をコンパクトにまとめられた『シュピーゲル』誌の記事のコピーが前もって配布された。そういったものを参考にしながら、どの政党を選ぶかという『選挙』がおこなわれた。

今回の連邦議会の結果は中道右派のドイツキリスト教民主同盟(CDU)及びその姉妹政党バイエルン・キリスト教社会同盟(CSU)がひとまず最大議席を獲得した。それに対して、クラス選挙結果は緑の党がトップだった。2位がドイツ社会民主党(SPD)とかなり違った。

■環境と社会の良心が魅力か?
この結果はなんとも興味深い。理由を私なりに考えたい。

まず『緑の党』といえば若手が活躍しているイメージが強い。もちろん他党でも青年部があり、『緑の党』のみ若手が多いというわけではない。が、例えば今回最大議席を得た中道右派政党などは党内でキャリアを積んで、貫禄のあるおじさん、おばさんになったころにようやく陽の目を見る、というイメージがあり、換言すれば、なんとなく若者にはとっつきが悪いような気がするのだ。

また『緑の党』は環境政党だが、イデオロギー的には左側。環境問題に加えて人権とか公平性とか、いわゆる『社会的』という概念がけっこう強く打ち出される。つまり社会の良心が強く表明されるわけで、どちらかといえば若者に響きやすかったのではないか。

■投票率を気にかける前に
民主政治システムとしての選挙は重要なシステムだ。しかし極端にいえば、選挙結果は暴力や情報操作などで実はある程度コントロールできる。金権選挙などは日本でもかなり留意されている部分だ。それを考えると、投票率を気にかけるのも大切だが、むしろ選挙システムに付随して政治とは何かという教育・啓発、そして多様な議論がどのぐらい担保できるかということのほうが実は重要な部分だと思う。逆にそこをしっかりできていれば投票率も上がる可能性が高い。

ドイツの若者の政治意識は実際どの程度高いのかわからないが、連邦政府でも政治の健全性を維持するために『連邦政治教育センター』を設置している。選挙のスタイルも期間中は広場に政党が繰り出し、候補者やスタッフと直接話しができる。そして授業での模擬選挙が行われることもあるわけだ。

ひるがえって投票日の夜は、長男も選挙報道を一緒にみた。サッカーのチームを見比べるように政党の票のグラフを見ているようでもあるが、まあ、長男に限っていえばクラスでの模擬選挙は政治に興味をもつという最初のステップには効果はあったようだ。(了)

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