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文化の意義

ヨハネス・ラウ(元ドイツ連邦共和国大統領)の言葉


2012年07月02日



執筆者 高松平藏ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)




──文化はケーキの上の生クリームではなく、生地の中の酵母である。

2003年に行われた会議、『劇場のための同盟』で当時の大統領ヨハネス・ラウが演説を行ったが、その中の一節である。ドイツでは日常生活でケーキをよく焼くので、スーパーには写真のような酵母が売られている。そんな生活習慣を考えるとかなりしっくりくる表現だと思う。写真の酵母も近所のスーパーで買ってきて撮影し、パッケージの文字部分は日本語に加工した。

さて、日本から見ると、ドイツは羨ましいぐらいに文化について法的にも、政治的にも、社会的にも一定の存在があり、そして意義が認められている。それにしても常に『カネ』は頭の痛い問題だ。

だからこそ、たびたび様々な人が文化の重要性や意義を確認する。この言葉もいわばそのひとつで、ドイツでも文化関係者の中で引用されるケースが散見される。

加えて大統領は国の理性ともいえる存在だが、だからこそ、こういうメッセージを発することに大きな意味があるのだと思う。

ところで、原発の一件は日本の様々な問題がシャープなかたちで浮き彫りになり、民主制の枠組みで政治がどのように動くかという、ある意味『政治の季節』を迎えている。

同様に大阪市でも図書館や文楽をはじめとする、文化に関する緊張が続いている。いささか理想的な言い方になるが、文化も創造的な政治的対立をしていかねばならない時期にきているように見える。そして文化の価値を考え、広く確認・共有していくことが大切なのだと思う。地味な行為だが、創造的な政治的対立のための『酵母菌』のような役割の行為だ。(了)

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