いまから1,300年以上も昔。

茨城県の霞ヶ浦と千葉県の
印旛沼、それに手賀沼までもがひとつづきの大きな海だった頃。
その海を見晴らすように、とても大きな岩屋が築かれました。
同じ時代の天皇の陵墓をも凌ぐその築山に葬られたのが誰なのか、まだよく判ってはいません。
この岩屋が築かれたのとちょうど同じ頃、岩屋からほど近い場所に、飛鳥の都の山田寺のものと同じお顔の仏像を安置した龍角寺も創建されていることから、この印旛の地は東(あずま)の国の中でも特に栄えた地であったことが窺われます。

この物語は、印旛の地が「印波国(いにはのくに)」と呼ばれた
その時代、謎の岩屋や龍角寺が造られた埴生郡(はぶのこおり)に生きた人々に想いを馳せて綴ったお話です。

2010年4月      宗倉 徹