執筆:2024年11月
担当:伴場森一 (London School of Economics修了)
高校時代にイギリスのインターナショナル・スクールに留学した経験から、植民地主義や先進国・途上国間の格差に興味を持ち、国内大学の法学部に進学しました。大学在学中から国際協力をキャリアにしたいという思いがあり、そのためには修士号が必要となることから、大学卒業後は大学院進学を決意しました。所属ゼミの教授からの助言も受け、大学院は開発学での評判の良いLSEを選びました。人権問題や社会的脆弱層についての関心も高かったため、開発と人道を両方学べるコースがあったのも決め手の一つでした。
MSc International Development and Humanitariran Emergencies (IDHE) には、約100名の学生が在籍していて、個人的な感覚だと約8割が女性でした。国籍はアメリカ人が最多で、他の国際開発学部のコースと比べて欧米人が多かった印象です。学生のバックグラウンドは、学部を卒業したばかりの人が比較的多かったですが、NGOでの勤務経験が数年あったり、長年国連機関に勤めていたりした人もいました。
授業は、必修科目と選択科目を3つずつ履修し、それぞれ2時間のレクチャーと1時間半のセミナーで構成されます。必修科目は①Managing Humanitarianism, ②Key Issues in Development Studies, ③Humanitarian Consultancy Projectです。選択科目は自由でありつつも、①Complex Emergencies, ②Advocacy, Campaigning and Grassroots Activism, ③Forced Migration and RefugeesがIDHEの学生に強く推奨されており、ほとんどの学生がこの3つを選択していました。毎週各科目のリーディング・リストに載っている論文をベースにレクチャーが展開され、セミナーはそれをテーマにしたプレゼンテーションを学生が行い、クラスで議論を深めるといったものでした。授業は大体学期ごとに開講されますが、Humanitarian Consultancy Projectは通年で行うグループワークで、実践的な内容となっています。
LSEは国際開発学部ではもちろん、他学部でも公開講演会を頻繁に開催しており、政治や経済など様々な分野の最前線でご活躍の研究者や実務家の話を聞くことができます。また、国際機関やコンサルティングなど業界別のキャリアイベントも開催され、実務家とのネットワーキングの機会にも富んでいます。こうしたイベントがこまめに行われるのは、LSEの知名度や規模の大きさゆえのことだと思います。
LSEの学生として送るロンドンでの大学院生活は、非常に充実しています。ロンドン大学に所属している大学の図書館はどこでも使えるので、勉強する場所には困りません。また、国会議事堂の無料見学ツアーや美術館や映画の割引も利用しない手はありません。学生として住む魅力が溢れるロンドンですが、LSEの学生は特に上昇志向が強く、どことなく忙しない雰囲気も漂っていると感じました。
イギリスの大学院は、日々リーディング、授業の予習・復習、課題などをこなすことで精一杯になってしまうかもしれませんが、1年は本当にあっという間に過ぎていきます。日々の忙しさに流されずに自分にとって意義深い留学にするには、当初留学を志したときの目的を忘れずに、1日1日をできるだけ大切に過ごすことが重要だと思います。