療養記(5) 


 

2006年5月26日金曜日
 今日は、聖カタリナ女子高校で講義をしてきた。この学校の看護専攻科で心理学の講義を数年前からしている。講義を引き受ける時に、「教科書はお使いになりますか?」とたずねられたので、「僕が書いたものがあるのですが、それを使ってもいいでしょうか」といったら、思いがけず通ってしまい、それ以来、『アドラー心理学入門』を教科書にしている。年々、学生は真面目になってきて、その分、型破りのユニークな学生が減ってきているようで残念なのだが、今年初めて出講した日、前の方にいる何人かの学生の本を見たら、先の方まで読んであり、ラインマーカであちらこちらに線を引いてあった。今年はなかなかおもしろそうだ、と思った。これが4月14日のことだった。この日、家に帰ってからしばらくして今から思えば最初の発作があった。その後、またたくまに悪くなっていき、19日に救急車で南丹病院に入院したのだった。

 今回、急な入院でいくつかの職を失ってしまったが、聖カタリナ女子高校からはどんなふうにでも僕が望むように復帰してほしい、といってもらえたので、今日から講義をさせてもらうことにした。復帰する日を伝える電話をしたのは、まだ退院前のことで、その頃にはまだ外に出られず、長距離を歩けるとは思えなかったので、約束したもののどうなるだろうという不安はあった。しかし、比較的近いことと、駅からはタクシーを利用できること、よほど疲れたら、タクシーで帰宅することも不可能ではない距離であること、学校と家の中間地点に病院があることを思っての決断だった。タクシーで行ったらどれくらいかかるだろうか、とか、講義中は椅子にすわって話そうかとかあれこれ考えていたが、無事、駅まで歩いて電車に乗り、降車駅からタクシーを使って学校に行き、講義をすることができた。電車が朝なのでわりあい混んでいてすわれないのが少し辛かった。岡田医師のいう7割復帰にはほど遠いが、久しぶりに世の中での自分の居場所を感じることができた。当然、疲れたが、来週はもっと体力が戻っていることだろう。

 今日は二回目の講義だったので、教壇においてある缶には質問紙がたくさん入っていた。質問に答える形で講義をすると、強い反応があった。 

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