療養記(45) 


 

2006年7月14日金曜日 

 始まりがあるものは必ず終わりがある。退院後ほとんど唯一の仕事といってよかった聖カタリナ女子高校での講義が終わる。比較的近くだったこともあって、退院前から復帰を決めていたこの学校の講義を再会したのは退院した翌週からだった。休講にしていた分の補講もしなくてはならず6月は週二回のペースで出講していた。最初の頃は体力がなく、駅まで歩き階段をのぼりするだけでもたいそうなことだったし、たった一時間半なのに講義をするのはエネルギーがいった。講義を最後までやりとげることができたと今は思う。看護学生の参考になれば、と病院で出会った看護師さんの話をたくさんした。僕の伝えたメッセージを受け止める学生がいますように。

 これで当面、定期的に外出するということもなく、家にいることになる。ありがたいことに来年も出講を依頼されたのだが、なんとか生き延びたいものだ。いまだ閉塞した冠状動脈をかかえている。いかに再発作を遅らせるために生活を整えるかが目下のテーマである。明るい話ではないが与えられている現実を受け止めるしかない。

 忌野清志郎が喉頭ガンで入院したニュースで、医師が飲酒、喫煙が過ぎた人がかかる病気で男性の罹患率は女性の10倍であるというコメントをしていた。僕は忌野清志郎について詳しいことは知らないからこれがあたっているのか知らないのだが、この病気になる人に失礼なコメントだと思った。親戚にお酒も飲まないし煙草も吸わない人でこの癌になった人がいる。危険因子がなくても病気になることはあるということは知っていたい。

「何事も人生経験と考え、この新しいブルースを楽しむような気持ちで治療に専念できればと思います」

 いざ病気になると、なかなかこんなことをいえない。

 最後の講義だったので、楽観主義の話をした。なんとかならないとあきらめるのでもなく(悲観主義)、なんとかなると思って何もしないのではなく(楽天主義)、できることをしていくしかない。それでどんなことになるのか、どこに到達するのかはわからないが。 

トップに戻る