生還記(12) 


 

2006年5月3日水曜日
 一度目が覚めたが、今朝は7時半まで眠ることができた。夜、眠るのが惜しい気がする。個室なので事実上消灯はないのだが、9時に読書灯だけにすると、もう寝ないといけない、もっと起きていたい、と思う。10時にはレンドルミンを飲む。
 朝、尿量が少ない、と指摘された。思い当たる理由としては水分の制限解除になってから、いつでも飲めると思えるから次の給水時までにこれだけは飲んでおこうという強迫観念から自由になったということである。結果的に水分の摂取が少なくなったのではないか。
 このことと関連して、朝、清拭中に中西看護師とこんな話をした。彼女が卒業した高校は、生活指導が厳しかったという。規則がなくてもむちゃなことはしないのに、やれリボンの色がとか靴下の色とか、うるさかったという。「きっと僕の水分制限と同じなのですよ。制限の範囲まで(1000ml)飲みましたから。でも、普通、そんなに飲まないでしょうし、実際、制限が解除されたらそれほど飲まなくなりました」
 今日も洗髪はなかった。一体、何人の看護師に何回訴えたことか。今日の午後になるかもしれないし、明日になるかもしれないと午前中に聞いてしまったものだから期待してしまった。今し方得た情報ではどうやらいつのことになるかわからない様子。
 昼から病棟内を歩く。まだゆっくりしか歩けないが、200メートルくらいの距離を2回歩いた。晴れ渡る空、新緑の山々を見ることができて気持ちがよかった。リハビリのために歩いた時と違って、今日は休みの日なので、ひっそりとしていた。
 夕方、また歩いてみた。病室から見えるわずかな空を見ると日が沈もうとしているように見えた。しかし、ここからは見えないので、夕日を見える場所を探してみようと思ったのである。一ヶ所、見つけることができたが、残念ながら日没後だった。部屋に帰ると動悸があるわけでも息切れがするわけでもないのに、たいそうな運動をした後のように感じる。