ケルン市歴史文書館支援のためのサイト:ホーム


はじめに

本サイトは、2009年3月3日に倒壊したドイツ・ケルン市歴史文書館(Historisches Archiv der Stadt Köln)の復旧を、日本からも支援することを目的としています。これまでに、ケルン市史を専門とする研究者と院生(ページ末参照)が呼びかけ人となり、署名と寄付を募ってきました。これまで、メーリングリストおよびそのホームサイトを通じて情報を提供してきましたが、グーグルグループの一部サービス内容改定に伴い、新たに情報提供の場を設けることにしました。

ここでは、今後も引き続きケルン市歴史文書館の復興状況についてお知らせするとともに、さらにドイツを中心とした文書館全般に関する情報、デジタル化の現状、市民との関係、被災資料救済や史資料保存への取り組みなどについても情報発信を試みていきます。文書館および史資料保存について、考えるきっかけを提供してくことを目指しています。


本サイトで提供していくもの

提供中

  1. ケルン市歴史文書館倒壊とその後についての概要(本ページ下記)
  2. 神戸大学における研究会(2009年11月13日)の報告書(個別ファイル)

今後の予定

  1. ドイツの文書館情報
  2. 歴史資料のデジタル化の現状
  3. 歴史研究、文書館と市民の関係

ケルン市歴史文書館倒壊とその後

文献情報ページにある、各種邦語文献もご参照下さい。

被害状況について

Stadtarchiv
[Foto: Matthias Frankenstein (Landesarchiv NRW)]

自治体の文書館としてはアルプス以北最大のものであるこの歴史文書館は、その規模は書架にして延べ26kmの長さにおよぶ分量の文書、最古のものは922年という証文書65,000点、地図や図面104,000点、遺品や遺稿780点を数えました。そこにはケルン史に関する史資料はもちろんのこと、アルベルトゥス・マグヌスの手稿やノーベル賞受賞者ハインリヒ・ベルの遺稿など、さらにその枠を超える重要な文化遺産もが含まれます。建物はゼヴェリーン通りに面した高層部分(地上7階、地下1階)とその奥の、閲覧室や研究室があった平屋建て部分からなり、平屋部分に保管されていた約500,000点の写真・フィルム資料は4,000点の証文書とともに無事でした。この無事だった証文書がケルン大司教区歴史文書館に移送される様子は、西ドイツ放送局で放映されました(WDR Lokalzeit 2009.03.12)。

回収作業の進展

倒壊後、2009年5月までに全体の80%に相当する史資料が回収されました。残りの20%にあたる未回収分は、その多くが地下水層に入りこんでしまっており、その回収をどのように行うのかが長く議論されていました(cf. WDR, 2009.06.03 / Kölnische Rundschau, 2009.05.14)。その後、断続的に行われた作業の結果、2010年秋までに全体の90%近くが回収され、さらに2010年11月26日からは、地下水層下への最終的な回収作業が開始されました。この作業は、当初2011年1月末をもって終了される予定でしたが、1月中にライン川を含むドイツ全域の河川が増水したことで中断し、その後再開されたものの、最終的な終了予定は4月まで延期になりました。

【文書館倒壊とその後】
 2009.03.03  文書館倒壊
 2009.04.22  ケルン大学連続公開講義開始
 2009.05.04  日本からの署名提出
 2009.06.23  臨時閲覧室開設
 2009.08.15  『歴史学研究』時評
 2009.09.10  『歴史評論』時評
 2009.09.17  再建場所決定
 2009.11.13  神戸大学研究会
 2010.03.06  ベルリンでの特別展示開始(~04.11)
 2010.03.31  日本からの募金締切と振込
 2010.04.27  臨時閲覧室移転
 2010.10.03  ケルン市歴史博物館での特別展示開始(~11.21)
 2010.11.26  回収作業最終段階開始

臨時閲覧室と再建計画

回収と修復には長い時間がかかるため、その間に研究等で史料を必要としている利用者に対しては、応急的な措置が必要とされました。1815年以前の「古文書」類をはじめとする一部の所蔵物に関しては、保存用マイクロフィルムが存在しており、そのコピーが利用に供されることになりました。そして、2009年6月23日に、ケルン市ドイツ地区に設置されていた文書館臨時オフィスの一角に臨時閲覧室が設置されました。その後、臨時オフィスの移転に伴い、2010年4月27日からはケルン市内Heumarkt 14に、臨時閲覧室が設置されています。

文書館の再建場所については、複数の候補地(いわゆるゲーリング地区(聖ゲレオン教会周辺)、メッセ(ライン川対岸地域)、あるいは元のゼヴェリーン通りに再建する案など)が挙げられ、暫くのあいだ議論されていました。2009年9月17日の市議会において、ケルン市南地区(Köln Süd)の Eifelwall が最終的な再建場所として決定されました(koeln.de)。

市民アーカイブ

館長シュミット=チャイア氏は西ドイツ放送で、遅くとも夏までに修復・デジタル化センターを開設した上で、可能な限り迅速に文書館再建プランに着手するよう訴えました。ここで彼女は、「市民アーカイブ」という言葉を用い、市民と密接な文書館にしたいという希望を述べています。また以前に市の文化財修復に携わっていたキーア教授は、ケルン市民の協同、さらに文書館友の会(友の会のサイトはこちら)への参加を訴えています。

Freunde des Historischen Archivs der Stadt e.V.
c/o Historisches Rathaus
50667 Köln-Innenstadt

デジタルアーカイブ

史資料の回収・修復および文書館の再建と並行して、デジタルアーカイブに関する取り組みも行われています。ひとつは、ケルン市歴史文書館自らの取り組みとして、マイクロフィルム等で複製がなされている史資料のデジタル化、および倒壊現場から掘り出された史資料を修復・保全処置後にデジタル化・公開するというものです。この場合、ネット上での公開という形ではなく、臨時に開設される閲覧室での公開が想定されています。

もうひとつは、文書館倒壊後すぐに活動が開始された、プロメテウスとボン大学歴史学科ライン地域史研究部門との共同プロジェクト「デジタル・ケルン歴史文書館」です。文書館利用者の手元に保管されている史資料の複製を、ネット上でオープンに登録・共有しようというもので、すでにかなりの数のデータがオンライン上で整理、公開されています。現在このプロジェクトは、ケルン市歴史文書館との密接な協力関係のもと進められており、救出された史資料の修復・保全、デジタル化が進み、それらが公開されるようになるまで、文書館の史資料へのアクセスを提供しています。またマイクロフィルム等で複製がなされていない史資料が、過去利用者によって個人的に複製されていた場合は、それが倒壊によって失われてしまったかもしれないオリジナルの唯一の複製となることが考えられ、今後の歴史文書館の再建と研究の進展にとって、非常に重要な意味をもつことになります。

この「市民アーカイブ」およびデジタルアーカイブについての詳細は、井上・平松による『歴史評論』10月号(2009年9月10日発行)の記事をご参照ください。

文献情報ページにある、各種邦語文献もご参照下さい。

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Impressum

署名・募金の呼びかけと協力

呼びかけ人(50音順/所属は2009年4月現在)

  • 猪刈由紀(上智大学非常勤講師、ボン大学Ph.D.des.)
  • 井上周平(東京大学大学院博士課程/ボン大学博士候補生)
  • 高津秀之(早稲田大学非常勤講師)
  • 平松英人(ハレ=ヴィッテンベルク大学博士候補生)

協力(50音順/所属は2009年4月現在)

  • 辻英史(東京大学大学院総合文化研究科教務補佐)
  • 永本哲也(東北大学大学院博士課程)
  • 柳沢のどか(一橋大学特別研修生)

ML/サイト管理

  • 猪刈、平松、井上

最新のお知らせ

  • 資料保存セミナー 2011年2月4日(金)に埼玉会館において開催される資料保存セミナーにおいて、歴史資料ネットワーク副代表の松下正和氏が「ケルン市歴史文書館倒壊と市民による救助活動」について御報告される予定です。詳しくは、史料ネット http://blogs.yahoo.co.jp/siryo_net/33959101.html全史料協 http://www.jsai.jp/info20101210.htmlをご覧下さい。なお、参加は申し込みが必要とのことです。
    投稿: 2011/01/27 17:04、Shu INO
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