進行性下顎頭吸収


進行性下顎頭吸収

Progressive Condylar Resorption (PCR


 最近、顎矯正手術により術後の下顎頭吸収(PCR)の発症が注目されています。これは、特に、下顎骨切り術の前方移動の症例において発症頻度が高く、 Hoppenreijs らによると6~20%、日本国内においても、6.25%と報告されています。

 本来の一般的なPCRとは、進行性下顎頭吸収のことをいいます。進行性下顎頭吸収とは、進行性の下顎頭の形態変化とそれに伴う著明な下顎枝の高さの減少と定義され、その結果として、上顎前突、開咬、顔面非対称といった症状が発現します。


PCRとは(PCRの定義)

進行性の下顎頭形態変化(だんだんと下顎の関節部分の形が変形して行く)とそれに伴う著明な下顎枝の高さの減少(下顎が短くなる)と定義 されています。その結果として、上顎前突(出っ歯)、開咬(前歯が咬まない)、顔面非対称(顔の歪み)といった症状が現れます。 
(Arnett etal. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics 1996)


PCRは顎変形症の患者さんに限った病気ではなく、一般的な方にも起こりえる病気です。



主な発症原因は、全身疾患として 若年性リウマチ、SLEなど、局所的な要因として、歯科治療や顎矯正治療による不安定な咬合、顎関節症、悪習癖、外傷の既往などがあげられています。また、関節組織でのTGF‐βの減少などによる特発的な要因も関係している可能性が指摘されています。






外科的(顎)矯正治療後のPCRの定義

顎変形症に対する顎矯正手術の術後に下顎頭の変形、短縮が発症し、overjetが増加し、overbiteが減少したもの(前歯が出っ歯になってきて、歯と歯が咬み合わなくなる)と定義しています。


これは顎矯正手術により下顎を前方へ移動する(下顎が小さい場合に行われる)ことによって関節部において下顎頭の後方が圧迫され、骨吸収が進行するものと考えられています。一方、後方移動(下顎が大きい場合に行われる)においても関節部の下顎頭と下顎窩の位置が正しく適切でなければ、下顎頭は圧迫を受けることとなり、その結果、PCRが発症する可能性があります。


予防の可能性と方法の紹介

顎矯正手術後のPCRの発症を予防するため、東京大学医学部附属病院顎口腔外科・歯科矯正歯科では術後に、下顎窩内の下顎頭の位置に異常が認められ、咬合が不安定な場合は、術後1~2週間目に早期に骨と骨を留めていたチタン製プレートを抜き取ったのち、口の中の矯正装置を利用したゴム牽引により、適正な咬合と顎位への誘導を行うことで関節部への過分なストレスを排除しPCRの発症を抑える試みを行っています。

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