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高校の屋外活動支援施設(計画のみ)

三条市のユニバーサル施設懇談会に有識者として1年参加させてもらった。
公共施設の設計において あまりにお粗末なのがトイレ。
バリアフリー新法(旧ハートビル法)さえ遵守しておけば良いといった、多目的トイレを一個作ればそれが免罪符のような施設ばかりで嫌になる。
多目的トイレを作るにしても、障碍者=車椅子程度の認識で、何で車椅子なのかをシュミレーションもしていないし、それ以外の利用については無頓着。
また、実際のところどれくらいの人があれだけの広さを必要とするのかもあやふやである。
もし、多くの人が必要なのだとしたら、多目的トイレ一個では済まない筈だ。
実のところ、多目的トイレまでいかなくて、普通のトイレブースの規格を少しだけ上げるだけで使いやすくなる人は格段に増えるのである。
私の息子はまだ保育園児であるが、そうした幼児がトイレを使う際、大人のようにズボンを下げて便座に座る事は出来ない。
結局ズボンやパンツを一旦脱がせなければならないが、靴を脱がせるには忍びない床。
フィッティングボード一枚あればどんなに便利かと感じたことのある父母は多いのではないだろうか?
男女平等についても便器の数で平等を語るのはナンセンス。
だれもが女性用のトイレでの長蛇の列を目にしたことがあるだろう。
 
毎回会議で発言しても、次の施設懇談会ではまったくそれが反映される事も無く、行政的には市民、有識者にも意見を頂きましたという実績作りだったのか。
ならば自分で作るしかないと思っていたところに、今回の依頼が舞い込んだ。
民間から公共への寄付ということで、かなり自由度が高い。
 
在校生にアンケートを取ったところ、一番要望の多かったのが屋外トイレ。
下校時間を過ぎると管理上校舎には入ることが出来ず、部活の学生がトイレを使えないのだそうだ。
二番目に要望があったのが、水道。
汚れた靴や服、身体を洗う場所が無い。
三番目は下校時の照明。
グランドから中庭を抜け、外部へ出るのだか、その間にまったく灯りがない。
 
グランド側   
中庭側
以上の要望をまとめ、提案したのがこれである。
グランドから中庭に抜けるエントランスホールを中心に左右にトイレを配置する。
一般トイレの男女比率を1:2とし、女子トイレを大きくした。
またトイレブースの規格を幅で30cmほど拡大し、ちょっとしたものを置く台やカバンや服をひっかけるハンガー、着替えが出来るフィッティングボードを取り入れた。
30cmの拡大は介助者がブース内に入ったり、歩行器での移動を可能にする寸法である。
学生たちはここで帰りの身づくろいが出来るだろう。
エントランスホールにはシャワーや水栓が備えられており、靴を洗ったり、夏場などは軽く汗を流す事も可能だ。
グランドから中庭に抜けるエントランスにはベンチも置かれ、学生達の憩いの場になることを期待する。
また雨の日は大きく出た庇が学生達の避難所を提供してくれるだろう。
トイレのキューブから浮き上がったように屋根は取り付けられ、日没後はその屋根裏面がライトアップされる。
この反射光は施設の周りを決して明るくは無いが、帰路を示すに十分なものとなる。
 
残念ながら計画は途中で頓挫したが、ここでの提案はいつか実現してみたい。