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チタン

【性質と製法】
チタンは地殻中で9番目に多く存在する元素ですが、酸素との結合エネルギーが非常に大きく、単体としては天然には存在しません。
人工的な冶金でも、チタンの純粋な形を得るのはそれほど簡単ではありません。
塩化物 TiCl4 とすると簡単に蒸留できるようになるので、蒸留精製し、これをマグネシウムなどの活性金属で還元して精錬します。

四塩化チタンをマグネシウムで還元し、副生する塩化マグネシウムを洗浄で除いたのがスポンジチタンです。
表面積が大きく、表面に酸化被膜が乗っているときはそこそこ安定なようですが、この表面の酸化物を酸洗浄などで取り除くと、摩擦によって空気中で発火燃焼したりと、かなり取扱いに難儀する形態です。

sponge_titanium

四塩化チタンを水素ガスで高温還元すると、結晶状の還元チタンを生じます。これはあまり用いられる方法ではなく、この標本も試作品ですが、立派な金属結晶が見られます。
チタンは800℃前後で相転移し、それより上の温度では立方晶を、下では六方晶になります。この方法では六方晶が生じるようです。
キラキラした、大変美しい結晶集合体です。
titanium_crystals_directreduction


粗チタンスポンジを電極とし、溶融塩中で電解精錬すると、電析チタンの結晶が得られます。これも六方晶で、六角板状結晶になります。
菱面体面が出て、少しわかりづらいのですが、ところどころ、六角板状の結晶が見え、確かに六方晶だというのがわかります。

titanium_crystals_electrolysis
titanium_crystals_BL
titanium_crystals3


titanium_crystals

titanium_crystals_2


次の写真はチタンクリスタルバーです。
ヨウ素+チタン→ヨウ化チタン→熱分解→ヨウ素+チタン のサイクルで行う精製法で作ります。
はじめて開発された純チタンの精製法で、これが最も純粋な金属チタンを得る方法なのですが、精製コストが高く、よほど純度が要求される用途でない限り、採用されることはあまりありません。
Ti
titanium_crystal_bar
d (110) の12面体です。下の結晶図の左側です。

magnetite
化学的に安定で、強度が高いわりに密度が小さいため、軽量化と強度のいずれも要求される場合に用いられる金属です。
ただ、精錬と加工がけっこう難しいため、コスト的にはお高めになってしまいます。


【資源】
天然には、チタン鉄鉱として多く産する他、酸化物としてしばしば見られます。
チタンの酸化物 TiO2 には3種の結晶構造があります。

ルチル(rutile, 金紅石)
rutile


アナテース(anatase, 鋭錐石、アナターゼ)
anatase2


ブルッカイト(brookite, 板チタン石)
Brookite


晶出時のチタン濃度、温度、圧力、pH などのわずかな条件によって、二酸化チタンはいろいろな結晶構造を取ります。
まったく同時に、二つの多形が成長しているとしか思えない状況もあり、けっこう謎に包まれています。

結晶形状は、ルチルは四角柱状で、低い頭があり、柱面のエッジは削げています。
アナテースは四角両錐。錐面先端はまったいらな端面で切られていることも多いです。
ブルッカイトは板状で、剃刀の刃のようにエッジが鋭く削げています。ホントに手が切れそう。

二酸化チタン、特に流チルは究極の白色顔料として多用されてきました。
白いウルシは、これがないとできません。
この10年ぐらい、光触媒としてよく名前が出てきます。
いずれの酸化物も、光で言うと紫外域長端に相当するぐらいのエネルギーのバンドギャップを持ちます。
合成で簡単なのはアナテース。加熱するとルチルに相の転移を起こします。
ルチルも作れます。高温相はルチルの方がはるかに安定域が広いので、単結晶ものですとルチルが多いです。
ブルッカイトは合成的には厄介なので、バンドギャップという点からは有利なんですが、あまり光触媒として利用されることはなさそう。
なお、合成では無色透明です。天然の色は不純物によるカラーセンターです。

顔料として二酸化チタンが多用されます。「チタンホワイト」といいますが、隠蔽率が高く、白顔料で最も強力なものです。化粧品に多く含まれています。
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