統計学的手法の話題 - 生物科学研究所

生物科学研究所は,長野県岡谷市の研究教育機関です。人間を含む生物およびその環境を広く研究教育対象としています。この統計学解説サイトでは,井口豊が,下記のリストに挙げたテーマで,統計学的な手法やその問題点を解説しています。Yahoo! 知恵ノート終了に伴い,そこに書いていた統計解説も,こちらに移転しました。なお,同じく知恵ノートに書いていた辰野町における外来種ホタル問題は,別サイトに移動しました。

統計データ解析の研究協力

井口研究室では,全国の大学生や大学院生,さらには高校生や社会人に対しても,教育や医療など,分野を問わず,様々な統計学上のデータ解析の支援を行なっています。 また,本研究所との共同研究も受け付けています。

最近,私が統計データ解析を指導した伊藤寛竜さん(東京大学教育学部附属中等教育学校)は,高校卒論で統計ソフト R を使い, 一般化線形混合モデル GLMM で分析することによって優れた研究成果を生み出しました。

近年,土浦協同病院の倉持龍彦さんが中心となり,統計解析における信頼性評価の定義を研究してきました。その成果として,統計ソフト R の利用も含めて解説した論文が次のもので,私も共著として協力しました。

倉持龍彦・對馬栄輝・下井俊典・井口豊・宮田賢宏・大塚紹・大友学・若狭伸尚・村野勇・米津太志・角田恒和 (2018)
統計解析を用いた信頼性の評価 1
医工学治療 30 (2): 73-77.

また,私が統計解析を指導した心理学関連の卒業研究に以下のものがあります。

乾 忠之(2018)
「火」が都市生活者の心身の状態に与える影響について
放送大学 教養学部「心理と教育コース」
平成29年度卒業論文

この研究では,多面的感情状態尺度に,「火」のリラックス効果を示唆する結果が示されました。詳しくは,次のウェブページを参照して下さい。

小泉緑(2018)
思春期の睡眠と大学生の自尊感情について
玉川大学教育学部 平成29年度卒業研究論文

この研究では,大学生の睡眠の質は,社会的スキルとは関連しないが,自尊感情とは有意に関連し,睡眠障害があると自己拒否感が強まることが判明しました。詳しくは,次のウェブページを参照して下さい。

また,医療機関の臨床データ解析に協力した例は,以下のものがあります。

小熊一豪ほか(2017)
Helicobacter pylori 除菌前後における消化器症状の検討
Progress of Digestive Endoscopy, 91(1): 52-56.

小熊さんらは,ピロリ菌の除去による胃症状の改善状態を調べました。そこで得られたデータを統計学的に分析した研究です。その結果,対象となった胃痛,胃もたれ,胸やけ,膨満感,食欲不振,げっぷ,胃酸逆流,吐き気の全てにおいて,有意に症状が改善していました。詳しくは,次のブログを参照して下さい。

最近行なわれた共同研究の成果は,以下のものです。

尾之上高哉・井口豊・丸野俊一(2017)
目標設定と成績のグラフ化が計算スキルの流暢性の形成に及ぼす効果
教育心理学研究 65(1): 132-144.

これは,小学校の算数教育の現場において,ゴールセッティング効果を調査実証した研究成果であり,得られたデータは,共分散分析と線形混合モデルで統計解析されました。

私がデータ解析を指導した教育学分野の研究には,以下のものがあります。

多賀三江子(2017)
初級日本語クラスでの「個人化作文」における自己開示の深さの分析
-「支持的風土」の醸成を知るために-
早稲田日本語教育実践研究 5: 21-37.

早稲田大学日本語教育研究センターの外国人学生を対象として,自己開示4レベルの出現率を,多賀三江子が調査研究しました。その結果,レベル3の相対的多さが,親しい友人と過ごしているような「支持的風土」の指標となりうることを示唆しています(参照ブログ:興味深い早稲田大学・多賀三江子の自己開示の深さの研究)。

最近の学位研究において,私が統計解析を指導した興味深い例は,東京外国語大学で博士号を授与された松崎武志のものです。

Research into the Role of Dialog Recitation in the Foreign Language Classroom: Its Effectiveness in Facilitating Memorization and Formulaic Speech Production
会話ダイアログ暗唱に従事させる外国語指導法が. スピーキング時の定型表現の使用と暗記学習に. 及ぼす影響に関する基礎研究

英語習得において役立つと想定される定型表現の暗唱タスクを大学生に与え,その結果をテストとアンケートで総合的に分析した研究です。特に,ノンパラメトリック検定が利用され,優れた結果を残しました。

さらに,尾之上高哉らの教育データの統計解析に協力し,中学生が劇を通じて成長する様子を明らかにすることができました。

尾之上高哉・林原有佳・宇野宏幸(2015)
文化祭の劇づくりの中での生徒の学びの検討-目標に対する達成度評価を手がかりにして

また,医療分野で,私が関わった興味深い研究は,看護師である河瀬里美が,東京医療保健大学大学院において行なった修士研究です。手指を洗浄・消毒後に検出される芽胞形成菌数が,日常生活の納豆摂食頻度に関連することが示されました(参照ブログ:医療従事者の手指の芽胞形成菌,興味深い結果の修士研究)。今後,これに関して,さらに詳細な研究成果が期待されます。

これら以前にも,私が関わった興味深い研究がいくつかあります。

協働的学びの場としてのワークショップにおける対話支援に関する研究
水上聡子
(福井大学大学院工学研究科システム設計工学専攻・学位論文[博士(工学)])

このデータ解析を指導したのは私(井口豊)でした。

松延祥平(現在,筑波大院生)のホヤの尾の吸収に関する研究においても,私が統計解析に協力し,特にセグメント回帰について助言を与えました。

Matsunobu S. and Sasakura Y.
Time course for tail regression during metamorphosis of the ascidian Ciona intestinalis
Developmental biology, 405(1), 71-81.

卒業論文・修士論文・博士論文作成におけるデータ解析に対して,助言や協力を基本的に無償で行なっており,それは生物に限らず,分野を問いません。現在も,医療,心理,教育などの分野から依頼されたデータ解析が進行中です。

ご質問,ご希望のある方は,生物科学研究所(長野県岡谷市)へご連絡下さい。

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