ヴァイオリニスト田村安紗美氏に訊く
 

田村 安紗美(Asami Tamura)
京都市立堀川高等学校音楽科(現・市立音楽高校)、東京藝術大学音楽学部卒業。
全日本学生音楽コンクール大阪大会・高校の部第2位、京都芸術祭「奨励賞」受賞。在学中に新日本フィルハーモニー交響楽団に入団、第2ヴァイオリン・フォアシュピーラーとして2006年まで在籍。
同交響楽団のメンバーによる「すみだ弦楽四重奏団」を結成、自主公演、地方公演の他、病院・学校へ訪問演奏するなど、アウトリーチ活動にも盛んに取り組む。
2005年9月より文化庁新進芸術家海外留学制度の研修員として、ドイツ・フライブルク音楽大学にて研鑽を積む。フライブルガー・バロックオーケストラに客演。
作曲家と一体化した小編成オーケストラ「Ensemble Roca」、クラリネットとピアノとの三重奏「Trio Rintonare」メンバー。
これまでに渡辺美穂、辻井淳、田渕洋子、浦川宜也、Gottfried von der Goltzの各氏に師事。

DuoSAKURA Official HomePage http://music.geocities.jp/duosakura/

 

 

インタビュー:2008年4月初旬

聞き手:稲岡千架

 

 

稲岡
6月28日のEnsemble Roca Vol.3 公演のソリストの一人であるヴァイオリニストの田村安紗美さんにいくつか質問させて頂きたいと思います。
よろしくお願いします。
今回のソリストとして意気込みは如何ですか?

田村
まず、今回このような機会を与えて頂き、とても感謝しております。ありがとうございます。鷹羽さんがこのコンサートの為に書いて下さるので、どういう作品になるのか、どんなコンサートになるのか、今から楽しみにしております。

稲岡
ヴァイオリンを始めたきっかけはどういったことか覚えていますか?

田村
両親がヴァイオリンを習わせたかったようで、4歳のときに初めて楽器を触ったのですが、残念ながらその頃のことは全く覚えていません。幸運にも、ヴァイオリンの先生が幼稚園のお隣に住んでいらっしゃいました。

稲岡
ヴァイオリンの楽器の特性、魅力とはズバリなんでしょうか?

田村
一般的にはメロディー楽器の部類とされ、コーラスでいうとソプラノを受け持ちます。大人になってから知りましたが、弦楽器の本体は女性の体を表しているそうです。
繊細で可憐な楽器だと思って接していますが、それだけではなく、朗々と、時には力強く歌いあげることもできる、色んな表情を持っている楽器ではないでしょうか。

稲岡
ドイツ留学で印象に残っていることはどのようなことですか?少し、エピソードなど話してもらえますか?

田村
私が留学していた南西ドイツのフライブルクという街は、とっても小さくて可愛い街でした。気候も人も温かく、穏やかな毎日を過ごしていました。
私は歌が大好きで、近所の割と大きなコーラスに所属して、教会のミサや老人ホームで歌ったり、オーケストラ付きの大きな演奏会では、オーケストラの方で参加させて頂いてました。
大好きな歌が歌えるだけでなく、団員さんからドイツ語を教わったりもして、毎週とても良い時間を過ごさせて頂いてました。
ミサの時に感じていたことですが、こちらの方は毎週日曜には家族で教会の礼拝に参加し、讃美歌を歌い、生活の中に自然に音楽が溶け込んでいるんです。その讃美歌で、言葉とメロディの結びつきが当然身に付くわけです。ヴァイオリンのレッスンで、先生がよくフレーズに讃美歌の歌詞を付けて歌って下さいました。生活と宗教と音楽との結びつきの深さも感じ、「あ~なるほど、これは日本人の私達にはどうにも敵わない」と、よく思いました。

稲岡
現代音楽に関してどのような考えをお持ちですか?

田村
以前から、現代作品の演奏の機会は多くありました。芥川賞の選考会では、毎年新進作曲家のオーケストラ作品を演奏しておりまして、ロカの植田さんや壺井さんの作品も、その選考会の時に弾かせて頂きました。
まだ若かった頃は、譜面を読むだけで精一杯で、その作品の面白さやメッセージを理解するところまでは、恥ずかしながらなかなかできませんでした。
最近、もし自分が作曲できるのなら、まずどうするだろう?と思います。イメージ、色合い、調性など、、、。そう考え始められたころから、作品への取り掛かり方が変わった気がします。 
先日ある作曲家二人の、興味深い会話を聞かせて頂いてたのですが、「作曲しはじめるとき、最初の音はどう決めますか?先に決めますか、それとも後で決めますか?」と。どういう過程で作品を創り進めていらっしゃるのか、間近で聞けた良い機会でした。
Mozart やBeethoven に、「これは、どういうイメージをもって書いたのですか?」とは質問できませんが、特にロカの演奏会の為に書いて下さった作曲者には、直接質問ができるのですから、分からないことはちゃんと質問をしていきたいと思います。
どんどん素晴らしい作曲家が世に輩出されてきていますが、その方々の分身である貴重な作品を、誠意を持って音にしていくのは、演奏家としての使命でもあり、楽しみでもあります。
なんて、偉そうなことを言えた分際ではありませんが。。

稲岡
いえいえ、とんでもないですよ。田村さんのその意志は演奏家として私も同感ですね。我々の活動の一つなのではないかと思います。
では、最後に。6月28日に初演される鷹羽さんの作品について伺います。

田村
題名が「海凪ぐ」だと伺った時、何だか頭の中で、一瞬にして作品のイメージが浮かびました。穏やかな海、その色、波、音、、、。
私は海が大好きなので、まずその題名に感激しました。
後日、鷹羽さんに作品についてのお話を少し伺ったのですが、繊細でハーモニーが美しい鷹羽さんの作風が、私の描いたイメージと、ピッタリ合っているのではないかな、と思っています。コンサートでは、オーケストラメンバーの皆さん、指揮の高橋さんの助けをお借りして、安心して臨めると思います。