ドラム マイク1本録り

だんだんと、バンドの演奏音源を録音するのに、より高音質を求める気持ちが強くなってきました。ハンディレコーダーは便利ではあるんですが、練習の確認用ぐらいなら良いのですが、なんとか人に聴かせるぐらいの音源を作ろうと思うと、性能不足が否めません。

 うちのバンドはVo&Key、Bass、Drumsの3人編成なので、ボーカル、キーボード、ベースをラインで録音し(正確にはボーカルもマイクですが)、ドラムだけをマイクで拾えば、全部をいっしょくたに録音してしまうハンディレコーダー1点録りよりは高音質になりそうです。
 実際、Vo&Keyをラインで、ベースとドラムをスタジオ天吊りマイクで撮って、ミキサーで合わせてラインアウトして一発撮りしてみたときは、明らかに、Vo&Keyだけはクリアに撮れていました。

 ドラムだけは、どうしてもマイクで音を拾わなければなりませんが、趣味でバンドをやっているレベルの我々だと、本格的なマイキングは正直難しい。予算的にも厳しいし、セッティング時間もかかりすぎる、お手軽にそこそこのクオリティを目指したいわけです。

 そこで、出来る限り少ないマイクで、ドラムセットの音を録音する方法を調べると・・・いるんですねぇ~、やってる人が!

マイク1本で、ドラムセット全部を一気に録音しています。



 しゃべっている英語を聞けばわかりますが、ラージダイヤフラムのコンデンサーマイク(指向性はカーディオイド型)を使用するのがベターとのこと。

 そして、マイクを、バスドラの右上、ライドの下、フロアタムの左前ぐらいのあたりに配置し、スネアを狙う。

 こうすると、近接効果でスネアやバスドラ、タムタム類はファット感が増し、シンバル類は距離が離れるので、もともと高音が入りやすいマイクの特性から、一番良いバランスになるという考えのようです。
 ドラムセットの内側ですが、ここに、各パーツの音が集結する「スポット」があるみたいで。

 また、複数のマイクを使うことによるマイナス面として、位相の問題があります(と、海外のサイトに書いてありました)。複数のマイクを使えば、位相差で各マイクから入った音が打ち消し合ってしまう事態が発生しやすくなります。マイクには位相を逆転させる機能とかも付いているんですが、位相による打ち消し合いは、完全な逆だけでなく、中途半端に打ち消している場合もあり、逆転させて解決しない場合も多いそうです。結局、意外とドラムの音の迫力が消えてしまうということらしいです。マイクが1本なら、位相の問題は発生しません

 コメント欄を見ると、かなり安いコンデンサーマイクでもそれなりに上手くいくらしく、ベリンガーのB-1とか、オーディオテクニカのAT2020とかで、成功例があるみたいです。

 こちらのやり方は、Tchad Blakeというエンジニアが編み出した技だそうです。私はサウンド・エンジニアの名前には詳しくないのですが、スザンヌ・ヴェガとか、エルヴィス・コステロとか、ポール・マッカートニーとか、大物アーティストのレコーディングに携わった人のようです。シェリル・クロウやブラック・キーズとの録音で、グラミー賞のベスト・エンジニアリング部門を受賞しているらしいです。


 日本人のサイトだと、1本録りの場合は、オーバーヘッドから狙うやり方しか出てこないのですが、海外で探すと、セットの内側に配置するというこのテクニックがかなり話題になってます。ただ、ロータムが使えなくなってしまうような感じではあります。

 普通、コンデンサーマイクはオーバートップで使うもので、そこからバスドラやスネアなどに配置する近接マイクを省略する、という発想の延長で行くと、ドラムセットの外から狙う考えになるでしょうが、海外では、省略して我慢するんじゃなくて、発想を一気に変えて、ドラムセットの内部にマイクを配置するという荒業に出るといのが面白いですね。優等生的な日本人の発想と、「そばを食いに行ったら店が閉まっていて、しかたがないのでうどんを食うのはなんか癪だから、いっそのことカレーを食う」(たしか、三谷幸喜がそんな例えを使っていた)という海外の発想の違いか?

 まあ、ビートルズの初期もマイク1本だったらしく、そちらはドラマーの前から胸元にむかって1本オーバーヘッドで立てています。それはそれでいいとは思います。

 私の場合は、3点セットで、ロータムはないので、内部に立てる方法でも問題ないです。小口径キットなので、隙間がないですが、なんとか差し込めるかな?

 1万円ぐらいのコンデンサーマイクで十分いけるようです。逆に、高いコンデンサーマイク1本使うぐらいなら、安いダイナミックマイクを複数立てた方がいいかもしれませんし、このテクニックは安いマイクでやるべきでしょう。

 というわけで、私もAT2020を入手することにしました。コンデンサーマイク、通販で買ってもいいんですが、レコーディング機器は初心者ですし、コンデンサーマイクは品質不具合があると心配なので、付き合いもあって、近くの島村楽器さんで買いました。島村楽器さんはオーディオテクニカを推しているのか、値段もネットとくらべても最安値ぐらいでした。
 コンデンサマイクには、本格的なDCバイアス式と、簡易版のバックエレクトレット式があります。AT2020はバックエレクトレットですが、十分な音質で録音ができます。振動や衝撃、湿気にも強く、雑に使っても壊れにくいのもありがたいところ。

 ケーブルも島村楽器さんの自社ブランド、E.D.GEARとかいうところの、3mで1600円のケーブルを購入。スタジオではケーブルぐらいあるだろうから、家で実験するにはこれぐらいでいいかと。しかも、保証期間がめちゃ長い。XLRバランス転送なのもあるのかもしれませんが、ノイズは感じません。

 マイクにはファンタム電源を送らないといけないので、バンドのメンバーが持っていたデジタルMTRを借りました。こいつに、ファンタム電源が出せる端子が2個ついてる。

 マイクスタンドも、うちのギター(転勤のため幽霊部員)の結婚式で演奏した時、幹事をされていたナイスガイが、用意していたマイクスタンドを譲ってくれたので、それを活用。

 うむ! 道具は一応揃ったじゃないか!

 さて、その実験結果は?


 うおお?!

驚くほど良いバランスで録音できている!

 私のドラムセットは、ご存知(?)ソナーのマティーニ、小口径キットです。基本的にバスドラムにはパワーはないはずなんですが、AT2020のコンデンサーマイクで音を拾うと、「ドムン」って、ちゃんとシェルの鳴りまで含めたバスドラムの音が入ってきました。

 タムタム類も、胴の鳴りがしっかり入ってきます。シンバルはうるさくなく、スネアはシェルから出る倍音もくっきり。

 しかも、これ、自宅での実験なので、スティック振り幅2cm、ビーター振り幅3cmでの結果です。

 ただ、AT2020でもかなり音質が良いので、演奏の粗が全部録音される。タッチの微妙な乱れとかバレバレになっちゃいますw

 音量バランスも、後から修正はできないので、演奏はやっぱり一発勝負。録音のためのマイクセッティングは楽だけど、ドラマーには力量が要求される感じです。あれ、俺って力量あったっけ?


 まあ、それはさておき、こんなに簡単に、ここまでの録音ができていいのか、という感じです。

ドラム録音は、マイク1本でもOKということがわかりました。


 その後、AT2020をオーバーヘッドに、ダイナミックマイク1本をキックのフロントに配置して、ミキサーで混ぜてみたりとか、他のマイキング方法も試してみたのですが、個人的には、このチャド・ブレイク・メソッドが、最も単純で、かつ各パーツの音量バランスが良いように感じました。

 休日の朝に暇を見つけて、テスト録音してみました。自宅なので、バスドラは消音され、スティックは菜箸です。手加減して音量バランスを見ているので、ドラムは色々ミスしていますが、そこは気にしないでください・・・

YouTube 動画



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