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Isoko Durbinの著書

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アメリカ人夫の一言

カンザスシティーの週末

「日曜日に、野球の試合を見に行かないか?対戦相手は、ヤンキースだよ。」

金曜日の夜遅く、仕事から帰った夫が言った。前々から、野球の試合を見に行こうと約束していた私たちだったが、ヤンキース戦が最初のゲームになるとは幸運だった。ヤンキースと言えば、もちろん松井秀樹選手である。日本でもお目にかかったことがないのに、ニューヨークでなく地元のカンザスシティーで日本のスーパースターに出会えるとは、夢にも思っていなかった。しかし、よく考えて見れば、野球選手たちは試合をするために、アメリカ全土を常に旅しているのである。ヤンキース戦を見るために、ニューヨークに行く必要はないわけだ。それに、ニューヨークのヤンキース本拠地に比べれば、破格値でチケットも買えるはずで、これを見逃すわけにはいかない。こういうわけで、その週の日曜日はロイヤルズの球場に行くことになった。

 球場に行くまでの道路は予想以上に込んでいて、到着する前からファンの熱気が伝わって来た。しかし、時間に余裕を持って出発しなかったため、中に入る前に国歌斉唱が始まっていた。せっかくの機会を見逃し残念ではあったが、アメリカ国家が斉唱がされている間、外にいる人たちも胸に手を当て、沈黙を守り球場を見上げている姿を見ることになり、国家に対するアメリカ国民の誇りが、日本人のものとはかなり違うことを改めて感じた。国歌斉唱や駐車場でのバーベキューなど、野球の試合前にもいろいろな楽しみがあるので、国民的スポーツである野球観戦を100パーセント満喫するには、やはり時間を持って出発した方が良さそうだ。

 球場に着いて最初に気付くことは、そこかしこでおいしそうな匂いが充満していて、たくさんの食べ物が売られていることだ。代表的なのがホットドッグで、いろいろな種類がある。一番シンプルな物は、パンの間に挟まったソーセージに、ケチャップとマスタードをかけた物であるが、「チリドッグ」となると、ケチャップとマスタードの代わりにチリビーンズとチーズがのっている。テーブルがない球場で食べるには、食べにくい分かなりの覚悟が必要で、席に着く前にナプキンをしっかり手に入れることをお勧めする。この他にも、「イタリアンソーセージ」「ビーフソーセージ」なども代表的だ。私が行ったスタンドでは、牛肉、赤ピーマン、玉ねぎなどを、大柄の男性が汗だくになって炒めていたが、それもホットドッグ用のパンの上にのせられる。ビールを片手に、これらのホットドッグを食べるのが、アメリカ流の正しい野球観戦ではないかと思う。

 球場前にいたダフ屋から買ったチケットは意外にもいい席で、3塁側の前から3列目だった。本来1枚24ドルなのに、20ドルの割引価格で手に入れることができ、善良なダフ屋がいるものだと関心した。

 アメリカの球場には観客席の前にネットがなく、ファールになったボールがバンバン飛んでくる。観客もこのことをしっかり承知で、グローブを持ってボールが飛んでくるのを待ち構えている人たちを、たくさん見た。このファールボール、見方チームのボールか、相手チームのボールかは関係がない。ボールが観客席に飛んでくる度に、我先にとボールに飛び込む人々を見ることになる。そういえば、ジャイアンツのボンドのホームラン記録ボールをキャッチした男性が、メッツのユニホームを着ていたのは、記憶に新しい。

 選手を応援するのに音楽を使うのは、どこの国でも同じかと思うが、アメリカにも独特のかけ声がある。「タラララッタラー」とラッパのような音楽が流れると、一斉に「チャージ」と声があがる。夫の説明によると、南北戦争時代、ラッパの音と共に指揮官が「チャージ」と言えば、敵に向かって突進しなければならず、そこからこのかけ声が生まれたらしい。つまり、この「チャージ」は、「攻撃!」という意味である。バッターがバットを構えた時に、よくこの音楽が流れるので、アメリカの球場で野球観戦をする際には、ぜひ周りの観客と一緒に声を張り上げてほしい。残念ながら、松井選手はこの日、ヒット1本とあまり調子が良くないようだったが、ヤンキースは6対3で勝利したので、私としては満足がいく試合だった。しかし、ここはロイヤルズのホーム球場である。周りの観客がほとんどロイヤルズファンだったため、ヤンキースを応援することは、少々肩身の狭い思いをしなければならず、私の夫は、「彼女は日本人の松井選手のファンなんだ」と、周りの観客にほとんど謝るように説明していた。しかし、ブーイングも野球観戦の楽しみの一部だ。堂々と日本人選手を応援しても良いと思う。大切なことは、思いっきり楽しむこと、それができれば、アメリカ野球観戦の上級者ではないかと思う。