・マルティン・カルリーチェク ピアノリサイタル 「祈り:超絶技巧を超えて」

Youtubeで演奏を聴くことができます。

リスト作曲「詩的で宗教的な調べ」全曲演奏会

フランツ. リスト 「詩的で宗教的な調べ」 Harmonies poétiques et religieuses  S.173
  1 祈り  /  "Invocation" 
  2 アヴェ・マリア  /  "Ave Maria"   
  3 孤独のなかの神の祝福  /  "Bénédiction de Dieu dans la solitude" 
  4 死者の追憶  /  "Pensée des morts" 
  5 パーテル・ノステル  /  "Pater noster" 
  6 眠りから覚めた御子への賛歌  /  "Hymne de l'enfant à son réveil" 
  7 葬送、1849年10月  /  "Funérailles, Oct. 1849" 
  8 パレストリーナによるミゼレーレ  /  "Miserere, d'après Palestrina" 
  9 アンダンテ・ラクリモーソ  /  "Andante lagrimoso" 
10 愛の賛歌  /  "Cantique d'amour" 

 この作品について  マルティン・カルリーチェク
 神の存在、人智を超えた霊性、そしてそういったものに間違えなくたどり着く道筋とは。フランツ・リストの心はそのような思いで常に満ち満ちていた。今日演奏する「詩的で宗教的な調べ」。この荘厳な作品はその思いを音楽にしたものである。リストはこの作品に満足がいくまで取り組み、出版までに20年を費やした。第四番「死者の追憶」は1833年に取り掛かり始めたが、その時リストはなんと22歳。当初この作品を「詩的で宗教的な調べ」という題で発表している。「死者の追憶」はラマルティーヌ(フランスの詩人:1790~1869年)の詩集「詩的で宗教的な調べ」(1830年)をリストは土台にしているが、それはリストがラマルティーヌの詩の中に、自分の願いと同じようなものを見つけたからである。それは自分を取り囲む謎への深い探求と、自分の中から湧き出る欲望であり、探求と欲望の思いは明らかにカトリシズムの中で膨らんでいったものである。
 1834年にリストが「ロマンティックな宗教音楽」について語っているのは、単なる偶然ではない。リスト曰く「もっと正確に言うのであれば、我々はその新しい音楽を<人間中心主義>と呼んでも良いのだ。その音楽は信仰心と力に満ち溢れ、その大胆さゆえに驚くべきスケールで劇場と教会を瞬時に一体化させてしまう。ドラマティックであるが神聖であり、華麗であるが飾らず、儀式的であるが厳粛であり、荒々しいが柔軟であり、疾風が荒れ狂うが同時に平安に満ち、透明でありながら情念に満ちている」と。リストはこのような強い思いを持ち続け、のちにカトリックの下級聖職位を得てローマで時を過ごしている。リストは教会音楽に活力を呼び戻すことを夢見ていた。そうすれば、教会が<有限と無限という二つの世界>が出会う場所になるからである。リスト自身は己をベートーヴェンの後継者と考えていて、人間らしさ、その歩み、使命、芸術の力について壮大な思想を抱いていた。 
 このようにリストは何ごとであろうと高みに達することために戦い続けた。人前で演奏するときにはリストは途方もない超人的な魔術師となり、、まるでパガニーニのように、、一人、神に祈りを捧げるときにはこれ以上祈ることが出来ないくらい祈った。

マルティン・カルリーチェク Martin Karlíček (ピアノ)

カルリーチェクの演奏は「感動的、豊かな音色と繊細さを併せ持ち、様式的にも考え抜かれ た、色彩豊かで精確、生き生きしていて、そして常に創造的である。」などと表現された。 チェコ、ドイツ、カナダ、アメリカ、日本をはじめ各地で演奏会、レクチャーを定期的に行 っている。

故郷・チェコの音楽の促進に力を入れているほか、定番の曲から現代曲までピアノソロ、 室内楽ともに幅広いレパートリーを持っている。その彼の近年の活動の一つが、才能に恵ま れながらも若くしてこの世を去ったチェコ・カナダ人作曲家、A.Y.スヴォボダ(1977-2004) による全ピアノ曲とチェロとピアノのための曲のレコーディングである。また、ナミ・レコ ードより「ヤナーチェク・リサイタル」、「チェコと日本の名曲から」をリリース、2016 年夏にはリストの「詩的で宗教的な調べ」(全曲)をレコーディング予定。F.F.バリル作曲の ピアノ協奏曲「Déviations」、D.ブリアンの「Tekeni-Ahsen」の世界初演、M.マタロン作曲 「Las siete Vidas de un Gato」の北米初演を果たすなど現代音楽の演奏にも定評がある。 また、2008 年にはヴァイオリニスト、白石茉奈とともにデュオ・ヴェンタパーネを結成し、 各地にて演奏活動を行っている。

カルリーチェクはスメタナ国際ピアノコンクール、南ボヘミア国際ピアノコンクール、プラ ハ・ウィーン・ブダペスト夏期国際アカデミーコンクールにて第 1 位を獲得。また、数々の 国際コンクールにてピアノ・ソロ作品、現代曲及び室内楽曲の演奏によりリスト賞、スメタ ナ賞、バルトーク賞、ヤナーチェク賞及びマルティヌー賞を受賞。

カルリーチェクはチェコ、プラハ音楽アカデミーにて修士課程を修了。その後オランダ、ユ トレヒト音楽院を経て、カナダ、マギル大学にて修士課程、博士課程を修了。現在、演奏活 動のかたわらマギル大学にてピアノ講師として後進の指導にもあたっている。

オフィシャルサイト:http://martinkarlicek.com/