ジャワ曼荼羅《ジャワ芸能の魅力》

当日の演奏をYoutubeにアップロード準備中です。お楽しみにお待ちください。
14時30分開場、15時開演
《ジャワ芸能の魅力》大衆芸能の影絵劇、ジャワ歌謡曲、古典曲、ジャワ舞踊の4つの魅力をユニークな集団「ジャワ曼荼羅」がお伝えします。
特設<ジャワ曼荼羅>ブログ→

個の自律性が集合の中で統合される世界:私たち日本人が捨てた文法
 今回の公演「ジャワ曼陀羅」は演奏、影絵芝居、舞踊はインドネシアのジャワ地方に伝わる伝統的な芸能世界を、村での王宮でもない都市の人工的な舞台で再現しようという試みである。実は、芝居、舞踊というのは音楽とは切り離しがたいものとして、古代ギリシャ、おそらくはそれ以前、人類の誕生と同時にムーシケ(ミュージックの語源)なる器の中で三者は調和のとれた世界を保ってきた。時代によっては芝居は詩の朗読であることもあり、もっと大仕掛けのドラマでもあった。舞踊は集合的悲哀・歓喜を表現するものであったり、より洗練された舞踊へとも変容もした。原初的なムーシケは私たち人類の祖先がアフリカからこの地球に拡散し、アジア、ヨーロッパ、アフリカなどの地域にヒトとともに定着して、ムーシケはその土地のロカリティーの中で自らを成長させていった。そう、数百万年もの時を経て。
 ヨーロッパの音楽は、ヨーロッパ誕生の科学の所作と同じく物事を分割することで発展していった。舞踊と密接であったり、詩の朗読ともに演奏されるものであった音楽は、少しずつ、舞踊や言葉の世界から離れ、ムーシケとは異った様相の独立した演奏文化を築き上げた。もちろん、そこには分割に抗う芸術運動、作品も生まれたが、私たちの知る約二百年の西洋音楽は概ねそのようなものである。
 「ジャワ曼陀羅」はヒンズー文化を色濃く残すジャワ地方の芸能を日本で「再現」しようと四股(力士のシコです)を踏んでいる集団である。四股は簡単ではない。私たちに日本人は非常に多様な文化様式の中に生きている。多様さは寛容さ、曖昧さともつながる。寺の中に鳥居がある。漢字、ひらかな、カタカナ、アルファベットをという四つの文字を同時に、日常性の中で自然に使って、それによって自分の思考を形にしたり、他者とのコミュニケーションを成り立たせている。一方で、シコの難しさもある。集団性を個がどう付き合うかうのかという難問もある。加速的に膿を出している問いである。「ジャワ曼陀羅」はこの難問にチャレンジしている。それも現地で演奏することで、である。頻繁にジャワ地方を訪れる「ジャワ曼陀羅」は、そこで王宮で、村人の集まりで、演奏することにより、私たち日本人が捨て去った文法を身体感覚として受け止め、日本に帰ってくる。その繰り返しの中で、少しずつ彼らは文法を知る。
 「ジャワ曼陀羅」は限りなくムーシケの世界に帰ろうとしている。舞踊、芝居、音楽が一体となった世界へ戻ろうとしている。演奏、舞踊、演劇は、個の即興性が重んじられる。もちろんそこには伝統の規制はあるが、ゴールは規制することではない、個をいかに集団の中で解き放つかである。彼ら「ジャワ曼陀羅」は様式的にはジャワ伝統というものを選んだが、歓喜を得ているのは、ジャワ伝統の中で解き放たれる「個」である。自由になった「個」は自在に他者とコミュニケートする。その時に彼らを束ねている概念が「曼陀羅」である。これは恣意的に指定することができないものであるが、演奏、舞踊、影絵のパフォーマンスに於いて恣意性は求められなくなる。なぜなら、この自律性という枠組みを維持しながら、それを束ねる「文法」の背景にはヒンズー文化があり、ガムラン音楽、舞踊、影絵芝居という手法を手綱にして、そのコア概念の部分に乗り込んで行く手段を知りえた「ジャワ曼陀羅」たちは、言葉を超えてその道を知っているのだ。




出演者(写真上より順に)
Tidak apa apa
ガムランをこよなく愛す女三人 西田有里、松田仁美 、近藤チャコ で2014年に結成された小編成ガムラングループ。ジャワ影絵人形使いアナント・ウィチャクソノ氏と共に影絵芝居ワヤンの上演も行う。

Ananto Wicaksono
アナント・ウィチャクソノ 
インドネシア、ジョグジャカルタ生まれ。幼少よりダラン(影絵人形遣い)として数多くの舞台に立つ。伝統的な影絵芝居の上演のほか、他ジャンルとのコラボレーションによる新作や、影絵人形を用いたアニメーション作品の制作も行う。インドネシア国内の他、2008年よりオランダ、フランス、ドイツ、イギリス、台湾など海外での公演も多数。2011年より日本での活動を開始。

岡戸香里
ジャワに長期滞在し、スラカルタ、マンクヌガラン王宮、ジョグジャカルタ様式ジャワ舞踊とジャワガムランを学び、2016年3月帰国。ジャワ舞踊、ジャワガムランに関連する研究も行っている。

ダルマ・ブダヤ
1979年に、植野アジア芸術文化振興財団との共同事業として、大阪大学文学部音楽学研究室を拠点に結成された。一貫して中部ジャワスタイルの古典音楽を学びつづける一方、ガムランのための新しい作品の演奏を手がけ、現代のガムランの展開に大きく貢献してきた。国際的な舞台にも参加、1996年にはインドネシア4都市での演奏旅行を成功させた。近年は、伝統の体現を目指し、古典音楽の演奏に一層の磨きをかけ、毎年、春と秋には大阪大学で古典音楽を中心にした定期コンサートを行っている。同時に、オリジナルの創作にも積極的に取り組んでおり、1999年からは3年にわたり劇団態変との公演でコラボレーションを行い、2000年にはジャワのガムランによる、日本初のオリジナル ガムランのCD「壺から溢れでるもの」をリリース。2004年には舞踏家、ジャワ舞踊家とのコラボレーションによる自主公演「スクエア」を成功させた。一般向けのワークショップや誰でも気軽に参加できる日曜ガムランも行っており、関西における開かれたジャワ・ガムランのグループとして幅広い活動を行っている。メンバーは20代〜50代の社会人と学生。代表は山崎晃男(樟蔭女子大学)。


プログラム
第一部はジャワ歌謡曲、古典曲、ジャワ舞踊を。第二部はの影絵劇ワヤンの演目は「ラーマーヤナ物語 ラーマ王子とシンタ姫」と題し、ラーマーヤナ物語のダイジェスト版のような構成でお届けする予定です。影絵劇は聴衆の皆さんに影絵芝居現場の「裏と表」をご覧いただけるように工夫中です。

また公演後に聴衆の皆さんにガムランの楽器に触れて音を出すコーナーを設けます。ぜひ触ってみてください。