CEDACH GIS

被災文化遺産の復興を支援する地理情報システム

CEDACH(被災文化遺産支援コンソーシアム)では,被災した歴史資料・文化遺産の保全に必要な処置・機材の提供や,利用可能な手段の明示,危機の状況に応じた意思決定支援を目的として,被災文化遺産支援情報システム(CEDACH Information System)の構築を進めています。
 被災した歴史資料・文化遺産はすべて,地球上のある場所に存在します。そのため,GIS(地理情報システム Geographic Information Systemsまたは地理情報科学 Geographic Information Science)を基盤として、これらの情報を一元的に集約・管理する仕組みを作ります。これがCEDACH GISプロジェクトです。システム設計やプログラミングは知識や技術を有するメンバーを中心におこないますが,実際の運用には全国のボランティアの方々に参加していただき,地形図や被災状況図などの基礎データの整備と文化財地図や被災状況等の情報の蓄積をはかります。また,CEDACH GISは近い将来、現地調査で取得した写真や動画,GPS位置情報,文書記録類を集約するCEDACH Data Acqusition System(仮称)とも連動するようにします。これらの統合的な情報システムの活用によって,被災地の文化財担当者や文化財所有者の方々の被災状況調査にかかる負担を少しでも減らすための技術的支援をおこなっていきます。

・もっとくわしく

 CEDACH GISは,被災文化遺産をとりまく環境を把握するための情報と,被災した文化遺産を把握するための情報を空間情報を用いて1つにまとめます(図1)。このように,被災文化遺産に関する様々な情報を一元的に管理・活用することによって,被災文化遺産救援活動への支援を図り,また歴史資料・文化遺産を対象とした被災と復興との事例を蓄積し,防災遺産として未来へ継承することを目的とします。


図1 CEDACH GISの枠組み

 CEDACH GISでは,文化遺産情報を点(ポイント)データか,広がりをもつ面(ポリゴン)データで集約します。集約するデータが点か面であるかは被災文化遺産の性質に応じます。
 たとえば埋蔵文化財包蔵地などは,広がりをもつので面データとして整備したいところです。しかし,そのための技術的な専門知識と設備,遺跡を面データとしてCEDACH GISに登録するための資料源の手配などの点で,現時点ではいくつかの課題があります。
 いっぽう,遺跡を点データとしての登録は,比較的簡単にできます。遺跡の発掘調査報告書や文化財分布地図,Web上の遺跡地図などを参照しながら,国土地理院のウォッちず等を利用できるインターネット環境であれば誰でもできる作業なので,比較的早く作業に取り掛かることができます。

図2 被災文化遺産GISデータの種類
   
 
図3 点のデータと面のデータの違い(東京湾東岸弥生時代遺跡の例)


 そこで,独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所(以下,奈良文化財研究所)が作成している遺跡データベースのうち,被災地域の部分をお借りして,これを点データの基礎データベースとし,多くの人々が誰でも分担できるシステムを用いてこのデータベースの位置情報を確認することにより,CEDACH GISに集約する活動を進めます。


図4 CEDACH GISの試験実装(津波の到達範囲と遺跡分布)

 図4は,CEDACH GISで,宮城県牡鹿郡女川町における津波の到達範囲と遺跡分布を示したものです。このように,文化遺産の位置と,津波や建物の倒壊,地盤沈下による水害 のおよぶ範囲を重ね合わせて管理することで,被災した文化遺産に対する救援計画を立てることに寄与します。
 しかし,この図では,遺跡を点データで登録しているため,遺跡の範囲までは分かりません。今後の復興に伴う土地開発などに備えて,文化遺産を点ではなく広がりとして捉えられるよう,面データの整備も進める計画です。さらに,点データと面データを組み合わせて利用することにより,さらに活用度の高い情報基盤を構築します。これにより,被災文化遺産救援活動への支援を図ります。


・では今,具体的に何をするか

 現在は,奈良文化財研究所からお借りした,遺跡データベースの位置情報を確認し,CEDACH GISに登録する作業を進めるプロジェクトを進めています。この遺跡データベースには膨大な数の遺跡が登録されているため,多くの方の御協力がなければ迅速に進めることができません。どうぞこのプロジェクトに御参加ください。よろしくお願い申し上げます。
 その具体的な作業については,このサイトのPoint-Mapにありますので,ご覧下さい。

(編集中)