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動物の動作をなぞったり、実際にその中へ入ってしまうというような、動物との同化への願望が、繰り返される儀式的な動作を引き金に、少しだけ満たされていく。しかしそれらは隠された欲望で、観客はその意味や全容を知ることは許されていないようだ。冒頭のやや長いショット、子どもの動作を、全身が完全には見えないトリミングで描く。途中挿入される監視カメラも象徴的だが、常に「見渡せない」限定された視線によって、全体を知ることが出来ないフラストレーションに支配される。そして最後まで観客は意味を見つけ出すことなく宙ぶらりんに放置され、ただ戸惑う。しかしそれは狙いではなく、作者自身もただ戸惑っているようだ。映画を見たものは、その本当の答えは分からないが、個人的な秘密をちょっとだけ共有する。『グレートラビット』は、この存在を知らない他の誰かには、知られてはいけないのだ。
 山村浩二(アニメーション作家)


『グレートラビット』を観ました。和田さんの他の作品にも共通する「触覚感」みたいなものの凄い作品でした。「皮膚で観る」というと大げさかもしれませんが、ゾワゾワしました。世界のアニメーション傑作選で上映されるデヴィッド・オライリーの『エクスターナルワールド』も、とても重要な作品です。映像表現をする人は絶対に観るべきだと思います。今回のプログラムは、見終わった後に話をしたくなる作品が多いですね。

ー 平林勇(CMディレクター•映画監督)



和田淳さんはついにアニメーションの最前線に立たされたのだと思いますが、『グレートラビット』は繊細な作風のまま、ほんの少しだけ大胆な冒険をしていて、うれしくなりました。

ー 真利子哲也(映画監督)



粘土のような物体で殴られたとき坊主頭から生えるウサギの耳のような形のアンテナみたいなのなんて、どうやって思いつくんだろう。

和田さんの作る、耳元で囁かれているかのように親密なのに、不安なくらい素っ気なくて、それがヤバいくらい新鮮で曖昧な世界は、どうしたって、魅力的なのです。

ー 瀬田なつき(映画監督)

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