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2014年23巻2号(通巻75号)


表紙:イネにおけるオートファジー動態の可視化と生理機能の解析
小谷野智子,来須孝光,花俣繁,八木智華子,池田晃子,野口祐平,永田典子,朽津和幸
(第21回学会学術集会ベストイメージング賞(カールツァイス賞)受賞)
    オートファジーは、細胞質中に内膜系(オートファゴソーム)が生成され、液胞やリソソームと融合することにより、細胞成分が分解される自食作用であり、近年、酵母や動物細胞を中心に分子機構の解明が進められている。しかしながら、植物の発生における役割は未解明な部分が多かった。我々は、GFP-ATG8 タンパク質を用い、穀物モデルのイネにおけるオートファジー可視化実験系を構築すると共に、オートファジー欠損変異株利用し、その生理的役割の解明を目指した。生活環を通して変異体の表現型を観察した結果、ホモ変異体は、出穂や開花の遅延を示すと共に、劇的な不稔形質を示すことが明らかになった。電子顕微鏡法により、葯の各組織のオートファジー動態を解析した結果、花粉への栄養や表面構造の材料供給組織であるタペート細胞において、減数分裂期後にオートファジーが誘導されることが明らかになった。本研究の一部は、Kurusu et al. Autophagy 2014 10(5):878-888 に掲載され、画像は同論文から一部改変して掲載した。
    (A, B):オートファジー欠損による出穂・開花の遅延(野生型(左)と変異体(右))。
    (C, D):オートファジー能を消失させても、器官セットに影響は見られない(野生型(左)、変異体(右))。
    (E):オートファジー欠損は、穀物イネにおいて、劇的な不稔を引き起こす(野生型(左)、変異体(右))。
    (F):飢餓条件による、GFP-AtATG8 蛍光の液胞への蓄積(野生型、コンカナマイシン A存在下) 。
    (G):欠損株では、液胞への蛍光蓄積が観察されない (コンカナマイシン A 存在下)。
    (H):イネ培養細胞(野生型)において観察されたオートファゴソーム様構造体の透過電子顕微鏡像。
    (I):液胞内に輸送された細胞質成分を含むオートファジックボディ(野生型、コンカナマイシン A 存在下)。
        Scale bar: (A) 10 cm, (B) 1 cm, (C, D) 2 mm, (E) 2 cm, (F, G) 20 μm, (H) 500 nm, (I) 2 μm, 
        V; 液胞, AB; オートファジックボディ