第14回口頭弁論・報告集会・東電団交要求行動・東電前合同抗議の報告(2019年12月4日)

投稿日: 2019/12/10 6:06:42

■あふれる傍聴席

12月4日、東京地裁103号法廷であらかぶさん裁判の第14回口頭弁論がひらかれた。2時からの開廷にさきだち、1時過ぎから地裁前で恒例のアピール行動とビラまきを約30分間行う。傍聴券交付は無抽選となったが、この日十数人の学生の傍聴もあり傍聴席はいっぱい、開廷時には入れない人が数人出るほど。

裁判長から本日提出された書面を双方に確認する。原告は、被告東京電力の「準備書面9」に対する反論「第16準備書面」と書証を提出、次回に追加の書面を提出すると述べた。被告九州電力からは「準備書面10・11」の提出が確認された。

裁判長から「次回(2月7日)に保留部分が提出されて一応総論は終了することでいいですね。弁論終了後に進行協議を行います」と。次々回からは、あらかぶさん個人に関する因果関係をめぐる主張が始まり、証人調べに向けたスケジュールが決まっていく予定。次々回第16回口頭弁論は5月13日(水)11時に103号法廷となった。

口頭弁論終了後、恒例の報告集会とミニ学習会を「ハロー会議室虎ノ門」で開催(国会会期中で議員会館が確保できなかったため)。木下弁護士から弁論の内容の報告を受ける。提出した16準備書面に関して、「喫煙によるリスク要因の欺瞞性」「16番染色体異常は被ばくによる可能性が高い」「白血病発症までの潜伏期間が2年程度という飛躍」などの点について説明があった。

つづいてのミニ学習会、今回のお話は、本裁判に当初より参加されている瀬川嘉之さん(高木学校・市民科学研究室)。「あらかぶ裁判の争点と意義」と題して、被ばく労働に起因する労災が認定された労働者が提起した初めての損害賠償訴訟である本裁判の意義について話された。「なぜ、東電・九電は因果関係を否定するのか」「労働が者と敵対してまで原発を続けたいのか」「今後も長期に原発作業が続き労働者が必要とされるなら労災だけでなく生涯にわたる保障が必要とされる」と語られた。会場からの質問に答える形で最後に海渡弁護士から「今後の弁論では鉛ベストの画像などを示したりして、傍聴に来た人がおもしろかった、という裁判にしたい」と述べた。最後にあらかぶさんから「向こうの書面でタバコ、タバコと言われ、ビール2~3本飲むなどと言ったとされるが、これは病院の無菌室で三途の川を渡りかけて朦朧としていた時に労基署職員に聴取されたもので、勝手に人物像が作られているようで腹が立つ。医者が見かねてやめさせるくらいひどい聴取だった。自分のような人を今後作らないためにも裁判を頑張りたい」と決意、満場の拍手を浴びた。

■東電本社へ初の団交要求

報告集会終了後、あらかぶさんが所属する「原発関連労働者ユニオン」呼びかけによる初の東電ホールディングス本社(千代田区内幸町)団体交渉要求行動があった。この間ユニオンは、組合員であるあらかぶさんの「危険手当」「被ばくによる職業病」に関して東電へ要求書を郵送し、労働組合として団体交渉に応ずるよう求めてきたが、東電は2回にわたり「使用者の立場にない」と「拒否」回答をしてきた。賠償責任を負うべき東電が団体交渉を拒否するのは不当労働行為にあたるとして、この日、本人とともに団体交渉の申し入れを行うこととなった。

4時半過ぎ、あらかぶさんと組合員、支援者らが東電本社前に行くと、警備員は鉄製の柵で入口をシャットアウト、奥に立つ2名の警備員に取り次ぐよう求めたが、無視。ユニオンの中村光男委員長がマイクで本社に申し入れ書を受け取るよう訴えるも、東電社屋からは反応なし。詰めかけた約30人の仲間たちは「東電は団交に応じろ」「申し入れ書を受け取れ」と抗議の声を上げた。東電の不誠意な対応に、参加者は何度でも来て要求することを確認して5時20分ころ団交要求行動を終えた。

■定例原発集会で卑劣な拒否対応

当日18時半から開催された「たんぽぽ舎」呼びかけの第75回東電本店合同抗議行動に引き続きあらかぶさんと共に参加する。東電株主代表訴訟など約134団体が毎月第一水曜日に東電前で行っている合同抗議行動だ。アピールの冒頭にあらかぶ裁判支える会から裁判の意義と東電への怒りの訴えを行い、約80名の参加者から熱い拍手を受ける。7時過ぎより、本社入口前で、各団体の申し入れ書及び署名用紙の提出行動に移る。この場には東電側から2名の役員が出てきて神妙な顔で市民団体からの申し入れを聞き、文書をそれぞれ受け取った。最後に、ユニオンの番がきた。読み上げようとしたその瞬間、それまでのにこやかな顔が一転、社員2名は警備員とともに踵を返して鉄柵の奥に走った。警備員は柵を閉め申し入れを拒む。警察官も介入し、押し問答。市民団体の申し入れは受けても、労働組合の申し入れは完全拒否する東電。本性をあらわにした卑劣な対応に参加者は抗議の声を上げた。抗議行動は7時40分に終了、現場近くで参加したあらかぶさんは「また新しい闘志が湧いてきた」と決意を吐露した。(文責・池田実)