あらかぶさん裁判 第6回口頭弁論&報告集会(2018/02/22)

投稿日: 2018/03/04 4:24:12

「特別報告-梅田裁判弁護団・池上遊弁護士から」(写真:原子力資料情報室 片岡遼平)

「参議院議員会館での報告集会に約70名!」(写真:原子力資料情報室 片岡遼平)

あらかぶさん裁判 第6回口頭弁論&報告集会(2018/02/22)

2018年2月22日、あらかぶさん裁判・第6回口頭弁論が、東京地裁103号法廷にておこなわれました。午後2時から、あらかぶさん夫妻をはじめ傍聴席をほぼ一杯にする約90人が参加。続いて午後3時からの報告集会は参議院議員会館B104会議室でおこなわれ、こちらにも約70名の参加がありました。

裁判は、原告弁護団から、東京電力準備書面(3)に対する否認・反論として「第7準備書面」が提出されました。その要点について川上弁護士が、「事故後の福島原発構内のように放射線が四方八方から来る場合には、背後・側面から来る放射線が人体に遮蔽され、個人線量計に到達する線量が減少するため、個人線量計の測定値を0.69で割り戻した数値が個人線量当量(=実用量)となる。人体の自己遮蔽効果を割り戻すことは、周辺線量当量と同じではない。原告の主張は、人体による個人線量計の遮蔽効果を補正することである」等を訴えました。

続いて海渡弁護士が、裁判所から1月に提出された「前提事実整理案」(ほとんど東電・九電側の主張に沿って「整理」されている)に問題が多々あることを指摘。裁判長からは「文書で提出してほしい」と遮られました。次回4月期日までに弁護団会議で「反論」が準備される予定です。

最後に裁判長から、「場の理解が深まった。全体のコンセンサスをもって進めたい」として、実務担当者どうしで全体の進行計画を話し合う進行協議が提案され、3月30日に決まりました。

参議院会館に移動しての報告集会は、初めに大河弁護士が、「第7準備書面」を解説。

「線量の概念」「実際の被ばく線量」で争いがあること、弁護団は「あらかぶさんが着用した遮蔽ベストは老朽化し破損しており、脇が留められずテープで固定するような状況」であり、被告東電が用いている遮蔽ベストの線量低減効果25%を援用して「個人線量計の値を75%で割り戻すのが妥当」と主張していることが説明されました。

次に、木下弁護士が「被ばくと白血病の因果関係の立証」について解説。九電が提出した「準備書面4」の中で、約20m㏜のうちの4.1m㏜は「ごく低線量」、「有意な関係が存在しない」と主張。また東電は裁判当日になって「低線量被ばくだ」という上申書を出してきたので、これへの弁護団の反論は次回提出する等々が報告されました。

海渡弁護士は、今後の闘い方について、疫学調査・症例をまとめ、立証計画が必要だ。特に100m㏜以下では健康被害は無いという疫学論争では白血病の専門家が必要。―意見書・証言をお願いしたい、と述べました。

さらに特別報告「原発労災・梅田事件の経験から」として、梅田裁判弁護団の池上遊弁護士に講演して頂きました。最高裁に上告中の梅田裁判の概要と経過などを説明。被ばく労働裁判に勝ち抜くために重要なことは、原発労働の実態を余すところなく明らかにすること、放射線被ばくに関する研究・調査そして労災認定基準の改訂が必要であること、被曝労働の責任は国策民営の責任であり、科学者・専門家だけでなく被害労働者の当事者運動で突きつけていくことが大切だ、と強く訴えられました。

夜の新橋での交流会は、あらかぶさんが人前での発言に「だいぶ慣れてきたけねぇー!」と笑顔で語り、大阪の交流会ではあらかぶさんの人柄に熱烈ファンができたとか。また梅田裁判の池上弁護士も気さくな語りと突っ込んだアドバイスもあり、交流会は大いに盛り上がりました。